◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「ご~くださる」も言えないのはなぜ?

2007-05-16 09:35:27 | めちゃくちゃな敬語
               買っていただいたの
 アナウンサーのひどい日本語、尊敬語も同様です。「ご紹介してくださいますのは田中さんです」の「ご紹介して」は謙譲語、謙譲語なら主語が田中さんであるはずがありませんが、紹介してくださるのは田中さんです。「くださいます」は尊敬語、田中さんの「紹介する」という行為に敬意を込めています。ということは、「ご紹介して」と「くださいます」がくっついていること自体ありえないわけで、謙譲語と尊敬語のドッキングなんてアナウンサーにあるまじきことです。丁寧に言いたいなら「ご紹介くださいますのは」、日常会話なら「紹介してくださるのは」です。
 この際ですから、「くださる」についてちょっと整理しましょう。「下さる」「褒美を下さる」は「くれる」「褒美をくれる」の尊敬語、「~くださる」「お話しくださる」は「~くれる」「話してくれる」の尊敬語です。ちなみに、「ください」は「くださる」の命令形で、書類を下さいませんか、書類を下さい、これをお使いになってくださいませ、これをお使いください、これを使ってください、人間関係の上下にかかわらず、何かを頼むときに使いますね。
 世の中には、どういうわけか、「くださる」もすべて「いただく」と表現する人がいます。先日の「監督さんが教えていただいて」もそうですが、もっとひどい例で、「○○のいちばん大きな問題は、△△を頂く人が必要だということです。○○ではご家族から頂くことがほとんどなのですが、頂くほうはどのように準備するかというと」と言う人がいるのです。「頂く」が三つ出てきますが、最後まで話を聞いたところ、「頂く」で合っていたのは二つめの「頂くこと」だけで、一つめと三つめは「下さる」と言わなければならなかったのです。
 つまり、「頂く人」も「頂くほう」も△△の提供者のことを指していて、「頂く」では逆、全く意味が通らないのです。「頂く人」「頂くほう」と言うと、提供者ではなく、提供を受ける側、もらう側という意味になりますからね。この人も、日常会話では「もらう」と「くれる」の区別ぐらいできているのでしょうが、改まって「頂く」と言ったとき、「下さる」がどうしても出てこなかった、ということでしょうか。こういう人は決して少なくないので、日本語の表現(日本人の心)がどんどん貧しくなっているように感じます。
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「ご~いただく」となぜ言えないのか。

2007-05-15 09:19:32 | めちゃくちゃな敬語
              毎度ごらんいただきまして
 アナウンサーのひどい日本語についてはこれまでも何度か触れていますが、アナウンサーの間違い敬語で最もよく聞くのが「ご案内していただきますのは佐藤さんです」といった言い方です。「お迎えしていただいて」「ご確認していただこうと思います」、どうですか、おかしいと感じますか? 感じなかったら、あなたの敬語もおかしくなっているということですよ。
 謙譲語の基本は「ご(お)~する」ですが、これでいくと、「ご案内していただきますのは佐藤さんです」の「ご案内して」は謙譲語です。ということは、「ご案内して」の主語は佐藤さんであるはずがありません。でも、案内するのは佐藤さんです。そして、案内していただく、つまり、佐藤さんに案内を頼んでいるのはだれですか? このアナウンサーです。「ご案内していただきますのは佐藤さんです」がおかしいということが分かりましたか。正解は「ご案内いただきますのは佐藤さんです」です。「ご~いただく」と正しく言えないアナウンサーが多いことは非常に嘆かわしく、一般の人にも悪影響を与えていますから深刻な事態です。間違いでも、繰り返し聞かされれば慣れてしまいますからね。
 「お迎えしていただいて」→正しくは「お迎えいただいて」、「ご確認していただこうと思います」→「ご確認いただこうと思います」です。こういうレベルの低いアナウンサーたちは、ひょっとして、心のどこかで一般人を見下しているのではないでしょうか。だから、言葉を操るプロなのにこういうありえない言い方をして、本人も、周りの人(放送業界の人)も、いつまでも間違いだと気づかずにいるのではないでしょうか。幾ら丁寧に言いたいからって、主語が途中で替わるような言い方は意味を成しません。日常会話なら、「案内していただくのは」「迎えていただいて」「確認していただこうと思います」と言えば十分ですね。
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何でもかんでも「~させていただく」って?

