日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「夏の名残」3首

2013年09月16日 | 日記
 秋が近付き、蝉しぐれが弱まってきましたが、それでも木々の間に響き満ちて、消えていくのが、名残惜しくて思われ、立ち止まって聞いていると、汗ばんだ肌に、風が重くまつわりついてきました。

せみしぐれ みつるこだちを ゆきがてに おもたきかぜの はだにまつわる
蝉しぐれ 満つる木立を 行がてに 重たき風の 肌にまつはる
(蝉しぐれが弱まってきて、それでも木々の間に響き満ちているとき、名残惜しくて立ち止まると、汗ばんだ肌に、風が重くまつわりついてきます)


風が吹いて木立がゆらぎ、高い枝を飛び交う何種類もの鳥の声が、木立の中に充満しています。

ふきゆらぐ かぜにこだちの えだたかく とびこうとりの さまざまのこえ
吹き揺らぐ 風に木立の 枝高く 飛び交ふ鳥の さまざまの声
(風にゆらぐ木立の枝高く、飛び交う何種類もの鳥の声が、あたりに充満して耳を聾します)

 木漏れ日が斑に照らす森の下映えが、夏の名残を惜しむような風に、しずかに揺れていました。

こもれびの はだらにはゆる したばえに なごりのかぜの なつかしきなつ
木漏れ日の 斑に映ゆる 下生えに 名残の風の 懐かしき夏
(木漏れ日に斑に照らされた森の下映えが、夏の名残の風に、しずかに揺れています)

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過ぎ行く夏の歌、1首

2013年09月13日 | 日記
 暑い夏が終わったと思っていたころ、しばらくぶりに、また暑い日が続きましたが、それでも暑さがゆるみ、後悔の思いを帯びた、懐かしい気持ちがします。日没の時間が早くなった夕日を見ると、赤みの濃い黄金色が空から溶け出して、たぎり落ちてくるようでした。

このなつも すぎゆくいまわ なつかしく いりひのかげの こくたぎりおつ
この夏も 過ぎゆく今は 懐かしく 入り日の影の 濃くたぎり落つ
(暑い日もやがて過ぎ行き、後悔の混じった懐かしい気持ちがするころ、没しようとする夕日から、赤みの濃い黄金色がたぎり落ちてくるようです)

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「夢の訪れ」1首再録

2013年09月07日 | 日記
 朝起きてすぐ、恋しい人のことを思いました。『くりぷとむねじあ歌物語・和歌集』、「五の巻、憂い」から、今日の心境にそった歌を再録します。

めざむれば まずいもがへぞ おもわるる ゆめのおとずれ たえてひさしきに
目覚むれば まず妹が辺ぞ 思はるゝ 夢の訪れ 絶えて久しきに
(あなたが夢に出てくることは、ずいぶん前からなくなりましたが、今でも目覚めると、まずあなたのことが思い出されます)

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