日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

新作「都大路」の歌1首

2012年07月25日 | 日記
 数日前の昼下がり、夕方にはまだ間があるころ、バスでまっすぐな大通りを走っていました。信号で停まると、周囲の車や人の動きも一瞬止まり、和らいだ陽光が、無人かと錯覚するほどの道路を一面に照らして、水蒸気と光の中で、街路樹の梢だけが、点滅するように、風に揺れていました。

ひかりみつ みやこおおじの おとやみて こだちのうれや ゆらぎかがよう
ひかり満つ 都大路の 音止みて 木立のうれや 揺らぎかゞよふ 
(陽の光が満ちる都会の大通りが、ふと車や人の動きが止まって音も途切れ、ただ街路樹の梢の葉が、風に細かく揺れて、明暗に点滅するようです)


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ホームページ「日守麟伍ライブラリ」http://book.geocities.jp/himringo/index.htm


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梅雨時の歌(『くりぷとむねじあ歌物語・和歌集』より)

2012年07月01日 | 日記
 梅雨時の歌を2首再録。「七の巻、名残」から、梅雨どきの野や山で、いつの間にか、通い慣れた道が草深くなっているのを詠んだ歌。

つゆのまに くさがくれたる かよいじの ふきゆるかぜに あとぞしらるる
つゆの間に 草隠れたる 通ひ路の 吹き揺る風に 跡ぞ知らるゝ
(梅雨時、ほんのすこしのあいだに草深くなり、道が見えなくなった野に、ときおり吹く風が草を揺るがせて、路筋がようやくわかります)

あめのまに もりはみどりに おおわれて ながれもみえぬ たえだえのおと
雨の間に 森は緑に 覆はれて 流れも見えぬ 絶え絶えの音
(降り続いた雨が止み、いつの間にか濃い緑に覆われた森の中で、どことも見えない低いところから、水の流れる音が途切れ途切れに聞こえてきます)


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