2007-05-14 09:26:58 | めちゃくちゃな敬語
                ぶっさいくぅ
 へりくだって相手に許可を願うという形で敬意を表した言い方、「~させていただく」ですが、「出演されている映画を見させていただいて感動させていただきました」だなんて、ばかたれ・・・え~っとぉ(^^;)、ばかな言い方はやめていただきたい。映画を見て感動するのに許可など要りませんから、つつましさもほどほど、何でもほどほど、ほどがあります。いわゆる芸能人の皆さーん、「出演なさっている映画を拝見し、感動いたしました」ぐらいにしておいてくださーい。
 さて、ある不細工なおかまタレントの「番組のレギュラーにさせていただいて」というセリフ、おかしいと感じますか? 私は決してこの人が嫌いというわけではなかったのですが、このセリフを聞いてちょっと嫌いになりました。ある番組のレギュラーになったということをうんと謙遜して言っているのですが、「番組のレギュラーにさせていただいて」は日本語として成立していません。「レギュラーにする」権限を持っている人は、恐らく、「レギュラーにしてやってさぁ~」と言うでしょうね。何でもかんでも「~させていただく」で失敗したいい例です。正しくは、いいですか、いきますよ、「番組のレギュラーにならせていただいて」ですね。合ってましたか?
 一般の人でも、会議の冒頭で「では、座らさせていただいて、資料に沿ってご説明のほうをさせていただきます」というのはしょっちゅう聞きます。くどい! 牛丼にカレーと麻婆豆腐をかけて食べるぐらいくどい。「では、座らせていただいて、資料に沿ってご説明いたします」でいいのですよ、これぐらいで十分です。さわやかな印象で、かえって「できる人」と感じますよ。
 先日のチーズケーキの材料、生クリームが少し余っていたのでロールケーキに添えて食べようとして、ついついちょっと遊んで、ハムスターを作ってみました。パンダじゃないよ、ハムスターだよ。え、あ、ハムやん、「ぶっさいくぅ」って? えへへ、そりゃそうですよ、耳と目を付けただけですからぁ~。あ、そのまま動かないで、写真、撮らせていただいていいですか?
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謙譲語ⅠとⅡって何だ?

2007-05-13 10:45:45 | めちゃくちゃな敬語
              おいしく頂いております
 敬語が五つに分類されたということを4月22日に書きましたが、尊敬語、丁寧語、美化語は簡単なので、謙譲語ⅠとⅡについて改めて整理してみましょう。
 謙譲語Ⅰ、自分から相手または第三者に向かう行為や物事などについて、その向かう先の人物を立てて自分がへりくだる言い方。ここは社長室、社長と専務の会話、専務が「昨日の件に関しましては先ほどの会議で申し上げたようなことでございます。これから会長のところへ伺いまして、ご報告いたしたいと思います」と言いました。すると、社長は「ああ、頼むよ。会長には、さっき、専務がこれから伺うと申し上げておいたから、すぐに行ってくれ」と言いました。
 謙譲語Ⅱ、自分の行為や物事などを話している相手に対して丁重に述べる。社長が専務に、「ところで、担当の部長にはいつ会うんだ?」と聞くと、専務が「はい、会長へのご報告を終えた後、すぐ参ります。担当の部長も、この件で急ぎ海外へ参りますので」と答えました。専務が部長のところへ行くこと、部長が海外に行くこと、これは謙譲表現をする必要はないのですが、答える相手が社長なので丁重に話しているというわけです。
 つまり、簡単にいうと、謙譲語Ⅰは、自分の行為や物事の向かう相手に対して敬意を込めてへりくだる、謙譲語Ⅱは、とにかく自分の行為や物事をへりくだってつつましく話す、ということです。なーんだ、それだけか、はい、それだけです。(^^)/
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「○○さんとご一緒になって」って?

