◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「性別さえ判明できていない」って?

2018-05-27 09:36:33 | 気になる言葉、具体例
                                  匂いでは判明しない?

 「(遺体は)損傷が激し過ぎて性別さえ判明できていないという」(2017/10/6 7:00配信 NEWS ポストセブン)って( ̄д ̄)! 「判明する」は「はっきり分かる」という意味で、「できる/できない」という言い方はしませんから「性別さえ判明していないという」でしょ! 安住紳一郎も「簡単には判明できないものがあって」と言ったことがありますが、「簡単には判明しないものがあって」でしょ!
 ライターやアナウンサーがそれぐらい区別できなくてどうするのでしょうかね。あ、思い出しました、だいぶ前に「とくダネ!」で「身元が判明できない」というナレーションを聞いたことがあります。「身元が判明した」は「どこの誰だかはっきり分かった」ということですから、「分からない」は「身元が判明しない」と言わないといけません。
 「特捜9」#1(脚本 深沢正樹)で「今のところ判明はされてないんですが」と言った長縄俊哉(山口森広)、俳優というのは台本に書いてあるセリフについて何も考えないのか( ̄д ̄)? 「分かっていない」は「判明していない」であって、「判明されていない」なんて言いません。「今のところ判明はしてないんですが」でしょ!
 石川テレビの何かの番組で「結果は週明けにも判明へ」というテロップを見たことがあるのですが、何だかもやもやします。「おなかの子どもの無事も判明」というナレーションを聞いたこともありますし、「モーニングバード」で「水の重さに建物が耐えられない事態が判明」というナレーションを聞いたこともあります。
 名詞の「判明」は「はっきりして内容が明らかなこと」で、自動詞の「判明する」は「はっきり分かる」です。「判明する」の「判明」なら、文脈で「はっきり分かる」か「はっきり分かった」であると受け取ります。「結果は週明けにも判明へ」の「判明」は、「~へ」ですから名詞でしょうか、そうだとすると、「結果は週明けにも『はっきりして内容が明らかなこと』へ」ですか?
 いいえ、違いますね。自動詞「判明する」の「する」を省略して「判明」と言えばいいわけで、「結果は週明けにも判明する」、つまり、「結果は週明けにも判明」です。最後の「へ」が余計ですよ、「判明へ」なんて言い方はしません。次の「無事も」は何とも気持ち悪いですね。「無事もはっきり分かった」なんて言いますか? 言いませんよ。「無事だと分かった」ですから「おなかの子どもも無事と判明」でしょ!
 「事態が判明」もむずむずします。「事態」は「明らかになる」ものであって、「事態がはっきり分かる」とは言いません。建物が、水の重さに耐えられるのか、耐えられないのか、その点について「はっきり分かる」という流れなら「判明する」と言えます。「耐えられないとはっきり分かった」ですから「水の重さに建物が耐えられないと判明」という言い方が自然です。
 それから、「気の重い出来事が待っている」は「白熱ライブ ビビット」のテロップとナレーションですが、売れ残りのクリスマスケーキはコンビニオーナーの買い取りになる、やがてまたキャンペーン商品が売れ残り、買い取ることになるだろう、それを「気の重い出来事」と表現していたのです。しかし、「出来事」は「ふと起こったこと」であって、買い取りを覚悟しないといけないのなら「事態」でしょ!
 「事態」は「事柄が進行してそうなった状態」で、「水の重さに建物が耐えられない事態が判明」の「事態」にこそ意味があるのなら「水の重さに建物が耐えられないという事態に」と言えばいいのです。もしもこれが「水の重さに建物が耐えられないという事態になっていると判明」と表現すべき状況なのだとしたら、かなり深刻ですよ <( ̄д ̄)>。
 おっと、「出来事」でもう一つ。一般人の文章に「これからの出来事なので幹事はまだ声をかけると思います」というのを見付けたのですが、文脈からいくと、この「出来事」は退職を予定している人のために開く送別会を指し、「声をかける」は、同僚に参加を促すということです。ということは、「これからの出来事なので」ではなく「もう少し先のことなので」でしょ! 日本語崩壊はどんどん進行しているようで・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「正しく恐れられている人」って?

