昨日の新聞をチェックしていて目に留まった1つの見出し。
「丸善、大日本印刷傘下に」
丸善といえば、日本を代表する殿さま企業だ。
(とヒイラギは思い込んでいる)
なのになぜという気がした。
京の都では、洋書といえば丸善だった。
まだ1ドル=360円の固定相場だったころ、学校指定のテキストを買いに行くたび、アルバイト禁止のしがない自宅通学生の薄っぺらい財布が羽のように軽くなった。
街へ人が繰り出す週末、しっかりと下りたシャッターの前を通り過ぎる人たちが口々に、“ここは殿さんやからねぇ”と苦笑していたものだ。
普段の商いで十分にもうかってるから、世間がしゃかりきになる書入れ時にも、悠々と休業していられるんだなぁと思っていた。
時代は平成になり、ヒイラギは江戸に出た。
江戸には丸善の親玉の店があった。いつの間にか、週末にも店を開けるようになっていた。
それだけで、何か時の流れを感じた。
しばらくして、丸の内に、日本最大の丸善が誕生した。
レトロでクラシックなイメージを吹き飛ばし、超システマティックな大型書店になっていた。
どこよりも本を探しやすいし、品揃えもまずまず豊富だし、何より、天井が高くて圧迫感のない大型書店は新鮮だった。
さすが殿さま。これで大型書店市場は殿さまの独壇場に違いない。
(とヒイラギはまたもや思い込んでいた)
そこへ、この見出し。
殿さま、経営再建中とは知らなんだ。
市場原理に基づく競争社会だとは言っても、こうして殿さまたちがみんな開城してしまったら、ちょっと世の中として味気ないよな気もする。
私たちの社会は、これで本当に〝多様性〟に向かっているのだろうか。
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