日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「ひた青に照る」新作と旧作

2012年10月26日 | 日記
 秋晴れの日、強風にまばらな雲が激しく流されていき、空に雲ひとつなくなり、陽の光は地平の山並みの果てまで照り渡っていました。

とおかぜに うずまくひかり やまなみの むかふすはてを ひたあおにてる
遠風に 渦まく光 山並みの 向か伏す果てを ひた青に照る
(高く遠くまで吹き渡る風に、光が渦巻くように照り、遠くに横たわる山並みの際まで、真っ青に晴れ渡っています)

 同じような歌を詠んだような気がして、調べてみると、乾燥しきった冬晴れの一日の歌がありました。斜めに差し込む光を切れ切れに浴びながら、公園の歩道を歩いていくと、木立の途切れたところで、雲一つない青空の下、遠くの山並が見えていました。そのような情景を詠んだものです。

きぎのまゆ さしいるひかり あまさかり ひたあおにてる やまなみのきわ 
木々の間ゆ さしいる光 天離り ひた青に照る 山並の際 
(木々の間から斜めに差し込む光を、切れ切れに浴びながら歩いていくと、木立の途切れたところで、遠くの山並の上に、雲一つないまっ青な空が広がっていました)

 姿や心の似た歌が出てくるのは、晴れたり曇ったり、いずれにせよ大きな天蓋の真下を歩いているという、同じような雰囲気に、繰り返し思いが引かれるということです。


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ホームページ「日守麟伍ライブラリ」http://book.geocities.jp/himringo/index.htm


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新作2首、夏から秋の雨の歌

2012年10月23日 | 日記
しばらく前の数日、夏から秋にかけて、季節感の定まらない雨が降りました。そのころの歌の推敲が、どうにか終わりました。

いつもの通り道、石垣をあふれた枝から、赤い花弁が散り敷いていました。帰宅して雨が降り始め、夜になって雨足が強くなり、花弁が流される情景が浮かんできます。

ちりつみし あかきはなびら ふりまさる あめにながるる あとししのばゆ
散り積みし 赤き花弁 降りしきる 雨に流るゝ 跡し偲ばゆ
(赤い花弁が散り敷くあたりを通り過ぎ、忘れたころに雨足が強くなってくると、花弁が雨水に流されて筋を描いてゆく情景が、気にかかります)


夜、雨混じりの風が窓を打つ音を聞きながら、いつの間にか眠りにおちました。

あめかぜの まどうつおとの おやみつつ よふかきゆめの そらにやうする
雨風の 窓打つ音の 小止みつゝ 夜深き夢の 空にや失する
(雨混じりの風が窓を打つ音を聞きながら、夜が更けていくと、いつの間にか眠りにおちて、夢の中では雨音も聞かず、降り止んだように思われました)


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