2007-05-12 08:50:51 | めちゃくちゃな敬語
              ご一緒させてください
 謙譲語の基本の形は「ご(お)~する」ですから、「ご一緒して」という言い方が普通です。この「○○さんとご一緒になって」というのはどういう状況を言ったものかというと、故郷に帰る飛行機で偶然、有名人の○○さんと乗り合わせたということで、別に○○さんと知り合いというわけではなく、「ご一緒して」とはちょっと言いにくいわけです。それで「ご一緒になって」と言ってしまったということなのですが、「ご」が余計です。この場合、「○○さんと一緒になって」と言うしかありません。「ご一緒になる」は尊敬語の形ですから、この場合は使えませんし、一般的に、「一緒になる」は「結婚する」という意味で使われていますからね。
 ここにまた一つ大きな問題があります。皆さんはお気づきでしょうか。敬語はもちろん必要なものですが、今の日本人は、きちんと敬語を使えないのに、いかなる状況でもごてごての敬語を使わねばならぬと思っていて、その結果、何だか変なことになってしまうわけです。犯罪者にまで敬語、ということは以前書きましたが、有名人だろうが偉い人だろうが、偶然同じ飛行機に乗り合わせたことについて謙譲表現などしなくてもいいのです。空港で会って、何か理由があって「ご一緒させてください」と頼んだのなら別ですが、何でもかんでも敬語というのはやりすぎです。
 先日、魚に対して謙譲語という場面を見ました。ある女優が、ダイバーに「マンタに高い確率でお会いできたのですね」・・・ぷぷぷ、笑えます。笑えない人はしっかり謙譲語の基本の形を思い出してください。「ご(お)~する」の可能表現は「ご(お)~できる」です。この場合、ダイバーに対して尊敬語を使えばいいわけで、「マンタに高い確率でお会いになれたのですね」となりますが、そもそも広い海で魚に「会う」という表現が適切ではなく、「マンタに高い確率で遭遇なさっているのですね」ぐらいがいいのではないでしょうか。芸能人はごてごて敬語が好きで、その割りに尊敬語はめちゃくちゃ、何でも謙譲表現で言わなければ気が済まないようなのですが、その結果、とんでもないことになっています。これについてはまた後日書きますね。
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「ご(お)~する」が謙譲語の基本。

2007-05-11 11:17:07 | めちゃくちゃな敬語
                訳を申せ、訳を。
 社長に用があって社長室に会長が来たら、社長秘書のあなたはどうしますか。いちばん上に会長がいて、その下に社長と秘書がいる、会長に対して、社長と秘書は同じ側、内側の人間には謙譲語を使いますから、「社長は、海外からの大切なお客様をおもてなししております」ですね。これからお客様がいらっしゃるという時点での会話なら、「社長は、これから海外からの大切なお客様をおもてなしします」「うん、そうか、抜かりはないね、頼むよ」「はい、十分な準備をいたしましたのでお任せくださいませ」、ま、こんなところでしょうか。でも、会長と社長が兄弟や親子といった親密な間柄なら、会長も社長も秘書から見て外側になりますから、「社長は、海外からの大切なお客様をもてなしていらっしゃいます」のほうがいいですね。
 要は気持ちの問題です。人間関係さえ明確になっていれば、そのときそのときの素直な気持ちで敬語を使えばいいわけで、尊敬語と謙譲語の区別ができていれば簡単なことです。では、社長に用があって来たのが得意先企業の副社長だったらどうしますか。当然、その副社長は外側の人ですよね、したがって、社長は内側、下げればいいのですから、社長の名前が鈴木なら、「鈴木は、ただいま、海外からのお客様をおもてなししておりますところで、まことに申し訳ありませんが・・・」となります。肩書きは敬称にもなるので、外側の人に対しては使えません。ただし、「まことに申し訳ありませんが、専務の佐藤がご用件を承りますので、こちらへどうぞ、ご案内いたします」という言い方ならしてもいいですね。
 さて、ここで質問です。「社長が申されまして」はおかしいですか、おかしくないですか? 先日、NHKの「日本語塾」で、「おかしくない」が49%、「おかしい」が39%という調査結果があるというのを聞いてびっくりしました。言うまでもなく「申す」は謙譲語ですから、「れる・られる」を付けたから尊敬語だなんて言っても通りません。「申されまして」は間違いです。ただし、「殿様が申されまして」となると話は別です。昔は荘重な言い方として「申す」があったわけで、謙譲語として使っていたわけではないからこれでいいのです。今でも、申し込み、申し越し、申し出など、謙譲の意を持たない言い方が幾つか残っています。
 殿、私は反対だと申し上げているのです。藩主のわしがいいと申しておるのだからいいではないか、そちは何故反対なのじゃ、訳を申せ、訳を。はっ、では、恐れながら申し上げまする、殿は以前かように申された、民の幸せを・・・。うーん、そうなんだけど・・・、時代劇の「申されまして」が現代人の感覚をおかしくしているかと思うとちょっと残念です。「仰せになって」とでも言えばいいのに、そうすれば49%だなんていうひどい結果にはならなかったかも・・・。正しくは、単に社長を上げればいいのなら「社長がおっしゃって」、外側の人に対して言うのなら、社長を下げて「社長の鈴木が申しまして」ですね。
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「監督さんが丁寧に教えていただいて」って?

