日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「現し身に」1首

2024年08月30日 | 日記
 両親と三人兄弟の家族が、一人二人と亡くなって、残されたのは姉と私だけになりました。姉と私の間には、もう一人、産まれてすぐ亡くなった次兄がいました。このごろ、その次兄を思うことがしばしばあり、両親も、子どもを死産で失い辛かったろうと、自ら親になって痛感します。

現し身に まみえしことは なき人の 影見まほしく 声聞かまほし
(この世では会ったことはない人の、姿を見てみたい、声を聞いてみたいと、折にふれて思います)

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「朝焼けの」1首

2024年08月28日 | 日記
 今朝、夜明けすぐのころに目が覚めると、寝室の窓から見える一面の曇り空が、赤みを帯びていました。晴れた日の青空の硬さと違って、柔らかく膨らんだ雲は、掛布団のように、地表を覆っています。

ほの赤く 目覚めを覆ふ
朝焼けの 柔らかき雲
寝屋に膨らむ
 
(夜明けすぐのころ、目覚めると、一面の曇り空が赤みを帯びて膨らみ、地上を柔らかく覆っています)
ほの赤く 寝屋に膨らむ 朝焼けの 目覚めを覆ふ 柔らかき雲

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「見上ぐる空の」「海山の間に」2首

2024年08月23日 | 日記
 八月は、ある人が言ったように、「日本人にとって鎮魂の月」だと、私も思います。旧暦のお盆があり、昭和二十年の広島・長崎への原爆投下、終戦も、八月でした。御巣鷹山に飛行機が墜落して五百人を超える犠牲者が出たのも、この月でした。

 今年は元日から能登半島で大地震があったり、さらなる大地震、大津波の警戒が出されたり、これまで天変地異で亡くなった多くの人に思いを馳せる機会が多いだけでなく、これからの天変地異にも、物心両面で備える必要を感じはじめた人が多くなってきたようです。

 天地の調和、地上の平和、人々の幸福を祈りつつ。

国破れ 地(つち)砕かれし 悲しさに 見上ぐる空の はるかに遠き
(国土が天変地異や戦争で破壊され、多くの人に悲しみがふりかかったことを思い、はるかに遠い空を見上げて、幸いを祈るばかりです)

大水に のまれて 人も 物も町も 海山の間に 水漬く悲しさ
(島国である日本は、大地震のあとに大津波がくることが多く、悲しいことに、人も物も、なす術もなく、呑み込まれてしまいます)

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「ほの赤き雲」1首

2024年08月20日 | 日記
夕闇のなか、公園を歩いてきました。地上は真っ暗で、電灯のもれる窓以外は、家並みも闇に沈んでいますが、見上げる空はまだ青く、はるかに沈んだ日の光をかすかに受けているのか、ほの赤い雲が、広がっています。

夕やみに 沈む家並み
いまだ青き 空に広がる
ほの赤き雲

(夕やみのなか、家並みも闇に沈んで、しかし空はまだ青く、ほの赤い雲が広がっています)

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「行きすぎてなほ」1首

2024年08月05日 | 日記
 同じ時間帯、同じ道を、鳥や虫に気兼ねなく、先を急いで通りました。ひぐらしの声は、近づいても止まず、通り過ぎても、ほかのひぐらしも、鳴きつづけています。

暮れてゆく 森の辺の道
近づきて 行きすぎてなほ
ひぐらしの声

(日暮れ時、森の辺の道を歩いていくと、点々とひぐらしが鳴き、近くを通っても鳴きやまず、通りすぎても鳴きつづけています)

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