日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「ま幸くませと」1首

2017年03月31日 | 日記
 日本の大学院は中国からの留学生が多くなり、専門によっては、過半数を占めることもあるようです。私の知っている留学生は、よく勉強する優秀な学生さんが多く、この人たちが、日中のかけ橋となり、アジアの将来、世界の将来を良くしていくきっかけとなることが、期待されます。
 今は卒業の季節、今年度いっぱいで帰国する人から、丁重なご挨拶をいただきました。

 日本で学んだ良きことのみを胸に帰国され、未来の家族と幸せになられ、置かれた場所で、両国の善意を増す働きをされますよう、心から祈ります。

ひのもとの よきことのみを はなむけに まさきくませと わがひたいのる
日の本の 佳きことのみを はなむけに ま幸くませと 我がひた祈る
(日本で学んだ良きことのみを胸にとどめて、祖国で幸せになられますように、心から祈っています)

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「水のぬるむや」1首

2017年03月20日 | 日記
 暖かさがひときわ進んだ日、いつもの川沿いを歩いていると、せせらぎの音が、これまでよりも耳の近くで鳴るように聞こえました。寒さがようやく去って、川の水が春の日に温んだからでしょうか、吹く風が緩やかになったからでしょうか、いいえ、暖かさで、体が緩んだのでしょう。

せせらぎの みみぎわになる ふゆさりて みずのぬるむや かぜのゆるむや
せゝらぎの 耳際に鳴る
冬去りて 水のぬるむや
風のゆるむや

(いつもあるく川のせせらぎの音が、これまでよりも耳の近くで鳴るように聞こえました。寒さがようやく去って、川の水が春の日に温んだからでしょうか、吹く風が緩やかになったからでしょうか、いいえ、暖かさで、体が緩んだのでしょう)

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「あからむ森」再録

2017年03月17日 | 日記
 2014年3月30日に詠んで、4月02日に推敲した一首を、再録します。

芽ぐんだ木々で、森が一面に赤みを帯びて、風も吹かず、まだ色の薄い青空を背景にして、壁のように立っています。しばらく見ていると、緩やかに空気が動いて、ため息のような静かな風が吹きすぎました。

めぐむきに あからむもりの うすあおき そらにそばだち かぜにふくらむ
めぐむ木に あからむ森の
薄青き 空にそばだち
風にふくらむ

(芽ぐんだ木々で森が一面に赤らみ、薄い青空を背景に壁のように立っているところへ、ため息のような風が静かに吹いて、森を膨らませます)


 この歌は、姿、調べが、やや落ち着かなく感じられて、つぎのように推敲しました。ことさら技巧を凝らすというわけではなく、「ふくらむ」は、「森が膨らむ」と「吹く風」の掛詞になっております。ため息のようなひと吹きの風で、森が柔らかく膨らむ情景が、よく出ているように思います。音の響きも、ずっと柔らかくなりました。

めぐむきに あからむもりの うすあおき そらにふくらむ かぜのためいき
めぐむ木に あからむ森の
薄青き 空にふくらむ
風のため息

(芽ぐんだ木々で森が一面に赤らみ、薄い青空を背景に静かに立っていたところを、風が木々を膨らませて、ため息のように吹きすぎました)

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「赤き花道」再録

2017年03月07日 | 日記
 去年の春と全く同じ光景に出会いました。その時の和歌を再録します(2016年4月7日)。

 春の初め、森の中で、ゆるく曲がった階段を登っていくと、不揃いな低い欄干の柱に、椿の花が並べてあり、赤い花道を歩いているようでした。

のぼりゆく きざはしのはに たがおきし つばきのならぶ あかきはなみち
登りゆく きざはしの端に
誰が置きし 椿の並ぶ
赤き花道

(森の中の階段を登っていくと、不揃いな低い欄干の柱に、椿の花が並べてあり、赤い花道を歩いているようです)

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