2007-05-10 10:38:43 | めちゃくちゃな敬語
                 だれだよ!?
 このセリフの主語はだれでしょうか。「監督さんが」ですから、監督ですね。では、監督はだれから何を教わったのでしょうか。実をいうと、これは、ある若い女優が「初めての役で、監督さんが丁寧に教えていただいて・・・」と言っていたわけで、そう、お分かりですね、監督が教わったのではなく、この女優にいろいろ教えたのです。今、10人中9人がこういう言い方をしますが、いつまでもこれでいいのでしょうか。そもそも助詞を間違えているのですが、尊敬語と謙譲語をきちんと区別していないので助詞の間違いに気づくことができないわけです。「教えていただいて」は尊敬語ですか、それとも謙譲語ですか?
 主語を監督にするなら、監督の行為に対して敬意を込めて尊敬語を使い、「監督さんが丁寧に教えてくださって」と言わなければいけません。「教えていただいて」は謙譲語であり、自分の行為をへりくだって言う言葉、つまり、自分が主語でないといけないのですから、「初めての役ですから(私からお願いして)監督さんにいろいろ教えていただいて」となります。主語、助詞、述語、尊敬語、謙譲語、監督が自ら進んで教えてくれたのか、自分が監督に依頼して教えてもらったのか、そういうことを全く何も区別せず、ただ単に「いただいて」を語尾に付けさえすればいいという話し方ですが、ほとんどの人がこうなのでそれほど目立ちません。でも、これは明らかな間違いですから、まず、このことをしっかり認識していただきたいと思います。
 さて、尊敬語「くださる」と謙譲語「いただく」を比較して、どちらがより敬意の度合いが高いと感じますか。人に何かを依頼するときは、「~いただけませんか」「~いただけますか」「~くださいませんか」「~くださいますか」「~ください」という順番になりますが、依頼したのではなく、その人が自らの意志で何かをしてくれたという場合は「~くださって」と言うのが自然です。この「~くださって」を、昨今はほとんど聞くことがありません。上記の女優のように何でもかんでも「~いただいて」だから聞かれないのか、現実に、頼まなければ何もしてもらえないから、「~くださって」と言いたくても言えないのか、果たしてどちらでしょう? 嫌々やっている人に「~くださって」は確かに嫌味ですけれどね(^^;)。
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敬意の度合いは立場によって違う。

2007-05-09 11:20:21 | めちゃくちゃな敬語
 専務には「社長は、海外からの大切なお客様をもてなしていらっしゃいます」、新入社員には「社長は、海外からの大切なお客様をおもてなしになっていらっしゃいます」、この違いは何かというと、社長と専務の関係、社長と新入社員の関係、そして、専務と秘書の関係、新入社員と秘書の関係、この違いです。社長と専務は2~3期しか離れていないかもしれませんし、下手したら同期だったりして、今日まで一緒に頑張ってきた間柄かもしれません。でも、新入社員にとって社長はずーっと上の人ですから、最上級の敬語を使います。
 また、専務は、社長に何か報告するとか、重役会議とか、あるいは、社長のスケジュールについて打ち合わせをするとか、秘書としょっちゅう顔を合わせているでしょうから、「社長は?」と気軽に言うでしょう。新入社員は、直接社長に用事があるなどということはそんなにないはずで、この秘書とも恐らく初対面でしょう。当然、新入社員のほうも最上級の敬語を使うわけで、「人事部の田中と申します。このたびの件につきましてご報告申し上げたいのですが、社長のご予定はいかがでしょうか、10分ほどお時間を頂けませんでしょうか」と言ってきたら、「ただいま、社長は、海外からの大切なお客様をおもてなしになっていらっしゃいます。3時以降でしたら・・・」というようなことになるでしょう。
 そして、もう一つ、全体のコーディネートということがあります。「昼飯を食う、うめぇ」→「昼ご飯を食べる、おいしい」→「昼食を頂く、おいしゅうございます」ですから、「昼ご飯をお召し上がりになる」よりも「昼食をお召し上がりになる」、最上級の敬語なら、「明日」は「あす」ではなく「みょうにち」、「明後日」は「あさって」ではなく「みょうごにち」、「昨日」は「きのう」ではなく「さくじつ」です。「さっき来ました」→「先ほどいらっしゃいました」、「女の人だった」→「女性でした、ご婦人でした」、「課長、お帰りなさい、お疲れさまです」→「社長、お帰りなさいませ、お疲れになりましたでしょう」、それぞれふさわしい組み合わせがありますから、これを忘れないようにしましょう。これでバッチリ d(^-^)。
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「ご(お)~になる」は大げさな感じ?

