日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「梅咲きて」再録

2017年01月31日 | 日記
 『くりぷとむねじあ歌物語』『くりぷとむねじあ和歌集』の四の巻、「別れ」から、採録します。
 
 近所では梅が見ごろとなりました。暖かさと寒さを繰り返して、桜の季節ももうすぐです。季語が3つもあって、これはこれでいいという確信犯ですが、文学史に詳しいある人から、「規則は規則だから、大事にしないと」と言われました。

 すらりと詠めた歌なので、いじらないことにしました。

うめさきて さくらまちいる あおぞらに こしかたみえぬ ゆきまいちろう

梅咲きて 桜待ちゐる 青空に 来し方見えぬ 雪舞ひ散らふ
(あなたを恋しく思っていると、梅が咲いて、桜が待たれるこの季節、青空から春の雪が、こぼれるように降ってきました)

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「浮かれ女」1首

2017年01月22日 | 日記
 ふつうの若者がなかなか安定した職につけず、また学生時代の奨学金が大きな負債となっている人もあり、世代間の格差が問題になっています。
 最近、ふつうの若い女性が経済的な苦境から、抵抗感薄く、身を売る傾向にあることを、何冊かの本で読みました。取材に応じた女性の中には、すぐれた資質の持ち主もいて、どのような職場であれ最善を尽くし、やがて別の道を開いた例もあるようです。ことの良し悪しはともあれ、一人でも多くの優れた魂が、身心の穢れを濯いで、幸せな道へと進むよう、陰ながら祈ります。

うかれめと よをすぐしける くしみたま あてなるいろの におえるいもや
浮かれ女と 世を過ぐしける 奇しみ魂 貴なる色の 匂へる妹や
(遊女として世を過ごしてきた、すぐれた魂の持ち主から、気高さが輝きだしています)

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「長引く音の」1首

2017年01月04日 | 日記
 穏やかな三が日、近くの自然公園を散歩して、夕方に返ってくると、遠くからスピーカーの長い音が二重三重に重なって響き、やがて鳴りやんで、柔らかい掛け布のように、地上に覆いかぶさってきました。

ゆうぐれに ながびくおとの かさなりて ふすまのごとく つちにかぶさる
夕暮れに 長引く音の 重なりて 衾のごとく 土にかぶさる
(夕方、遠くから長い音が二重三重に重なって響いてきて、やがて静まり、柔らかい掛け布のように、地上に覆いかぶさってきました)

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「異夜の夢に」初夢1首

2017年01月02日 | 日記
 初夢で甘美な情景を見て、夜明け前に目覚め、筋をたどろうとしながら、いつか見た夢の情景が重なったりして、しばらくうとうと、また寝入りました。

あまやかに うせゆくゆめの あとまぎて ことよのゆめに なごりをかさぬ
甘やかに 失せゆく夢の あと求ぎて
異夜の夢に 名残を重ぬ

(甘美な夢から覚め、薄れゆく物語の筋をたどっていると、いつか見た夢の情景が重なって、夢の物語がずっと、続いているようでした)

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年の初めに宣り上ぐる長歌

2017年01月01日 | 日記
 年頭にあたり、2012年1月にアップした長歌を、ここに再録します。

世と人を導きたまふ神々のおん前にて
自らに宣り上(あぐ)る長歌

明(あ)けそむる 天つちの際(きは)
固め成し いや生(あ)れ継ぎし
天つ神 国つみ神の
民くさを うつくしみまし
禍(まが)ことは い直し立たせ
八十隈(やそくま)は いや大広(おほひろ)に
平らけく 開きゐまして
里の幸 海山の幸
うるはしき 国内(くぬち)にありて
をのをのゝ 世のなりはひを
安らけく いよゝ多けく
栄(さか)ゆくや とはにとこよに
われ人の とものよろこび
暮るゝ日を 明くる日に継ぎ
行く年を 来る年に継ぎ
一日(ひとひ)ごと 一年(ひとゝせ)ごとの
幸(さき)はひを いや増しませと
集(つど)ひくる うからやからの
大前(おほまえ)に 恩頼(みたまのふゆ)を
かゞふりて 命(みこと)かしこみ
礼言(ゐやごと)を 礼代(ゐやじろ)と宣(の)る
うづなはしをせ

反歌
人とわれ 天つしるべを まぎゆかな
ゆくへは知らね あとなもしるき


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