ヒイラギ日記 ~Holy Holly's Diary~

小粒でも ぴりりと辛い 博士な日々。

芯のある音

2013-05-20 20:43:45 | 芸能人ヒイラギ

「思い続けていれば、そのうちに何かが起こるから」

ロマンティックな話とかではなくて。
昨日のお稽古で、師匠から言われたこと。

お箏や三絃の〝本当の音色〟というのは、
ただ爪や撥で糸がはじかれて音を発しているというだけではなくて、
はじく瞬間の音もコミの音なのだ。

特に地歌三絃は、この音が出せてなおかつ音色が美しいかどうか。
聴く耳があればたった一音で弾き手の上手下手は分かる。

それは、津軽などの太棹三味線で聴かれるような力強い撥音ではなく、
音楽のずっと後ろのほうにこっそりと潜んでいるような、だけどなくてはならない、という存在感の音。

ぷち。 というか ぴち。 というか。
撥先が撥皮にきちんと当たっていますよという微かな主張をしている、芯のような音。

「撥の先まできっちり力をこめながら、だけど撥を持つ手首はあくまでもやわらかく」

そう教えられて、ハイそうですかとすぐできる人などまずいない熟練のワザ。
なので、とにかく今は、いつもそう思い続けているだけでよい、というのが師匠流。

そういえば、同じような壁と向き合ったことがある。

ffだろうとppだろうと、どんなボリュームで弾いている音も、一音一音すべてに芯がなければダメ、
というピアノの先生に師事していた。

そう言われて聴いてみると、なるほど、そういう演奏者はプロにも少ない。
どんなに小さくてもきちんと芯がある音、は音楽の極意なのかもしれない。

死ぬまでに、一度くらいは納得できるといいな。

コメント
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