日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「花陰の奥処に浮かぶ」1首

2015年02月22日 | 日記
 夕日が地平線に沈む間際、光が真横から、地を這うように照らします。地形によっては、普段は物陰に隠れた奥処(おくか)が、隈なく浮かび上がることがあり、まるで変哲もないものが、無防備にスポットライトを当てられたように、目を引くものは何もなく、光の強さだけが心に残ります。

したばえに さしいるひかり はなかげの おくかにうかぶ たそがれのいろ
下生えに さし入る光
花陰の 奥処に浮かぶ たそがれの色

(夕日が真横からさし入って、木々や花々に隠れた下生えを照らし、目を引くものは何もない潜まった静かな空間に、たそがれの光だけが浮かび上がっています)

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「灯火の暈」推敲

2015年02月19日 | 日記
 2月4日に掲載した歌を、まず再録します。 

吐く息に 曇る硝子の そこかしこ あやに息づく 灯火の暈 

「曇る硝子のそこかしこ」とくに「そこかしこ」が面白くないので、すこし推敲します。
 水蒸気に曇る硝子は、向こうがにじみ、光も水気を含んで、つやつやと見えます。「にじむ硝子」とし、水気の満ちた感じを、「艶めきて」で表わしましょう。「息」が重なるのは、ガラスのこちらも、ガラスの向こうも、この全体が呼吸していることを強調するために、敢えてこのままにしておきます。

はくいきに にじむがらすの つやめきて あやにいきずく ともしびのかさ
吐く息に にじむ硝子の 艶めきて
あやに息づく 灯火の暈

(マスクからの息で眼鏡のガラスが曇り、そこかしこの灯りの周りに、艶々した虹色の光暈ができて、濃くなったり薄くなったりしながら、内も外も一緒に呼吸をしているようです)

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大風の歌(再録)

2015年02月14日 | 日記
 昨日は関東地方でも北風が強く、竜巻が発生したり、地方によっては台風並みの大風だったようです。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 くりぷとむねじあ歌物語・和歌集の「六の巻 終り」に、ちょうど昨日のような、春先の大風の歌があります。寓居の近く、大きく開けた公園を歩きながら詠んだものです。

おおかぜの はるまだきのを ふきてやまず すさまじきおと そらにみちみつ
大風の 春まだき野を 吹きて止まず
すさまじき音 空に満ち満つ

(早春の野を大風が吹いて、そのすさまじい風音が空に満ち満ちています)

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「春近き雨」1首

2015年02月09日 | 日記
 暦では春になって、寒さが一番厳しくなるころです。雨上りの夕方に歩いていると、寒さに慣れた肌には、湿り気を帯びた空気が、暖かさの予感に満ちて、触れてきます。開けた枯草の原に出ると、夕日で温められた蒸気が立ち籠めて、あたりは黄金色に輝いていました。

はるちかき あめにうるおう かれくさの こがねのはらに ゆうばえのむす
春近き 雨に潤ふ 枯草の 黄金の原に 夕映えの蒸す
(春近い頃、雨上りの夕方の枯草原は、陽射しに暖められて立ち籠めた蒸気が、夕映えの中で輝いています)

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灯火の暈

2015年02月04日 | 日記
しばらく体調の良くない日が続き、仕事からの帰り、寒い夜道を歩いていました。喉の痛みを和らげるためにマスクをして歩いていると、眼鏡のガラスの曇りが薄く濃くなりながら、そこかしこの灯りの周りに、虹色の光暈ができて、濃くなったり薄くなったりします。家に近付くにつれ、ガラスの曇りがさらに濃くなり、暈の輝きが厚みを増して、生き物が発光しているようでした。

はくいきに くもるがらすの そこかしこ あやにいきずく ともしびのかさ
吐く息に 曇る硝子の そこかしこ
あやに息づく 灯火の暈
 
(マスクからの息で眼鏡のガラスが曇り、そこかしこの灯りの周りに、虹色の光暈ができて、濃くなったり薄くなったりしながら、呼吸をしているようです)

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