2018-05-20 09:53:26 | めちゃくちゃな敬語
                                  恐れず挑戦せよ

 東北地方太平洋沖地震の影響で発生した原子力発電所の事故の後、放射能について正しい知識を持って「正しく怖がる」ということがいわれましたが、「正しく恐れている人」のことを「正しく恐れられている人」と言った人がいます。それ、受身じゃないですよね、分かっていますよ、だけど「正しく恐れていらっしゃる人」のほうがよくない?
 豪邸の駐車場に高級車が10台ほどずらりと並んでいる光景を見て、その家の奥様に向かって「ベンツが並ばれてますけど」と言ったのは、「ギリギリ昔話」という番組のスタッフです。「ベンツが」ですよ、「並ばれて」って( ̄д ̄)! 「ベンツが並んでますけど」と言えばいいのに、なぜ「並ばれて」なんだ?
 「きょうの料理」の大原千鶴は相変わらず「~ていただいて」「~たいと思います」をしつこく連発していますね。牡蠣を使った料理だったのでしばらくながめていたら「お正月のお残りがあられるかたも」と言ったのが引っ掛かりました。「お正月のお残り」とは何かというと、餅ですよ、「餅があられるかた」ですか?
 「相棒season8」#17「怪しい隣人」で「輸送車で運ばれていたんですね」と言った右京さん。これも受身ではありません。右京さんなら「輸送車で運んでいらっしゃったんですね」ぐらい言いますよ。「肩が凝られてますか?」と言ったのは若い女性タレントですが、お手軽敬語の「れる/られる」が氾濫して困ったことになっています。
 「先生も、とても気に入られてました」は「警視庁捜査一課9係 season11」#5で聞いたセリフですが、「先生も、とても気に入ってらっしゃいました」と言うべき場面です。脚本家に敬語をちゃんと書く力はない? 受身の「気に入られる」はたまに聞くことがあるので、尊敬の「れる/られる」が合わない例として「気に入る」は分かりやすいですね。「食べられる」も「召し上がる」と言わないと、ね。
 大型店舗で買い物をしているときに「○○ちゃんが迷子になられておられます」というアナウンスが流れたことがあります。何ですかね、このくどさは ┐( ̄д ̄)г。「○○ちゃんが迷子になっています」なんて言ったら誰か文句を言うんですか? それでも「○○ちゃんが迷子になっておられます」ぐらいでいいでしょう? このごろの日本人は敬語を何だと思っているのでしょうかね。
 「刑事ゆがみ」というドラマで、ある会社を刑事が訪ね、受付で社長に会いたいと申し出たら、なんと、受付嬢が「社長は本日おられません」なんて言いましたよ( ̄д ̄)! 台本にそう書いてあったのか? だとしても、そのまま「おられません」などと言うのは敬語を知らないということですよね、「(社長の)○○は、本日はあいにく外出しております」とか、せめて「(社長の)○○は不在です」とか、言えない?
 社長に電話がかかってきたが社長は外出中、という設定で応対してみてくださいと言われて「ご社長はご不在のため、折り返しお電話差し上げるということでよろしいでしょうか」と言ったのは、秘書検定2級を取ったという二十歳の一般女性です。ふざけているわけではなく、まじめに答えたようなのですが・・・┐( ̄д ̄)г。
 「直撃LIVE グッディ!」で弁護士が「覚せい剤を打って暴れているかた」と言いました。また、「教えてもらう前と後」という番組でサリン事件について話していたとき、田中美佐子が「一般のかたがサリンを作るっていうことが初めてだったんですか」と言いました。テロップは「一般人がサリンを作るのが初めて?」でしたが <( ̄д ̄)>。
 戦時に国家や軍が主導して化学者が兵器としての毒物を開発するということはあったけれど、そういうのとは関係のない人たち、そういう意味の「一般人」ということなのですが、大勢の人を殺す目的でサリンを作った犯罪者だと分かっているのに「一般のかた」と言うなんて、いよいよどうかしています( ̄д ̄)! このごろは、コメンテーターでも一般の人でも、犯罪者だろうがテロリストだろうが「かた」ですね。少しでも自分を品よく見せたいのでしょうけれど、( ̄д ̄)ダラケ! にしか見えないから!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「気づいていないうちに」って?

