日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「おぼろ日に」1首

2014年04月23日 | 日記
春霞の夕暮れ前、陽光が一面に拡散して梢を浸し、ところどころに見える花や人影は、輪郭がまばゆくぼやけて、うっとりした風に溶け入るようでした。

おぼろひに かすむこずえや はなもひとも かぜのにおいに とけてまぎるる
おぼろ日に かすむ梢や 花も人も 風の匂ひに 溶けて紛るゝ
(陽光に霞み膨らむ梢が一面にまばゆく広がり、ところどころにぼんやり見える花や人影が、風に溶け入っています)

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「春の雨訪ひ」1首

2014年04月19日 | 日記
 春先の歌の推敲が終わりましたので、アップします。
 今年初めて寒さが緩んだ朝、細やかで柔らかい雨音の中に、少しずつ目が覚めてきました。夜具から出た顔が、暖かい綿毛に包まれるような、このような穏やかな寝起きは、稀に恵まれる恩寵です。

めざめつつ ためろうおもに おおいくる おとやわらかき はるのあまどい
目覚めつゝ ためらふ面に 覆ひくる 音柔らかき 春の雨訪ひ
(目覚めようとして、まだ起きるのをためらっている顔に、細やかで暖かな春の雨音が、柔らかい綿毛のように覆いかぶさってきます)

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「あからむ森」推敲

2014年04月02日 | 日記
前回の歌は、姿、調べが、やや落ち着かなく感じられて、つぎのように推敲しました。ことさら技巧を凝らすというわけではなく、「ふくらむ」は、「森が膨らむ」と「吹く風」の掛詞になっております。ため息のようなひと吹きの風で、森が柔らかく膨らむ情景が、よく出ているように思います。音の響きも、ずっと柔らかくなりました。

めぐむきに あからむもりの うすあおき そらにふくらむ かぜのためいき
芽ぐむ木に 赤らむ森の
うす青き 空にふくらむ
風のため息


(芽ぐんだ木々で森が一面に赤らみ、薄い青空を背景に静かに立っていたところを、風が木々を膨らませて、ため息のように吹きすぎました)

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