2007-05-08 11:24:19 | めちゃくちゃな敬語
                ランチどうする?
 「社長は、海外からの大切なお客様をもてなしていらっしゃいます」は現在進行形ですが、これからお客様がいらっしゃるという時点での会話ならどのように言いますか? 「社長は、海外からの大切なお客様をおもてなしになります」ですね。でも、もしかして、今、こういうふうに言うのは照れくさいなと思いませんでしたか? 4月30日に「自分のキャラに合わない・・・」ということを書きましたが、敬語をさらりと使う自分も当たり前の自分だと思って、あるいは、敬意を持っていなくても敬語を使わなければいけない場面だってあるのですから、必要に応じて敬語を使うキャラを演じるというのもいいですね、とにかく照れずに敬語を使い、慣れましょう。
 敬語は、人間関係やTPOでふさわしいものが決まるわけで、言葉に込める敬意の度合いは立場によって違うのですから、自分、相手、話題中の人物、この人間関係が明確であることが前提です。自分と同じ側(内側)か、あるいは外側か、だれに対して敬意を込めるのかを考えます。他人に自分の身内の話をするときに尊敬語は使いませんからね。では、社長に用があって来たのが新入社員だったらどうしますか。私が秘書なら、「社長は、海外からの大切なお客様をおもてなしになっていらっしゃいます」と言います。いちばん上に社長がいて、その下に、秘書、専務、新入社員、3人は社長から見れば同じ立場ですから、同様に社長に対して敬意を込めますが、新入社員には、専務のときよりさらに敬意を込めた言い方をします。
 さて、ここまで読んで、この会社の規模はどれくらいだと想像なさいましたか。少なくとも社員数700~800人以上かなぁと私は思っているのですが、では、100人いないような小規模の会社ならどうでしょうか。社長も、若くて気さくな人柄で、毎日顔を合わせて一緒に仕事をこなしているといった場合、もちろん「ご(お)~なる」は基本ですが、それだと大げさに感じるというときは「~なさる」ですね。「明日(みょうにち)の会議にはご出席になりますか」→「明日(あす)の会議には出席なさいますか」、「本日は外へお出掛けになりますか」→「今日は外出なさいますか」、「昼食は何をお召し上がりになりますか」→「お昼は何になさいますか」、これくらいならさらりと言えますよね(^-^)。
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「社長はお客様をもてなされております」って?

2007-05-07 12:02:16 | めちゃくちゃな敬語
             いつもより多く回しております
 社長に用があって社長室に来た専務に社長秘書が「社長は、海外からの大切なお客様をもてなされております」と言ったら、おかしいですか、おかしくないですか。こういう言い方はとてもよく聞く、というより、放送業界ではほとんどこういう言い方になってしまっているようで、これを「おかしい!」と言い切るにはちょっと勇気が要りますが、私は、この言い方にはかなり違和感があります。それに、一般の人の講演などではあまり聞かれない言い方ですから、単純に、スマートに、「もてなしていらっしゃいます」と言えばいいのではないでしょうか。さらりとこう言えたら格好いいと思いませんか? これではちょっと物足りない、最上級の尊敬語でということなら、「おもてなしになっていらっしゃいます」です。
 ここでちょっと考えてみていただきたいのですが、「おります」はどういうときに使いますか。「商売をやっております」「勉強しております」「はい、おります」のように、丁寧語というより、自分の側のことについて謙譲の意を込めて使うことが多くありませんか。もちろん、単なる丁寧語として使ってもいいわけで、実際、よく使われていますが、「現在、激しい雨が降っております」といった表現ならともかく、尊敬語に続けて言うとどうもおかしい、せっかく持ち上げたものがガクッと落ちたような感じになるのです。よって、「もてなされております」とは言わないほうがいいでしょう。「もてなしておられます」という形は言いやすいので、一般でもかなり広く使われ、抵抗感もだいぶ薄れていますが、尊敬語としてのランクはだいぶ落ちます。
 何でもかんでも「れる・られる」で済ませていると「もてなされて」としか言えなくて、「もてなされています」ではいま一つ敬語っぽくない、そこで「います」を「おります」にしてさらに丁寧に言ったつもり、というのでは、やがてちゃんとした敬語を使えなくなりますよ。
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目が覚めたらテントの外にいた。

