日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「潮満つの浜」再録

2015年06月12日 | 日記
 『くりぷとむねじあ歌物語』『くりぷとむねじあ和歌集』の「七の巻、名残」から、再録です。

 夏のひととき、男は久しぶりに南の島を訪ね、育った島の浜辺から、生まれた島影に夕日が沈む、懐かしい情景を見ていた。波うち際の近くにいたからか、あるいは潮が満ちてきていたのか、夕日を写した海面が膨らんで、金銀の波がつぎつぎに寄せてきた。このまま海に呑み込まれそうだと思いながら、男は「生まれた島の水に沈むなら、何も思い残すことはない」という、懐かしく嬉しい気がした。

ひたよする しきなみのむた いりひかげ しままにゆるる しおみつのはま
ひた寄する しき波のむた
入り日影 島間にゆるゝ
潮満つの浜

(潮が満ちてくる砂浜の波うち際の近くにいると、島影に沈もうとする夕日を写した海面が膨らんで、定めなく揺れる金の波、銀の波が、つぎつぎに寄せてきました)

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「こりどるの」1首

2015年06月10日 | 日記
大きな屋敷に沿って、丈の高い木が植わっています。その生垣と歩道の街路樹が、異国の回廊のように続き、地面とそこを歩く私の上に、枝葉を漏れてくる光と影が、斑に震えています。

おおとのを かこむたかきの こりどるの えだもるるひを まだらにあびて
大殿を 囲む高木の こりどるの 枝漏るゝ日を 斑に浴びて
(大きな屋敷に沿った丈高い木が、歩道の街路樹と樹冠を重ねて、異国の回廊のように続き、枝葉を漏れてくる光と影が、斑に震えています)

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