日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「道自づから」推敲

2019年12月26日 | 日記
 22日、冬至の茶会にちなんで、23日に詠んだ歌を、推敲します。

 この歌は、初めは、次のように形をとりました。

祖々の 技と心を養ひし 道自づから 久しかるべし

 「祖々(おやおや)」と詠んだのは、茶室を建てられ、茶会を続けられた、現在の庵主のご先祖のお話が、印象に残っていたからですが、「おやおや」という音が、別の連想を引き出して、美しくありません。
 そこで、茶道その他の文化に親しんだ、多くの人々を偲んで、「八十人(やそひと)」と変えました。

八十人の 技と心を 養ひし 道自づから 久しかるべし

 さらに、この歌の2句目、「技」と「心」を入れ替えて、「心と技を」と変えたいと思います。「わざと」という音が、やはり別の連想を引き出して、あまり美しくないのとの、「の」に「こころ」と続くほうが、響きで柔らかくなるからです。

八十人の 心と技を 養ひし 道自づから 久しかるべし

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「技と心を」1首

2019年12月23日 | 日記
 昨日12月22日、広尾にある茶室、自久庵の主、垣花理恵子さんのお招きで、気心の知れた友人たちと、お茶会に出席してきました。
 東京は昼過ぎから雨となり、市中の山居のことばどおり、雨音や鳥の声を背景に、お点前のたてる静かな音を聴きながら、別天地で、贅沢なひと時をすごさせていただきました。
 お茶会が冬至になったのは、参加者の日程を調整した結果ですが、ご先祖が残された資料を拝見していると、偶然とは思えないほど、所縁の深い日でした。不思議な成り行きで、稀有な時空を共有することになり、一期一会という言葉を、しみじみと感じました。
 「和歌に」という主のお言葉に応えて、自久庵、養心といった号を織り込んで、1首を詠みました。

八十人(やそひと)の 技と心を 養ひし 道自づから 久しかるべし

(私たちの先祖の多くは、道と名の付く芸術文化によって、身のふるまいと、心の用い方を、工夫してきました。そのような道の歩みは、これからも、ことさらな計らいなく、末永く受け継がれることでしょう)

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「透く夕空に」1首

2019年12月05日 | 日記
 枯葉がまだ落ちきらない街路樹を、ゆっくり見あげながら歩いていると、家並みの切れたところで、夕映えが広がり、切れ切れの雲が黄金色に染まって、静かに広がっていました。

枯れ枝を 透く夕空に 音もなく 黄金に映ゆる 切れ切れの雲
(枯葉の疎らな枝越しに、夕映えの空が広がり、切れ切れの雲を、黄金色に染めているのを、物音の静まったひと時、見つめていました)

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