2007-05-06 11:41:16 | いろいろあれこれ
 ハムスターが低い方を頭にして眠っているのをよく見かけますが、人間は、それは苦しくてできませんよね。肺炎のときは、平たく普通に寝ると咳が止まらなくなるので、少し体を起こすと楽です。20年ほど前、入院した病院にたまたま友達が先に入院していて、肺炎だと言ったらベッドを起こすといいよとアドバイスしてくれて、そのとおりにしたところ、咳も出ず、楽に眠ることができました。担当医から「そういうふうにしてると楽?」と聞かれたので、「はい、咳が出なくて楽です」と答えると、「ふーん」と言いました。友達に感謝です。
 キャンプで、やむをえず斜面にテントを張ることがありますが、中学生のとき、あるイベントで、出入り口を低い方に向けてテントが張られていました。5人のグループで、私はいちばん出入り口側に寝ていたのですが、朝、目が覚めたとき、テントの外にいました。うわぁ~外だよ~、やられた~、まあ、当然といえば当然ですが、いつの間にかほかの4人に押し出されたようです。夏だったので、別に寒くはありませんでしたが、早朝の、少しひんやりした、澄んだ空気の中で早く目覚め、そこでそのまま森の朝の雰囲気を味わいました。
 自然の中で目覚める気持ちよさというのは、春、夏、秋、海辺、森の中、原っぱ、それぞれの魅力があって、一度味わうとやめられませんね。朝は、炭ではなく、薪を燃やし、ホットケーキの粉を水で練って耳たぶほどの軟らかさにして木の枝に巻きつけて焼く、くるくる枝を回しながら焦がさないように気をつけて。湯を沸かし、熱いコーヒーをいれ、昨夜の鶏の丸焼きの残り少々、ゆっくり食べて、ゆっくり片付けて、その後は近くの温泉へ。もっとちょいちょい行きたいけれど、今は1~2年に1回です。
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すっごい枝毛にあ然。

2007-05-05 11:41:02 | いろいろあれこれ
 石川県七尾市で青柏祭(せいはくさい)が盛大に行われています。高さ約12mの山車、七尾では「でか山」と呼びますが、府中町、鍛冶町、魚町(うおまち)から、合わせて3台が出て、車輪は直径2m近くありますから、曲がり角では辻廻しが見られます。私は、15年ほど前でしょうか、見に行ったことがあるのですが、観光客も綱を持ってでか山を引っ張ることができて、大いに楽しみました。観衆は、どこかに座ってというのではなく、適当な場所に立って見ます。
 私も、でか山の少し先の道路脇に立ってでか山が来るのを待ち、すぐ目の前に来たでか山に目を見張り、歓声をあげながら楽しんでいたのですが、突然、視界いっぱいに明るい茶色に染めた肩につくぐらいの長さの髪が映ったと思った瞬間、その髪で顔をはたかれました。そのぐらいの長さの髪の女性って、よくやりますよね、肩の前の方に出てきた髪をバサッと後ろへやるしぐさ。後から来て人の前に立つとは・・・しかも、髪が顔に当たるほどの至近距離、猛烈に腹が立って「なにすんだ、こんにゃろ」と言おうとした「な」のところで改めて目の前の茶色い髪がはっきり見えて、「な」の形でぽかーんと口を開けたまま見入ってしまいました。
 そう、髪全体がものすごい枝毛、髪というより枝毛、こんなすごい枝毛見たことないっていう枝毛、本当に枝みたいだ、小枝がいーっぱい、枝毛とはよく言ったものだ、リアルぅ~。で、しばらくして、「なにすんだ、こんにゃろ」の代わりに思わず出た言葉が「すっごい枝毛ぇ~」です。聞こえたのかな、チラッとこっちを見たような気が・・・。以上、青柏祭というと思い出す「枝毛の記憶」でした~ m(_ _)m。
 さて、支流、分派、支店、支部、分科という意味のブランチ( branch )は、もともと枝という意味です。枝分かれ、英語と日本語、似たような感覚ですね。そういえば、「枝」という字には「支」が入っていますね、ということは「支」という概念が先なのかな。竹の枝を1本手に持っている様子を表したのが「支」で、そこから「ささえる」、枝は幹から分かれたものだから「わかれる」という意味を表すそうです。うーん、鶏と卵みたい。
 写真は、年3回ほど作るチーズケーキです。焼きたてのチーズケーキのにほひ、まだ少し温かいチーズケーキを切り分けてぱくっ、たまりませーん。撮影中、ハムやんも少し食べました。
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脈絡なく出てくる変な言葉。

