自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ヨモギにできた虫こぶ

2012-11-25 | 昆虫

ヨモギの茎・葉柄にできた虫こぶは,“ヨモギクキコブフシ” と呼ばれています。かたちは扁球形,半球形。大きさは大きくても1cm程度です。 

カッターナイフを使って切ってみると,オレンジ色の幼虫がいました。うじ虫です。さらによく見ると,同じ色のものがいくつか並んで行儀よく並んでいます。 

ルーペで観察していると,幼虫が動きました。 動きは結構しっかりした感じです。

防寒用の,硬めの壁に囲まれた部屋で,幼虫たちが冬を越そうとしているのです。

調べてみると, ヨモギクキコブタマバエのつくった虫こぶだとわかりました。虫室が数個あって,それぞれに幼虫が一個体入っていると書かれています。固まっているように見えても,別々の部屋になっているのです。

ところで,成虫の姿・かたちを知りたくて調べたのですが,今のところわかりません。よほど詳しい昆虫図鑑がないと,わからないようです。

 


アオムシとモンシロチョウ

2012-11-25 | 昆虫

11月24日(土)。科学教室実施で土曜出勤になったため,親子栽培体験園の手入れをしました。

キャベツの葉が穴だらけで,青い糞があちこちに落ちていました。いつものように,アオムシの仕出かしたことです。新鮮な糞は,その居所をちゃんと教えてくれています。それ目当てに探せば,本人(本虫)を捕まえることができます。

できるだけ農薬を使いたくないので,手で退治したいと思っています。ところが今日は小さな個体から大きな個体まで,数十匹も見つかりました。久し振りに虫退治したものですから,前に見つからなかったものがかなり大きくなっているのです。

それも葉の表,裏の両面に付いています。小さいと見逃すものもあります。

この調子だと,少しぐらいは農薬のお世話にならなくてはならないかなと思いかけています。

探しているうちに,成虫1個体に出合いました。びっくりしました。葉でじっとしていました。カメラを至近距離に持っていっても,ピクリともしませんでした。近頃の寒さに耐えて,今もこうしていのち長らえていることに驚きます。もしかすると,この個体が終見になるかもしれません。

成虫の横では,春を待つアオムシが葉を食していました(上写真の矢印)。しかしかわいそうですが,これも害虫として退治しなくてはならないのです。

 


“出前”科学教室,浮沈子第二弾!

2012-11-24 | 日記

11月24日(土)。科学教室の出前をしました。作るものは浮沈子。会場は自然が満喫できる山間部の小学校。校庭では,イチョウの老木がどっしり立って黄金の姿を誇っていました。

理科室で教室を実施しました。参加者は子ども10人。小学校1年から6年生までの子たちです。

まちが広いため,特定の会場だと来にくい子が出てくるだろうという配慮から,今回は初めての試みでわたしたちの方から出かけて行って,科学のたのしさを伝えようと試みたのです。遠くから参加した子もいました。

前回と同じ展開で進めていきました。少しは子の反応が予想できたので,導入部で手品風の演出をしっかりして雰囲気を盛り上げました。あとはどんどん作業を進めていきました。

科学教室は学校の学習とは異なり,何かをきちんと教えようというものではありません。豊かな自然認識を育む上で欠かせないことで,しかも学校では扱わないとてもたいせつだと思われる点を取り上げ,肌で感じとることを活動の主眼においています。ここでの体験が学校の学びで,何か,どこか生きてくれば申し分ないわけですし,ここでの活動をとおして少しでも科学のたのしさを味わってもらえばまずは成功なのです。

1時間30分後には,みんな,自分の力で完成!

おしまいに,二本のペットボトルをジョイントでつなぎ,水と空気を入れ替える実験。わんぱくっ子Aさんが道具を見て叫びました。「それを反対にしたい。空気と水が入れ替わる!」と。でも同調者はなし。他の子は「水と空気が頑張って合戦をしている。いつまでも入れ替わらない」と言うのです。それでAさんが「したい!」と強く求めたので,してもらいました。結果はスゴク愉快でした。おかげで,この後盛り上がりました。

ざっとこんな内容で,2時間があっという間に過ぎていきました。 

 


虫こぶのことで

2012-11-24 | 昆虫

今夏,勤務施設にやって来る子ら数人から,クヌギの葉に付いた“虫えい”のことで「あれって,何?」と度々問われました。虫えいは別名“虫こぶ”と呼んでいます。

この虫こぶが,敷地の裏にあるクヌギに大量に付いていたのです。それはもう驚くばかりに。そのとき,虫こぶの説明をして,中を切って見せました。クヌギエダイガタマバチの卵か幼虫が入っているとばかり思っていたのですが,肉眼では姿は定かではありませんでした。子らには,とてもふしぎなものに見えたでしょう。わたしにもすっきりしないままに終わったのでした。

