自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キンケハラナガツチバチのからだ

2013-11-20 | 昆虫と花

白菊を観察していると,キンケハラナガツチバチがやって来ました。花にとまると,ゆっくり吸蜜をしていました。一つの花を,時間をかけて,という感じです。それが終わると,歩いて隣りの花に移って行きました。

そこに来ていた小型のハチが,慌てて逃げてしまいました。それもそのはず,からだを覆った毛やら棘やらを見せられたら,わたしだってもうたまりません。逃げてしまったハチもきっと,そう思ったことでしょう。触覚が短めなので,メスです。 

 

ここまで毛で武装しなくてもいいのに,と思うのはわたしだけでしょうか。

 

もっと大写しをしようと思って,近づきました。腹眼に並んだ個眼も見えます。触覚の根元にも毛,脚にも鋭い毛・棘が見えます。

 

「よし,脚だけを大写ししてみよう」と思って写すと,こんなスゴイ,迫力ある光景が見えてきました。

 

今度は,前脚と触覚を写そうと思いました。触覚が短いのはメスの印です。

 

腹を見ました。あるリズムをもって動いているので,もしかすると糞をするのかもしれないと思って見ていましたが,そうではありませんでした。動きはずっと続きました。糞の代わりに,肛門付近から二本の突起が出てきました。産卵器官と関係あるのかもしれませんが,専門的なことはわかりません。それがなにで,なにゆえに出てきたのか,気になりました。

 

 

調べてみると,土の中に巣を作り,幼虫はコガネムシ類の幼虫やネキリムシを食べるとか。ということは益虫ということになります。攻撃性は極めて低いとも。また,越冬態は幼虫で,メスだけは成虫で越冬するらしいのです。きっと種族を維持する上で有利な理由があるのでしょう。

今回のように時間をかけて撮影できれば,観察できたという実感が伴ないます。キンケハラナガツチバチについての情報とつないで生態を想像すると,一層興味が湧いてきます。被写体キンケハラナガツチバチに感謝。

 


篠田プラズマ,続き話

2013-11-20 | 随想

今日(11月20日),朝刊経済面のトップ記事は篠田プラズマについてのものでした。先月の本グログ記事で取り上げた続き話にあたる内容で,事業停止に追い込まれたというもの。まことに悲しい推移です。

見出しは「篠田プラズマ 事業停止」「負債10億円 研究開発費重く」。

停止によって,「約30人の全従業員を解雇」したといいます。会長兼社長の篠田傅さんの談は次のものです。「量産に向けた資金が確保できなかった。技術は評価されており,これからという時に残念。従業員に申し訳ない」。

 

背景には,激しい国際競争の展開があるでしょう。いくら大志を抱いて技術開発を続けても,小さな企業は巨大企業の比ではないという現実。ハイレベルの技術を持っていても,時の流れに押し流されてしまうという現実。巨大企業が10億円の負債を抱えたから事業停止なんてことはありえない話です。

すぐれた技術を持っていても,相当量の,その分野における核心的な技術であって,その基本部分が自社の特許技術として登録されていないことには,早晩他の追随を許すことになります。

今回のニュースをとおして,競争社会でベンチャー企業が生き残ることは至難な現実がひしひし伝わってきます。社是は社是として価値がなんら干乾びるものではありませんが,開発に携わってこられた従業員のこころを思うと,とても複雑な気持ちになります。篠田さんのことば「技術は評価されており,これからという時に残念。従業員に申し訳ない」がすべてです。

(注)写真は本文とは関係ありません。我が家のスダチの実り風景です。