日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「夢をたづきに」1首

2020年05月21日 | 日記
 数日前、母が天寿を全うし、帰幽しました。一か月ほど前は、夢で手を取りながら目覚め、今回は夜中に姉から電話で起こされ、知らされました。葬儀には帰省できず、テレビ電話で参列し、悲しいというのではなく、なつかしさで涙がこみ上げました。もう直に会うことはできませんが、これからは夢で会うのが楽しみです。父と一緒に、若い時の姿や、年取った時の姿や、いろいろな扮装で、でてきてくれるといいなと思います。

亡き人の 影なつかしみ 
今よりは 夢をたづきに 常若の世へ

(亡くなった両親の面影が浮かび、あれこれの情景がなつかしくてたまりません。今日からは、夢を辿って、永遠に老いることのない世界で、会いたいと思います)

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「道にかげらふ」1首

2020年05月14日 | 日記
 真夏日に近い夏日の盛り、草葉が熱い風に吹かれて、葉表と乾いた葉裏を交互にみせています。その奥に、昨日までは気づかなかった赤い花が見えました。森に入って道を辿ると、高い木々の陰になった道端に、灌木が赤い小さな花をつけていました。

赤き花 葉隠れに見ゆ 
日盛りの 森を辿れば 
道にかげらふ
 
(夏日の風に吹かれる森の奥に、昨日までは気づかなかった、赤い花が見えました。中に入っていくと、陰になった道端の低い木の、赤い小さな花でした)

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「人や召されし」1首

2020年05月04日 | 日記
 十数年前、しばらく担当していた留学生から、私の誕生日に毎年きていたメールが、ある年、きませんでした。その数か月前に、彼女の地元で大きな災害があり、こちらから連絡するのは遠慮しましたが、彼女は大丈夫だったろうか、どうか無事でありますように、けがをしていたらお大事に、もしも万一亡くなっていたら、ご冥福がありますよう、にと祈りました。
 その年から、誕生祝いのメールがこなくなり、おそらく天に召されたのだろうと思い、ご冥福を祈りました。
 その後も、多くの留学生の指導を手伝いましたが、ときおり、メールのやり取りで、縁が続くことがあります。今年2月、そのような一人の職場の近くを通りかかる予定があり、都合を聞いたところ、昨年までは折にふれ連絡がきていた彼女からは、返信がありませんでした。
 「都合が悪いときはお読み捨てください」、というのが、私の決まり文句ですから、都合がつかなかったのだろうと思って、あまり気に留めていませんでした。しかし3カ月も音沙汰がなく、新型ウィルスの感染症のこともあり、ふと万一のことも想像されては、おそらく結婚されたか何かで、これまでの人間関係を整理したのだろうかと、想像し直しました。
 後者であればよいのですが。

 数年前の人も、今度連絡が途切れた人も、宗教こそ違え、信仰深い人たちでした。良い人は天に早く召されるという、悲しい言い習わしもあります。この世であれ、かの世であれ、彼女たちが幸せであることを祈ります。

天つ国に 人や召されし 
去年(こぞ)までは 便りありしに 
今は聞こえぬ

(信仰深く神に愛された貴女は、天に召されたのでしょうか。去年までは折々の便りがあったのに、今は音沙汰がなくなりました)

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「つつじ」の歌、推敲

2020年05月04日 | 日記
 数日前に詠んだつつじの歌を、推敲しました。

 初夏、暑さと肌寒さが繰り返すころ、近くの道端に、つつじが鮮やかに群れ咲いています。子供が小さいころ、似たような道路を、おんぶしたりだっこしたり、手を引いたりして、歩いたときの情景が、思い出されます。

赤きつつじ 真白きつつじ 
なつかしき 吾子の幼き 影に重なる

(真っ白なつつじや、真っ赤なつつじが、道端にびっしりと咲いています。その華やぎに、子供が小さいころの日々の思い出が重なります)

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