白菊を観察していると,キンケハラナガツチバチがやって来ました。花にとまると,ゆっくり吸蜜をしていました。一つの花を,時間をかけて,という感じです。それが終わると,歩いて隣りの花に移って行きました。
そこに来ていた小型のハチが,慌てて逃げてしまいました。それもそのはず,からだを覆った毛やら棘やらを見せられたら,わたしだってもうたまりません。逃げてしまったハチもきっと,そう思ったことでしょう。触覚が短めなので,メスです。
ここまで毛で武装しなくてもいいのに,と思うのはわたしだけでしょうか。
もっと大写しをしようと思って,近づきました。腹眼に並んだ個眼も見えます。触覚の根元にも毛,脚にも鋭い毛・棘が見えます。
「よし,脚だけを大写ししてみよう」と思って写すと,こんなスゴイ,迫力ある光景が見えてきました。
今度は,前脚と触覚を写そうと思いました。触覚が短いのはメスの印です。
腹を見ました。あるリズムをもって動いているので,もしかすると糞をするのかもしれないと思って見ていましたが,そうではありませんでした。動きはずっと続きました。糞の代わりに,肛門付近から二本の突起が出てきました。産卵器官と関係あるのかもしれませんが,専門的なことはわかりません。それがなにで,なにゆえに出てきたのか,気になりました。
調べてみると,土の中に巣を作り,幼虫はコガネムシ類の幼虫やネキリムシを食べるとか。ということは益虫ということになります。攻撃性は極めて低いとも。また,越冬態は幼虫で,メスだけは成虫で越冬するらしいのです。きっと種族を維持する上で有利な理由があるのでしょう。
今回のように時間をかけて撮影できれば,観察できたという実感が伴ないます。キンケハラナガツチバチについての情報とつないで生態を想像すると,一層興味が湧いてきます。被写体キンケハラナガツチバチに感謝。