日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「葉音の遠き」1首

2016年04月18日 | 日記
 数日前、この季節には稀なほどの大風が吹きあれました。
 昼過ぎに勢いが弱まってきた森の中を歩いていくと、さらに風が静まってきて、強い日差しに照らされた道には、誰もいません。
 両脇の高い木々の梢葉を吹く風の音が、遠く聞こえました。

おおかぜの しずまりゆくや ひたてりの ひとなきみちに はおとのとおき
大風の しづまり行くや
ひた照りの 人なき道に
葉音の遠き

(吹き荒れた大風の勢いが、弱まったころに森を歩いていくと、強い日差しに照らされた誰もいない道に、木々の梢葉を吹く風の音が、遠く聞こえていました。)

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「光増し行く」1首

2016年04月10日 | 日記
 長く続く斜面の下の道沿いに、数メートルごとに、ひときわ高い草が、緑の噴水のように立ち上がり、明るくなってきた春の光を浴びていました。

たかくさの いくひろごとか ふきあぐる ひかりましゆく おかのべのみち
高草の 幾尋ごとか 噴きあぐる
光増し行く 丘の辺の道

(斜面の下の道沿いのところどころ、ひときわ高い草が、明るくなってきた春の光を浴びて、緑の噴水のように立ち上がっています)

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「雲の海かと」1首

2016年04月08日 | 日記
 桜も散り際となった、暖かく晴れた昼下がり、森の道を歩いていると、まだ葉を付けない木立の下に、紫の花が群れ咲いて、雲海のように膨らんで、春の日に浮かびあがっていました。

むらさきの くものうみかと おもおゆる はるひにうかぶ したくさのはな
むらさきの 雲の海かと 思ほゆる
春日に浮かぶ 下草の花

(森の中、まだ葉を付けない木立の下に、紫の花が群れ咲いて、雲海のように膨らんで、春の日に浮かびあがっています)

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「赤き花道」1首

2016年04月07日 | 日記
 やはり春の初め、森の中で、ゆるく曲がった階段を登っていくと、不揃いな低い欄干の柱に、椿の花が並べてあり、赤い花道を歩いているようでした。

のぼりゆく きざはしのはに たがおきし つばきのならぶ あかきはなみち
登りゆく きざはしの端に
誰が置きし 椿の並ぶ
赤き花道

(森の中の階段を登っていくと、不揃いな低い欄干の柱に、椿の花が並べてあり、赤い花道を歩いているようです)

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「紫の小花」1首

2016年04月06日 | 日記
 春の初め、枯草の中に少しずつ緑色が見え始めたころ、草原を行くと、紫の小花をつけた草が、ところどころ群れていました。せっかくの花を踏まないよう、足元を見ながら、忍び足で歩きました。

みどります くさにまじろう むらさきの おばなをよきて かつしのびゆく
緑増す 草に交らふ 紫の 小花を避きて
かつ忍び行く

(枯草に緑色がまじるころ、草原に紫の小花をつけた草が、群れ咲いているのを踏まないよう、足元を見ながら忍び足で歩きます)

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