日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「夜の雨」1首、再録

2013年10月20日 | 日記
 昨夜から雨になり、今日は一日雨のようです。私は寝つきがよくなくて、横になってから寝入るまで、1時間前後はかかります。長いときは、一晩中寝られず、明け方にうとうとするくらいです。
 後期高齢者の人には、よく寝られず、睡眠導入剤や精神安定剤を飲む方がいるようです。私は基本的に薬は飲みませんが、とくに睡眠のために薬を飲むのは抵抗があります。若いときは、寝られないのがストレスでしたが、また寝つきが悪いのはウツの兆候だと脅かす人がいますが、初老になって、眠れないときにあれこれ考えていると、むしろ退屈しません。とくに、つぎの歌ができたときは、不眠症気味でよかったと思ったほどです。

夜の雨の 止みゆく音を 数えつゝ 寝覚めも知らぬ しゞまや深き
(夜の雨が、闇のなかで、しだいに止んでいく雨音を数えていると、いつの間にか音が間遠くなり、寝ているのか起きているのかもわからないほど、世界が静まり返っています)

 前にも説明したと思いますが、この歌には本歌があります。平忠度のつぎのうたです。

風の音に 秋の夜深く 寝覚めして 見果てぬ夢の 名残をぞ思ふ

 本歌取りをして、元の歌よりもレベルが落ちるようでは、戯作になっていまいます。私の歌は、どうにか戯作を免れているのではないかと、ひそかに自負しております。

 雨の音、風の音、鳥の声、虫の声、葉々の動き、雲の流れ、水の流れなど、微細な偏差を繰り返す動きに感覚を澄ませることは、どんな不遇な境遇にあっても楽しむことができ、どんな権力者や強盗によっても奪われない、極上の楽しみです。
 不眠症気味の方がおられたら、このような時間の楽しみ方を工夫してはいかがでしょうか。

*******
ホームページ『日守麟伍ライブラリ』

 



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする