日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

ホームページ準備中

2011年11月26日 | 日記
 多忙のため、作歌の時間がありませんが、これまで詠んだ古語短歌(150余首)を並べなおして、『歌物語 花の風』を改訂しようと思ってております。
 ブログが一括掲載できませんので、ホームページを準備中です。慣れない作業で、いつになるかわかりません。完成しだいお知らせいたします。


***『歌物語 花の風』2011年2月28日全文掲載(gooブログ版)***
***『和歌集 くりぷとむねじあ』2011年10月26日全文掲載(gooブログ版)***

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「華やぎの道」の歌、推敲その2

2011年11月16日 | 日記
 推敲している歌の眼目は、「隈なき」「華やぎの道」という2つのことばです。4つほど推敲して、さらに助詞を「の」から「は」に変えたもの、「照り映えて」を「照り映ゆる」に変えたものを、並べてみましょう。

行きてなほ 木々の紅葉は 照り映えて 彩に隈なき 華やぎの道

行きてなほ 木々の紅葉の 照り映ゆる 彩に隈なき 華やぎの道

 最初の歌、4つの推敲、2つの追加推敲を比べてみると、私の感動を一番うまく表現できているのは、最後の歌です。「照り映ゆる」と連体形にすることで、最後の句まで情景がつながり、緊張が持続するようになります。関心のない人には、些細な言葉をいじって面白がっているように見えるでしょうが、言葉を味わうのには、こういう練習が効果的、というより、不可欠です。こういうニュアンスがわからないと、言葉で豊かに生きることはできません。



***『歌物語 花の風』全文掲載2011年2月28日gooぶろぐ***
***『和歌集 くりぷとむねじあ』全文掲載2011年10月26日gooぶろぐ***
 

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推敲(古語短歌演習)

2011年11月09日 | 日記
 前回の歌で眼目になるのは、「紅葉」の「華やぎ」、「隈なき」という言葉で、情景は、詞書および現代語訳のとおりです。小さいところを、推敲してみます。

行き行けど 木々の紅葉の 照り映えて 彩に隈なき 華やぎの道

行きてなほ 木々の紅葉の 照り映えて 彩に隈なき 華やぎの道

行けどなほ 木々の紅葉の 照り映えて 彩に隈なき 華やぎの道

行けどなほ 木々の紅葉の 華やぎて 彩に隈なき 直照りの道

 3つめの歌が情景に一番素直で、4つめは改悪になるようです。
 



***『歌物語 花の風』全文掲載2011年2月28日gooぶろぐ***
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秋の中天の陽、隈なき紅葉の歌

2011年11月06日 | 日記
 秋のよく晴れた日、九十九折の長い道沿いに、紅葉が続いていました。太陽は中天にあり、陰もほとんどない紅葉が、軽く薄く一面に広がっていました。

目路の限り 木々の紅葉の 下照りに あやに隈なき 華やぎの道
(一面の紅葉が、中天の日差しを受けて、明るく照り映え、陰もない道が、目もあやに輝いています)



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古歌推敲(古語短歌の演習)

2011年11月04日 | 日記
 以前に、古歌をいくつか、勝手に推敲してみました。その後、趣味にあう古歌を読み、調べや姿を鑑賞しながら、やや気になるところ、気に入らないところがあると、自分ならどうするだろうか、と考えることがあります。今回は、その続編です。


最近つくづくと、伏見上皇には優れた(私の好みで、という意味)作品が多い、と感じることがあります。つぎの歌(『玉葉集』15巻、雑歌2)もその1つで、とくに下の句がすぐれた姿を持っています。ただし、推敲したい言葉が1つあって、ずっと言い換えを考えています。しかしなかなかよい言葉が思い浮かびません。

雨の音の きこゆる窓は 小夜ふけて 濡れぬにしめる 燈火のかげ(御製)

情景、気分は、まことに繊細で、しめやかなものです。雨模様の夜、湿り気を帯びた室内のともし火が、雨に濡れたわけでもないのに、湿ったように火勢が弱い、という内容ですが、「濡れぬに」湿る、という表現が、説明的すぎるようです。では、どう言い換えましょうか?
改悪にしかなりませんが、ともかく工夫してみましょう。「わびしく」「さびしく」などとすると、感傷的すぎるでしょうが、わかりやすいでしょう。「しめりてちぢむ」とすると、即物的な感じになり、人によっては、近代的な印象を受けるかもしれません。とりあえず、2通り、改悪の例をあげておきましょう。

雨の音の きこゆる窓は 小夜ふけて さびしくしめる 燈火のかげ(麟伍推敲)
雨の音の きこゆる窓は 小夜ふけて しめりてちぢむ 燈火のかげ(麟伍推敲)

 なお、この数首後に出てくる御製も、言葉の調べはあまりよくありませんが、現出する姿は美しく、私の趣味に近いものです。

ぬるるかと 立ちやすらへば 松陰や 風の聞かする 雨にぞありける(御製)
(雨が降ってきたかと思い、濡れないように松の木陰に宿ると、雨ではな、風が枝葉を吹く音を雨と聞き間違えていたのだった)

響きくる 松のうれより 吹きおちて 草に声やむ 山の下風(御製)
(山から響いてくる風が、松の梢から吹き下ろしてきて、やがて下草に届くと、風の音は消えてしまい、柔らかい草に吸い込まれていく)


***『歌物語 花の風』2011年2月28日全文掲載(gooブログ版)***
******『和歌集 くりぷとむねじあ』2011年10月26日全文掲載(gooブログ版)***





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