自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

19年目の訂正

2013-04-11 | 随想

書かなくてもいいような雑談をしましょう。

話し方や表情の,第一印象って怖いなあと思います。地位に関係なく謙虚であれる人,地位を鼻にかけて傲慢である人,孤高の人であれる人,人が集まって来ないと気が落ち着かない人,人はみんなそれそれだなと割り切って協調できる人,自分の思い通りに人が動かなくては我慢がならない人,……,ほんとうにいろいろ。それが第一印象に出てきます。

つい先頃,体罰と自殺との関係で以下に述べる話題が目にとまりました。この事案が発生したことがこころの隅に残っていたので,わたしは関心をもって受けとめました。事案がまだ未解決だったことがわかったのです。今回感じたのは,この件に関わった教育関係者の良識のレベルです。さらにいえば,教育機関の頂点に立つ(立った)人の資質・適性のことです。以下,言いすぎを承知の上で書いていこうと思います。

事の経過を簡単に書くと,こうです。

19年前,T市の小学校6年児童が担任から体罰を受けたことを苦にして自宅裏山で自殺。その後,体罰と自殺との因果関係は裁判で認められたものの,市教委は「学校管理外での体事故死」と処理,その旨を国に報告した。しかし,体罰・自殺の関係についての最近の動きから,あるテレビ局がこの事例を問題視。当時の教育長(現市長)及び現教育長(当時の部下)に直々に取材した。その様子が報道されたが,二人の憮然とした表情と人ごとのようなことば遣いが第一印象として残る後味のよくない内容であった。そしてこのままでは収まるまいと予感できた。番組をご覧になった多くの方がわたしと同じ気持ちになられた筈。案の定,この程現教育長は事件を体罰による自殺と密かに認め,国に修正の報告をしていた。そして,この程この経過が報道された。

一回目のテレビ報道があって以来,内部調整がなされたのでしょう。結果,現教育長の口から誠に拙い言い訳が出てきたのです。それは次のものです。 

「体罰やいじめによる子どもの自殺が大きな社会問題となり、正面から向き合うべきだと考えた」

裏を読むと,大きな社会問題になっていなかったら,どうだったのか,ということになります。社会の動きを見届けながら,いのちについての解釈を下すとは! 学校内での出来事か,学校外での出来事か,そんなことは体罰との因果関係にはちっとも関係ないのではないでしょうか。そう,わたしのような素人目には見えます。

当時の教育長の“鶴のひと声”が自ずと浮かびます。「体罰と自殺は直接関係なかった!」と断じれば,ほとんどの人はそれ以上何も言えなかったのでしょう。上司の言いなり,です。

これがほんとうなら悲しい話です。わたしにはそんな時代の流れがあった気がしています。

                                      (つづく)

 (注)写真と本文とは関係ありません。

 


ずうっとサクラ並木

2013-04-11 | 日記

4月10日(水)。曇りのち雨。日本海上空に寒気団がやって来て,ぐっと冷えた一日になりました。最低気温3.6℃(午後12時00分),最高気温15.8℃(午後1時02分)。

所用があって,昨日と今日(4月10日),わたしたち夫婦は金沢市に滞在。自動車で往復しました。そこに住む知人と雑談している際「能美市の健康ロードのサクラ並木は見応えあるので,是非見て帰るといい。昨日,バスから見て立派だと思った。名所とちがった,別のよさがある」と薦められました。

「貴重な機会や。帰りに寄ってみたい!」というわけで,そこに立ち寄ることにしました。結果,行けて大きな感動を覚えることになったのですが,途中小さなトラブルに見舞われました。妙なことに,カーナビで能美市が出てこないのです(古かった!)。それに加え,自動車用キーの電池切れが生じて,「これは困った」という羽目に。

国道8号線を走っているとき,幸いにも愛車の購入店と同系列にある自動車販売店の看板が目に飛び込んできました。それで,そこ駆け込みました。

幸運にもとても親切なサービスを受けて,不安はいく分解消。そして目的地の健康ロードに向かったのです。北陸の方のやさしさに感謝。

ロードがどの辺りにあるのか,予め情報を得ることはできませんでしたが,「マア,能美市に入ったらわかるだろう」ぐらいの気持ちでいました。そのとおり,大まかな予想をたてて走っているうちに,サクラ並木が目に飛び込んできました。

着くと,見事な並木が続いていました。極上の景観です。開花状況は満開を少し過ぎでした。サクラ一本一本は老木程の威風堂々といった感じではありませんが,キリッと引き締まった若木というふうでした。それが旧北陸鉄道能美線沿線にずうっと植えられ,その軌道跡が健康ロードとして整備されているのです。

はじめのポイントで眺めていると,自動車が通り過ぎて行きました。健康ロードの趣旨が徹底されているようで,徐行して進んでいく様子が印象に残りました。 ロードの受け入れ方が生活に馴染み,溶け込んでいるのでしょう。

二つ目のポイントでは,並木の脇を用水路が流れ,自転車に乗った人が通り過ぎて行きました。

三つ目のポイントでは,ウォーキング中のお年寄りがさっさとリズムを打つように軽快に歩いて行く姿を見かけました。 

廃線になるときに,今の姿を描いてサクラの幼木を植えようと発想した人がいたわけです。大した人です。さらに,この道を健康ロードとして歩行者優先で整備しながら,自動車と共存させようとしてきた取組もあっぱれです。

写真を撮りながら,地域に根を張ったサクラ並木にすっかり魅了されました。 

10年,20年後がさらにたのしみです。