話は変わります。わたしの印象に残る虫こぶは,少年期の記憶にさかのぼります。

雑木林に行ったとき,クヌギ類の切り株から育った枝に大きな球形のこぶができていたのです。あちこちにありました。おかしなものだなあと思いながら,「ちょっと割って,中を確かめてみよう」という気持ちになりました。それで,割ると大きな家に小さな部屋が一つ。その中に,白い小さな幼虫がからだを曲げて,ちょこんと入っていたのです。

それを見たときは驚きました。それで,どんな虫が卵を産みつけて,どんなふうにしてこぶができたのだろうか,木には迷惑な仕業ではなかろうか,そんなふうにほんとうにふしぎに思った記憶があります。おとなになってわかったのですが,仕掛けた虫はクヌギエダタマバチだったのです。 

子どもたちから質問を受けて,それ以来,虫こぶのことが気にかかっています。それで,歩いていても目にとまるようになりました。ヨモギの虫こぶはありふれています。種類はいくつかありますが,わたしのような初心者はそういうことは余り気にせずに観察すればいいと思っています。

ヘクソカズラの茎が紡錘型に膨らんだものもよく目に付きます。この正体はヒメアトスカシバです。

 

虫こぶはその他いろいろあります。わたしにはわからないものばかりです。入門書があれば腑に落ちる手がかりが得られるかもしれません。手がかりが得られれば,追求のしかたが消化不良のままになる心配が少なくなります。そんなつもりで,買い求めたのが『虫こぶハンドブック』(薄葉重著,文一総合出版刊)。これがまた実にコンパクトで,役立つのです。ありがたい,ありがたい。 

ネット検索もいいですが,本のページをめくるたのしみはそれには代えがたいものがあります。

こんなわけで,これからは虫こぶにも目を向けていこうと思います。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その184)~植木鉢作戦Ⅲ⑯~

2012-11-23 | ジャコウアゲハ

11月19日(月)。夜,観察。体表は瑞々しいビロード色を呈しています。指でそっと触れると,動きました。まだ軟らかな体表です。

11月21日(水)。早朝。ビロード色はそのまま。少し黒っぽい感じ。窪みを中心に煤けたように見える部分があります。どうしたのかなと思い,触れてみました。動きはありません。体表も硬くなっています。たった一日で大きな変化です。他の蛹も同様です。完全な休眠状態に入ったのでしょうか。

他の蛹と比べると,大きさはやや小さめです。見た目にも,横に並べて比べても,はっきりしています。蛹化した時期が時期だけにそうならざるを得なかったのでしょう。適期の,充実した成長ぶりとの差が見えてきます。

長い休眠の後,無事に羽化してほしいと願っています。

 


小さな弧を描く虹

2012-11-23 | 随想

虹に関心を抱いていると,意外に虹が目に付きます。

大抵は雨が降ったときに見られますが,そうでないときも見えることがあります。降雨があろうとなかろうと,何らかの気象条件が整って太陽光の屈折が起こったとき,その結果として虹模様がわたしたちの目に届くわけです。

大空遠くに大きな弧を描く虹があれば,低い空で緩やかな弧を描く虹もあります。過日,家先から見えた虹もその一つでした。

勤務施設を訪れて過ごした子に虹の話をしたのが,ついこの間のこと。話の中で,「虹の色って何色?」という話題になりました。その子は一瞬考えて「七色!」といいました。その数字がとっさに出た訳を尋ねたのですが,それは出てきませんでした。日本人に植え付けられた七色神話が根付いているのでしょう。

その翌日も,同じような小さな弧を描く虹を見ることになりました。

駅伝競走大会に招待を受け,出かけたグラウンドで見たのです。午前9時。天気は光が射しながら曇りがちで,わずかに時雨模様。虹が出現する条件が揃っています。北の方向にうっすらと見えました。アーチに下に人がいる構図です。

虹のお蔭でしょうか,大会は盛り上がりました。教え子との再会もありました。親となって,親子で出場していました。区間賞を取る芯の強さに刺激を受けました。感謝。

虹を見ると,何だか「ラッキー!」なんて気持ちになります。だからか,わたしはこれに出合うたびにシャッターを切る癖がついてしまいました。自動車で走っていても,見かければ安全なところに停止してパチリ。

大空に大きな弧を描く虹はなんともすてき。夢とつながります。小さな虹もまた何度見てもいいもの。ささやかなハッピーの贈り物のような気がしてきます。

 


晩秋,ヒメジョオンを訪れた虫(2)

2012-11-20 | 昆虫と花

キク科の花を訪れる常連はなんと言っても,ツマグロキンバエ。やはりここにもやって来ていました。 

モンシロチョウがとまっているので,びっくり! まだ成虫が飛んでいるとは! 大急ぎでシャッターを切りました。近頃の気温だと,キャベツやハクサイの葉で幼虫でいるのがふつうです。もう越冬態になっているのです。 

キタヒメヒラタアブのようです。蜜も花粉も大好きです。口吻が伸びています。接写しても逃げませんでした。 

花が少ないと,目移りすることなくじっくり観察できます。時間をかけると,それだけ虫との出合いも増えます。当分気にかけておいて,また別の種に出合ったら報告することにします。 

 


