蝉の声が強くなったり弱くなったりしています。蝉しぐれの中で、蝉の声に聴き入っていると、余計なことを考えることもない、稀有な時間を過ごすことができます。『くりぷとむねじあ歌物語・和歌集』(ホームページ『日守麟伍ライブラリ』掲載)の「5の巻、憂い」「7の巻、名残」から、暑い盛りのころと、夏が過ぎようとするころの、2つの歌を再録します。
よのうれい ひとのうれいも なくせみの いまをかぎりと ねをのみぞきく
世の憂ひ 人の憂ひも 鳴く蝉の 今を限りと 音をのみぞ聴く
(世には多くの憂いがあり、人にも多くの憂いがあります。蝉はそんな憂いは何もないかのようにひたむきに鳴き、私はその蝉の声をひたむきに聴いています)
うすぐもる なつのなごりを おしむがに せみしぐれゆく もりのかなしき
うす曇る 夏の名残を 惜しむがに 蝉しぐれ行く 森のかなしき
(うす曇りの日、過ぎ行く夏を惜しむかのような、命の限りを尽く蝉時雨が、うら哀しく森に満ちていました)
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よのうれい ひとのうれいも なくせみの いまをかぎりと ねをのみぞきく
世の憂ひ 人の憂ひも 鳴く蝉の 今を限りと 音をのみぞ聴く
(世には多くの憂いがあり、人にも多くの憂いがあります。蝉はそんな憂いは何もないかのようにひたむきに鳴き、私はその蝉の声をひたむきに聴いています)
うすぐもる なつのなごりを おしむがに せみしぐれゆく もりのかなしき
うす曇る 夏の名残を 惜しむがに 蝉しぐれ行く 森のかなしき
(うす曇りの日、過ぎ行く夏を惜しむかのような、命の限りを尽く蝉時雨が、うら哀しく森に満ちていました)
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