日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「この道」シリーズ1首その他

2022年03月20日 | 日記
 夏日に近づく日があったかと思うと、寒の戻りがあったり、肌寒い雨が降ったりしました。二、三日、雨模様の中、いつもの道に通りかかると、もの思わせる湿った大気が、木立を潤していました。気配に耳を澄ますと、静けさの中に、いつものように遠近で、鳥の鳴き声がしています。

春の雨に この道を行く 静けさの 膨らむ森に はた鳥の啼く
(春の雨の中、いつもの道を歩き、耳を澄ませても、雨は音もなく静まり、静かに膨らんだ湿気の中に、遠近の鳥の声だけが聞こえてきます)

 これと似た和歌を、だいぶ前に詠みました。初期のお気に入りの1首です。

春の雨は 森の雫と 下垂りて 静まる中に 鳥鳴き渡る
(春の雨が樹幹のまばらな森に降ってきて、ところどころで雫となって滴り、静かな音を立てる中に、鳥が一声長く鳴いて、飛んでいきました)
(『古語短歌』51ページ、『くりぷとむねじあ和歌集』36ページ、106ページ、)

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日守麟伍『古語短歌――日本の頂点文化』
Amazon Kindle版、NextPublishing Authors Press版、2019年
日守麟伍『くりぷとむねじあ和歌集――言霊の森』
Amazon Kindle版、NextPublishing Authors Press版、2019年


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「この道」1首

2022年03月01日 | 日記
 いつもの道を、なぜこの道は不思議な物思いにつながるのだろうかと、いつもの問いを考えながら歩きました。暖かくなってきた風に枝葉がそよぎ、夢の名残を弔うようです。

故知れず 夢路に通ふ この道を 弔ふごとき 葉々のささめき
(何故かはわかりませんが、この道は夢のような思いに通います。春めく風に枝葉がそよぎ、無数の人々の見果てぬ夢を弔うかのような優しい音をたてています)

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日守麟伍『古語短歌――日本の頂点文化』
Amazon Kindle版、NextPublishing Authors Press版、2019年
日守麟伍『くりぷとむねじあ和歌集――言霊の森』
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