コカマキリを撮る

2012-11-19 | 昆虫

自宅の犬走りでコカマキリを見かけました。動きがとても鈍いのです。寒さにやられたと見え,すっかり弱っている様子。これならからだを接写するのに都合がいいと思って室内に持ち込み,撮影しました。 

小さいながらも威風堂々としたスタイルです。褐色のからだ,前脚の内側に見える黒・白・紫の紋はこのカマキリを特徴づけています。 

からだの各部分がよくわかるように,仰向けに置いて観察しました。静かにしていてくれたので,助かりました。

鎌そっくりの前脚で獲物を捕らえます。 鋭い棘がたくさん並んでいます。同じ方向にきれいに整列しています。恐ろしいばかりのこの姿は,カマキリが肉食昆虫であることを物語っています。この前脚を鎌足と呼ぶこともあります。

獲物を見つけると,目にも止まらない速さで捕捉します。こんな鎌で捕らえられたら,まず逃げられないのではないでしょうか。

三対の脚の付いた部分が胸にあたります。

長い触角を持ちます。それで外界を敏感に感じとります。目は複眼。 

拡大してみると……。

たくさんの個眼がきれいに並んでいます。白い紋様はフラッシュの反射光です。黒い点紋様は“偽瞳孔” と名付けられています。見ようとする方向で,複眼のどこにも移動します。この位置次第で,わたしたちはカマキリが注視している方向を確認できます。今,わたしの方を見ています。

夜間になると全体が黒色に変化して,獲物が見えるしくみなのだそうです。頭の大きさと眼の大きさを比べると,眼の果たす役割がどんなに大きいか理解できそうです。

腹がこんなに膨らんでいます。消化器官・呼吸器官などで詰まっているのです。 各節に一つずつ気門があるのがわかります。腹先の毛の付いた一対の槍状のものは何か,わたしにはわかりません。ただ想像する限りでは,交尾時に役目を果たすものかもしれません。

カマキリの活動季節はもう終わりです。卵にいのちを託して静かに死を迎えます。

 


ジャコウアゲハ観察記(その183)

2012-11-18 | ジャコウアゲハ

『ジャコウアゲハ観察記(その178)』(11月10日記事)で触れた個体について報告しましょう。

11月14日(水)正午。観察に出かけました。「もしかすると……」と期待を抱いて行ったのですが,まだ蛹化していませんでした。自然界で,今の気温で無事にいのち長らえようとするのはたいへんなことに思われます。

11月15日(木)午前10時。棲息地はカラスガイの放流排水路に近いので,放流するついでに立ち寄りました。やっぱり前蛹のままです。頭のあたりを指でほんのすこしだけ触れてみました。大丈夫,動きました。しかし,臭角は出ませんでした。

 

11月16日(金)。勤務のため観察に行けず。

11月17日(土)午前7時。雨模様。昨日観察できなかったので,今朝見に行きました。やっぱり前蛹のままです(矢印部分)。今日も指を触れてみました。ゆっくり動きました。まだ大丈夫のようです。

11月18日(日)午前8時30分。我が家の前蛹が蛹化したので,「もしかすると,これも蛹になっているかもしれない」と思って確かめに行きました。すると,どうでしょう。そのとおり,オレンジ色の蛹に姿が変わっていたのです。こちらも無事に! 

変化が重なった理由を考えると,けっして偶然ではないように思えます。家の個体は,もしかすると同時期に産み付けられた卵から孵化した幼虫であって,それをここから持ち帰ったものではないでしょうか。 そう考えると,成長加減が自然環境から同じように影響を受けてこの日を迎えたことになります。正直な結果が出たわけです。

成長には個体差が出てくるのがふつうなのですが,今回はふしぎにも似通った結果になりました。

ともかく,寒さを克服して蛹になれました。来春の羽化をたのしみに待ちましょう。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その182)~植木鉢作戦Ⅲ⑮~

2012-11-18 | ジャコウアゲハ

11月18日(日)午前7時。見ると,蛹のオレンジ色が目に入りました。「ヤッター!」。無事に蛹になれたのです。いのちは懸命に脈打っていたのです。ヤキモキしていましたが,これでヤレヤレです。

観察しながら写真を撮りました。どうやら蛹化後2,3時間程度は経っていそうです。ということは,帯糸を紡ぎ出してから,たぶん9日と9時間ほど経過したのではないでしょうか。寒さが影響して,こんなに時間が過ぎたのです。

からだの表面には雨粒が溜まっています。夜半から明け方にかけて小雨が降ったのでしょう。脱皮してからも雨がかかったことがわかります。脱皮直後の軟らかい体表面に冷たい雨。想像しただけで辛い感じがします。

 

下には,脱いだ皮が落ちていました。

 

拡大して写すと……。きれいに脱いでいることがうかがえます。

このまま越冬して,来春4月終わりに羽化すると思われます。雨や雪に見舞われながら,厳しい冬を乗り越えていくのです。この個体を入れて,我が家の庭には7個体の蛹が確認できています。冬の観察もまたたのしみの一つです。

なお今日,これまでの最低気温は8.6℃(午前7時24分)です。