2007-05-04 11:59:42 | ディクテーションについて
               うぉ~すっきりしたぁ
 ほかの人が入力作業したものを見ると、面白いというか、悩むというか、あまりひどいと大変苦しむことになりますが、変なことがいろいろあります。雇用創出なのに「雇用喪失」、意味が逆になっています。新産業創出なのに「新産業総室」、うーん、これは微妙ですが、後で話がおかしくなってくるはずです。アレルギー減感作(げんかんさ)療法なのに「アレルゲン観察療法」、減感作療法を知らなければ「観察療法」はありえるかなぁ。声援を送るなのに「1000円送る」、お金のほうがありがたいかもしれないけれど、たった1000円では・・・。承認基準なのに「賞味期限」、食品の話だったので、これはありっちゃぁあり、とはいえ、間違いは間違い、話の前後が微妙につながりません。
 これは何をどう聞き間違えたのか全く分からないのですが、突然「便所」が出てきてびっくり仰天したことがあります。都会のキャリアウーマンへのインタビューで、仕事で頑張っている毎日の様子が語られていたのですが、当然のことながら、「便所」なんていきなり出てくるような話の流れではありませんし、かりにそういうことを言うとしても「トイレ」であって、今どき「便所」なんて言う人はいませんよね。ましてや、これはインタビューで、初対面のインタビュアーに語っているわけですから、スマートな都会のキャリアウーマンがいきなり「便所」なんて言わないでしょ! それでも「便所」と入力して、明らかにおかしいのにそれで平気でいるのですから、日本語センスという以前の問題でしょう。
 それから、1月21日の記事に思い込みは恐ろしいということを書きましたが、関西弁っぽいアクセントながら、言葉そのものは標準語で「ほんとにありがとぉ」なのに、「ほんまにおおきに」と入力してあったことがありました。その作業者は、話者が関西出身だから関西弁でしゃべっている、関西弁だから「ほんまにおおきに」だと思い込んでいる、だからそう聞こえたのでしょうね。いやはや、思い込みというのは本当に恐ろしいものです。耳から入ってくる情報を見事に狂わせるのですから、ディクテーションに限らず、日常の会話でも、その人その人の考え方、ものの見方、持っている知識、物事に対する姿勢などがかなり影響しているのでしょうね。「~と言ったでしょ」「~なんて言わないよ」という争いは永遠になくなりません。
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「ディスプレー」と「モニター」は同じ?

