いつものように寝付けない夜、ふと「故知れぬ」「浮かぶ影」という言葉が浮かんできました。目新しくもなく、よく見聞きする、むしろ陳腐な言い回しです。これを核にして、どうにか、自分の心にしっくりくる形を付けようとして、すこしずつ推敲したものが、つぎの4首です。
ゆゑ知れぬ うれひに浮かぶ 影もあれや 定めなるべき ゆくへも知らに
(理由もわからない憂いに、幻の姿が浮かんでくるのは、何かの定めがあってのことでしょうか。その定めがどう成り行くのかも、わからないのですが。)
ゆゑ知れぬ 定めに浮かぶ 影もあれや 波のまにまに 流れ果つべく
(理由もわからない、何かの定めがあって、幻の影が浮かんでくるのでしょうか。その物影は、波に浮かんで運ばれるように、どこかに流れていってしまう定めなのでしょうか)
ゆゑ知れぬ 定めに浮かぶ 影もあれや 波のまにまに うれひ果つべく
ゆゑ知れぬ 定めに浮かぶ 影もあれや 風のまにまに ゆらぎ果つべく
それぞれ趣向が少しずつ違った、でも同じ雰囲気の歌です。あなたはどれがお好きでしょうか。
1首めが、最初にかなり自然にでてきたものです。あとの3つは、工夫しようとしたのですが、「波」や「風」という常套語が、悪い効果を出しています。「まにまに」も、効果はよくありません。推敲するほど悪くなる、あるいはぎりぎりまで推敲できていない、という実例です。
並べてみると、3、4首めは、最悪に近い出来映です。1首がいちばん美しく、2首めがどうにかよい姿を取っているように思います。
ゆゑ知れぬ うれひに浮かぶ 影もあれや 定めなるべき ゆくへも知らに
(理由もわからない憂いに、幻の姿が浮かんでくるのは、何かの定めがあってのことでしょうか。その定めがどう成り行くのかも、わからないのですが。)
ゆゑ知れぬ 定めに浮かぶ 影もあれや 波のまにまに 流れ果つべく
(理由もわからない、何かの定めがあって、幻の影が浮かんでくるのでしょうか。その物影は、波に浮かんで運ばれるように、どこかに流れていってしまう定めなのでしょうか)
ゆゑ知れぬ 定めに浮かぶ 影もあれや 波のまにまに うれひ果つべく
ゆゑ知れぬ 定めに浮かぶ 影もあれや 風のまにまに ゆらぎ果つべく
それぞれ趣向が少しずつ違った、でも同じ雰囲気の歌です。あなたはどれがお好きでしょうか。
1首めが、最初にかなり自然にでてきたものです。あとの3つは、工夫しようとしたのですが、「波」や「風」という常套語が、悪い効果を出しています。「まにまに」も、効果はよくありません。推敲するほど悪くなる、あるいはぎりぎりまで推敲できていない、という実例です。
並べてみると、3、4首めは、最悪に近い出来映です。1首がいちばん美しく、2首めがどうにかよい姿を取っているように思います。