日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「風のため息」再録

2016年02月26日 | 日記
 木々が芽ぐみ、森全体が、ほのかに赤らんできました。この時期の雰囲気を詠んだ歌を、採録します(初出は、2014年3月30日、4月2日の記事「あからむ森」をご覧ください)。
 技巧としては、「ふくらむ」が(意図せず、結果的に)掛詞になって、「森が膨らむ」と「吹くらむ風」のダブル・イメージを作っています。

めぐむきに あからむもりの うすあおき そらにふくらむ かぜのためいき
めぐむ木に あからむ森の
薄青き 空にふくらむ
風のため息

(芽ぐんだ木々で森が一面に赤らみ、薄い青空を背景に静かに立っていたところを、風が木々を膨らませて、ため息のように吹きすぎました)

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「誰が面影ぞ」1首

2016年02月13日 | 日記
春めいた午後、近くの森を歩いて、坂を上り切ったところにある、東屋にやってきました。そこにはときどき人がいたり、私も休んだりするのですが、今日は誰もおらず、私もどうしようか少し迷って、そのまま通り過ぎました。すると、道を降りていくうちに、懐かしさがこみあげてきて、誰が、何が懐かしいのかわからず、足を止めて、昔親しかった人の思い出を、辿りました。

ひともなき あずまやをすぎ なつかしく かくゆきがたき たがおもかげぞ
人もなき 東屋を過ぎ
懐かしく かく行き難き
誰が面影ぞ

 
(誰もいない東屋を、通り過ぎてすぐ、誰を思い出したのか、懐かしさがこみあげてきて、立ちつくしました)

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「蝶なるや」1首

2016年02月07日 | 日記
 立春を過ぎて、夕方の寒さに温もりが混じるころ、森の辺の細道を歩いていくと、広場に出るあたりで、枯れ葉の積もった中に、季節外れの蝶なのか、鳥が翼を抱えているのか、よく見ると大きな葉が立ち上がって、風に吹かれたように、揺れていました。

ちょうなるや とりともみゆる かれはみちに おおばのたちて かぜにやゆるる
蝶なるや 鳥とも見ゆる
枯れ葉道に 大葉の立ちて
風にや揺るゝ

(枯れ葉の積もった道に、季節外れの蝶なのか、鳥が翼を抱えているのか、よく見ると大きな葉が立ち上がって、風に吹かれたように、揺れていました)

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