日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「去年よりは」再録

2016年12月19日 | 日記
 『くりぷとむねじあ歌物語』『くりぷとむねじあ和歌集』の二巻「行き違い」から、採録です。

 人間には好き嫌いがあり、相性があります。好きな人のことを思うときは、心が喜び、嫌いな人のことを思うと、不愉快になり、体調も悪くなります。

 幸せに生きる工夫の1つは、好きな人のことを、たびたび思い出すことです。今はここにいない人でも、心の中に面影を抱いていることはできます。そのような歌です。

こぞよりわ いずちゆけども うらぐわし いもがゝたみを いだきてあれば
去年よりは いづち行けども うら細し 妹が形見を 抱きてあれば
(去年あなたと会ったときから、どこにいってもそこが美しく見えます。あなたの面影が心に宿っているからです)

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「夢の訪れ」「また会ふことの」2首再録

2016年12月03日 | 日記
 『くりぷとむねじあ歌物語』『くりぷとむねじあ和歌集』、五の巻「憂い」から、冒頭の2首を採録します。

 今でもときおり、懐かしい人を思い出すことがあります。日常的に会うことがなくなってしばらくは、なにかにつけて、目覚めてから眠るまで、その人のことを考えていました。夢で会うことがなくても、目覚めるとすぐ、その人を思いました。

 1首めは、そのような歌です。

めざむれば まずいもがへぞ おもわるる ゆめのおとずれ たえてひさしきに
目覚むれば まず妹が辺ぞ 思はるゝ
夢の訪れ 絶えて久しきに

(あなたが夢に出てくることは、ずいぶん前からなくなりましたが、今でも目覚めると、まずあなたのことが思い出されます)

 その人とは関心の重なることが多く、また私の話すことも、よく通じました。佳いものを見聞きすると、もう会うことがないと思いつつ、「こんなものがありましたよ」と、今でも告げてみたい気がします。

 2首めは、そのような歌です。「思う」が重なっていて、教科書的には拙いのですが、すっと詠んだ歌で、あまり手を加えたくありませんでした。

よきものわ いもにつげんと おもわるる またおうことの ありとおもわなくに
佳きものは 妹に告げむと 思はるゝ
また会ふことの ありと思はなくに

(よいものを見聞きすると、「こんなものがありましたよ」とあなたに告げたい気がします。また会うことがあろうとは、思っていないのですが)

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