日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「草を踏みゆく」「逆照りの」2首

2021年04月30日 | 日記
 初夏の一日、湿度がやや高くなりはじめた森を、歩きました。広い草原は、まだ草丈が低く、ところどころ、白い花が群咲いています。

やわらかき くさをふみゆく あしもとゆ こころをなずる おとのつぶだち
柔らかき 草を踏みゆく
足元ゆ 心をなづる 音の粒立ち

(初夏の草原を歩いていくと、まだ丈の低い柔らかい草が、聞こえるか聞こえないくらいの、泡立ちのような音を足元から立てています。)

 地平線近くになった夕日の逆光を受けて、森が暗がりを増しています。

あかきはな なおあかきはな さかてりの むれはにしずみ そこなきごとく
赤き花 なほ赤き花
逆照りの 群葉に沈み
底なきごとく

(赤い花、さらに赤い花を付けた木が並び、逆光となった夕日に、葉々が黒々と沈み、赤い花はさらに暗く沈んでいました。)

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「柔らかき風」1首

2021年04月22日 | 日記
 しばらく更新していませんでしたが、久しぶりに詠みました。何も暗示しない、微細な感覚だけの歌で、少なくとも私自身にとっては、心地よい響きがします。

 寒さが和らぎ、木立のまとう若葉が厚みを増して、温かい風に揺らいでいます。耳を澄ませると、かすかな葉風が音を立てています。

若緑 装ふ木々の
柔らかき 風に揺らるる
葉々のさざめき

(若葉の緑をまとった木々が、柔らかい風に吹かれて、やさしい葉音をたてています)

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