2007-05-03 11:05:33 | 気になる言葉、具体例
            出たぁ、あ、なんだ、ハムやんか
 昨日、ディスプレーについて書いていて、そういえば、コンピューターに付いていたリファレンスガイドには「モニタ」と書いてあるけれど、ディスプレーとモニターは同じなのか、違う意味の言葉なのか、気になって調べてみました。ちなみに、モニタとモニター、どっちなんだと思われたでしょうが、どちらでもいいのです。ただし、コンピューター関係の文書ではコンピュータ、モニタ、メモリで、一般の文書ではコンピューター、モニター、メモリー、私はこのように使い分けます。そして、コンピュータならコンピュータで、コンピューターならコンピューターで、同一の文書内では統一します。公式サイトでも、この「同一の文書内では統一」というのが意外にできていないのですよね。
 ディスプレー(ディスプレー装置)とは、コンピューターの表示装置、ブラウン管ディスプレーや液晶ディスプレーなど。そっか、以前使っていたデスクトップパソコンのはブラウン管ディスプレーだな。モニターとは、テレビのブラウン管、コンピューターのディスプレー。うんうん、昔からテレビはモニターだったな、コンピューターの表示装置はディスプレーでもモニターでもいいんだな。英語の辞書を見ると、ディスプレーは表示という意味で、モニターは監視装置という意味ですから、使い分けが必要になるのはこのあたりでしょうか。明確に監視装置という用途ならモニターでしょうか、「モニターをチェック」とは言いますが、「ディスプレーをチェック」とは言いませんね、ふむふむ。
 ついでにちょっとおさらいをしましょう。インターネットの玄関口であるポータルサイトのトップページを見ると、いちばん上に「○○をホームページに設定する」と書いてあります。「ホームページ」とは、もともと、サイトのトップページを指す言葉ですが、「ホームページに設定する」というときは、インターネットに接続したとき、最初にその画面が表示されるようにするということになります。一般的に「ホームページ」と呼ばれているものは「サイト」と呼ぶのが正しいのです。それで、意味があいまいになっている「ホームページ」という言葉を使わないようにしようと思ったのですが、ついつい使っちゃいますね、反省~ m(_ _)m。
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電磁波って、結局どうなの?

2007-05-02 10:52:11 | いろいろあれこれ
             CDはB面がないって本当?
 4月28日に「コンピューターのディスプレーから電磁波が出てきて体に影響がある・・・」ということを書いたところ、それは気にするほどのことはないといった内容のコメントをもらいました。私は電磁波について特別な関心を持っているわけではありませんが、よくないということは耳に入ってきますし、実際、液晶に替える前はモアーッとした何かよくないものを感じていたことは事実ですから、全く何もないということはないだろう・・・とは思いますが、その正体は何なのか、どのようによくないのか、どれくらいよくないのか、はたまた全く気にする必要のないものなのか、冷静に、科学的に、いろいろな資料を読んで自分はどう対応していくか考えてみるのもよかろうと思います。
 世の中の情報の伝わり方には少しゆがみがあって、悪いという情報のほうが、いいという情報よりも、量においても伝わるスピードにおいても優勢になりがちですね。私の周りにも、電磁波はこんなに悪いものなんだぞという情報をわざわざメールしてくれる人がいましたが、ノート型に替えたら楽になった、液晶はブラウン管に比べて電磁波の影響が少ないらしいからね、という話をしたら、「え、本当?」という意外な反応でした。そういうことは全く知らなかったようで、かえってこっちがびっくりしました。電子レンジや携帯電話の電磁波がどうのこうのとしょっちゅう言っているのに知らなかったのか? 私でさえ知っているのに・・・。
 どういう情報が入ってくるかというのは「偶然」という要素が大きいだろうと思うのですが、A面の情報を受け取ったらB面の情報も自ら入手し、両面の情報を等しく見て判断しようという姿勢がなければ正しい判断をすることはできないのではないでしょうか。本当に正しい判断だったかどうかという結論は、すぐに出ることもあれば出ないこともあり、自分の判断を信じるしかないという場合もありますが、関心のない面の情報は左の耳から右の耳へするっと抜けるものなので、そういうことで判断を誤らないように、少なくともB面の情報を無視することはないようにしたいものですね。
 ここでまた浮かんできた言葉が「思い込み」ですが、信じることと思い込みは違いますよね。いいという情報、悪いという情報、正しい情報、誤っている情報、善意の情報、悪意の情報、得する情報、損する情報、さまざまなものが氾濫する世の中、自分にプラスになる情報のみが入ってくるとはかぎりませんから、たまたま入ってきた情報をそのまま鵜呑みにせず、よく考えて取捨選択することが大切です。さて、電磁波ですが、まだ、何だかよく分かりません。提示された資料を全部じっくり読んだわけではありませんが、ざっと読んだところ、不安が吹き飛ぶというほどでもない、ということで、まあ、基本は「備えあれば憂いなし」ですから、とりあえず、ちょっとした注意で避けられるものは避けようと思います(^^;)。
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