日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「川の面に」「鈍色の」「黄金ふく」3首

2022年11月05日 | 日記
 今年の夏はいつまでも残暑さが厳しく、日が暮れてから、虫の少ない川沿いの道を散歩するようになりました。浅い流れに街の光がきらめき、せせらぎの音ともつれあっています。

川の面に かがよう灯り 黒光る せせらぎの音 闇にもつるる
(川面にきらめく街の灯りと、黒々と澄むせせらぎの音が、もつれあっています)


 通り道沿いの川は、白い鳥やカラスがよく群れていますが、ある日、灰色の鳥が1羽、作り物のように佇んで、流れに見入り、聞き入っていました。

鈍色の 鳥 川べりに 佇みて 流れに見入り 音に聞き入る
(灰色の鳥が、作り物のように川べりに佇み、音を立てる流れに見入り、聞き入っています)


 しばらく前まで、あちこち咲いていたヒガンバナがほとんど散ってしまったあと、代わって、きんもくせいが、あちこちで甘い香りを漂わせています。

黄金ふく 花の入り日に 照り映えて 深き香りと 艶をあらそふ
(大きく膨らんだきんもくせいの花が、夕日に照らされて黄金色に輝き、あたりに漂う甘い香りと、艶めきを競っています)

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