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日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

雨の歌二首

2012年05月22日 | 日記

 今日は関東地方は雨です。『くりぷとむねじあ歌物語』『歌集』「七の巻、名残」から、別の季節に詠んだものですが、雨模様の歌を再録します。
 新しい歌をしばらく詠んでおりませんので、歌物語から折々の歌を紹介することにします。

遠くで音がして、雨かと思う間もなく、家中が雨音の気配に包み込まれたときの歌。

とおきより あめのおとない たちそめて やがてふせやの ふりこめらるる
遠きより 雨のおとなひ 立ち初めて やがて伏せ屋の 降り籠めらるゝ
(遠くで何かの音がして、雨かと思う間もなく近付いてきて、家中が秘かな雨音に包み込まれました)

夜が更けてゆき、雨脚が弱くなり、いつの間にか降り止んでいたときの歌。

よるのあめの やみゆくおとを かぞえつつ ねざめもしらぬ しじまやふかき
夜の雨の 止みゆく音を 数へつゝ 寝覚めも知らぬ しゞまや深き
(夜になり、雨が降り止んでいく音空間は、いつのまにか深い眠りを誘い、目覚めることもないような、眠っているのか目覚めているのか区別がつかないような、深い静けさに浸っています)

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ホームページ「日守麟伍ライブラリ」http://book.geocities.jp/himringo/index.htm


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製本の手引き

2012年05月08日 | 日記
 ホームページにアップしている『古語短歌への誘い』(入門)、『くりぷとむねじあ歌物語』(物語、解説付き)『歌集』(読み仮名、現代語訳のみ)は、ワードのファイルを最小限に処理したもので、「コピー防止」その他の仕掛けは施しておりませんので、そのままダウンロードして、自由に編集していただくことが可能です。

 ワード文書に落として、ページ設定で縦書きに直し、プリントアウトして、表紙を付けていただくと、書籍の形になります。
 製本は、糊付けする簡易製本機がある方はそのように、ない方は、つぎのようにされることをお勧めします。
 表紙と本文をまとめて、千枚通しで数箇所の穴を作り、縫い針と普通の縫い糸で、綴じていきます。糊付け本よりも丈夫で、和綴じ本のような雰囲気にもなります。私は綴じ跡と背中を、最後に製本テープでまとめています。

 ファイルを本の形にするサービスなどもあるようですが、詳しくありません。よい工夫をご存じでしたら、ホームページに記してあるアドレスまでお知らせくだされば幸いです。


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ホームページ「日守麟伍ライブラリ」http://book.geocities.jp/himringo/index.htm

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歩きながら和歌を詠むこと(鑑賞と解釈篇)

2012年05月07日 | 日記
 十数年前、もうすこし若い(?)ころの、おそらくこの季節に詠んだ歌をいくつか、『くりぷとむねじあ歌物語』『歌集』「五の巻、憂い」から、載せておきます。浮かれることの苦手な人は、4月からのストレスが一段落するこの5月、さまざまなこと、とくに思い人の面影が、思い出されているのではないかと思います。
 歌を詠んで物思いに形を与えることは、芸術療法、作業療法と同様であり、精神療法的な効果を持つことがあります。ある俳人が、いろいろな問題を抱えた人と徒歩の旅をしながら俳句を詠むことを行っておられ、よい効果をあげておられるそうです。私の乏しい経験からも、歩きながら、仕事をしながら、創作を目指す工夫は、精神療法的、宗教的、想像的、身体的なあらゆる面で、効果的だと思います。
 つぎの4首の歌も、3首めまでは身体の動きがなく、4首めで、外を歩きながら、という情景の歌が出てきます。動作の有無の違いも鑑賞してくださると、嬉しく思います。

めざむれば まずいもがへぞ おもわるる ゆめのおとずれ たえてひさしきに
目覚むれば まず妹が辺ぞ 思はるゝ 夢の訪れ 絶えて久しきに
(あなたが夢に出てくることは、ずいぶん前からなくなりましたが、今でも目覚めると、まずあなたのことが思い出されます)

よきものわ いもにつげんと おもわるる またおうことの ありとおもわなくに
佳きものは 妹に告げむと 思はるゝ また会ふことの ありと思はなくに
(よいものを見聞きすると、「こんなものがありましたよ」とあなたに告げたい気がします。また会うことがあろうとは、思っていないのですが)

いもさりて けながくなれど おもかげの うつつごころに うかびてやまず
妹去りて 日長くなれど 面影の 現つ心に 浮かびて止まず 
(あなたがいなくなってから、ずいぶん日が経ちますが、いつまでも、目覚めていながらあなたの面影が思い出されてなりません)

まくかぜに うれはのゆらぎ においたつ たおりていもが かたみとやせん
巻く風に 末葉の揺らぎ 匂ひ立つ 手折りて妹が 形見とやせむ
(巻き上がった風が木の葉をゆらがせ、草のいい匂いがしました。枝を手折って、あなたを思い出すよすがに、持ち帰りましょう)


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