2018-05-13 09:39:32 | 言葉についてあれこれ
                                  気づいていない

 「この差って何ですか?」で「気づいていないうちに」というナレーションを聞いておかしいと思ってメモしていたら、また「気づいていないうちに」と聞こえ、画面を見たら「気付いていないうちに」というテロップが出ていて、その後、画面上部に「気付いていないうちに変わっていた!」とずっと出ていました( ̄д ̄)!
 例えば「彼はまだ気づいていない。今のうちに~」という流れならいいのですが、「気づいていないうちに」とは言いません。日本語として自然な言い方は「気づかないうちに」です。また、「変わっていた」と続ける場合、「気づかないうちに」より「知らない間に変わっていた!」のほうが自然です。
 ちなみに、「知らず知らずのうちに」は頻繁に聞こえてきますし、「まる得マガジン」でも「生活の中で知らず知らずのうちにたまってしまう肩こり」というナレーションを聞きましたが、「知らず知らず」は「気づかないうちに」という意味ですからね、「のうちに」は言わなくていいのですよ。
 「寮の屋上で首を吊って死亡したまま発見された」(2017/8/13 13:09配信 ハンギョレ新聞)にはびっくり。「死亡したまま」って( ̄д ̄)! 時間がたつと生き返る? うちの親戚にちょっと生き返った人がいましたけれどね、そんなの滅多にないから。「寮の屋上で首をつって死亡しているのを発見された」か、「寮の屋上で首をつって死亡したと思われる遺体が発見された」でしょ!
 「信濃のコロンボ5~『信濃の国』殺人事件」(脚本 穴吹一朗)で「首に絞められていた痕があり、絞殺で間違いないとのことです」と言ったのは刑事の木下隼人(川村陽介)です。ふぅむ、何分間絞められていたのでしょうかね( ̄o ̄)、緊迫感がなくなりました。人間はちょっと絞めたぐらいでは死なないらしいので、ある意味、“絞められていた”のかもしれませんが、やはり「絞められた痕」でしょ。
 「1930年代に建てられたビルは、一見したところ、ダメージはなさそうだった。ただ、すぐに中に入ることはせず、管理人と話したり、建物が倒壊しているかどうかを見極める方法をネットで調べることにした」(2017/9/23 5:00配信 東洋経済オンライン)って、「ダメージはなさそう」だから「倒壊」してはいないようですが・・・。大地震の後、「一見ダメージはなさそうだったが、今後、倒壊する危険性はないのか、見極める方法をネットで調べることにした」という話です。
 「思わず息をのんでしまうような作品です」と言ったのは北陸朝日放送の恩田琴江アナですが、前にも「鳥肌が立ってしまうような光景ですね」と言っていました。どちらも、素晴らしい、感激した、ということを言っているのですが、こんな言い方をするのだから本心は違うかも・・・なんてね <( ̄・ ̄)>。
 恩田アナの話す日本語はいつも少しおかしくて、どうも日本語のセンスが足りないようです。まず、「~てしまう」が余計で、そこへさらに「~ような」なんて続けるからどうしてもうそっぽい感じになるのですよ。私なら、「思わず息をのむ、そんな作品です」と言いますし、「鳥肌が・・・」は、一種の“はやり”ですよね、そんな言い方はいいかげんやめましょうよ。
 ところで、山口達也の事件の影響が思わぬところで出てまして・・・┐( ̄д ̄)г。日曜日の午後11時からNHKで放送される韓国ドラマ、先月から「オクニョ」が始まって、久しぶりに見てみようという気になって第1回から見てきたのですが、第4回(4月29日放送)で登場した捕盗庁(ポドチョン)の武官、カン・ソノを見てびっくり! 山口達也そっくりなのです。
 最悪のタイミングで出てきたなぁ~と思ったのですが、第5回(5月6日放送)では、主人公であるオクニョの前に体探人(チェタミン)として姿を現します。そのときの様子が、最初は暗がりの中に立っていたので「なんで山口達也?」となり、その後、何度も出てきたのですが、もう山口達也にしか見えないわけで、どうにも不快で・・・、しかたない、見るのをやめます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「宮司継承をめぐった恨みから」って?

2018-05-06 09:39:59 | 言葉についてあれこれ
                                  今度は宮司?!

 「宮司継承をめぐった恨みから」は、土曜日夕方の「みんなのニュース」(フジテレビ)で聞いたナレーションですが、なぜわざわざ「めぐった」なのか( ̄д ̄)? 「宮司継承をめぐる恨みから」でしょ! 「○○をめぐる争い」や「○○をめぐってAとBが争う」が過去のことであれ現在のことであれ、「めぐった」とは言いません。
 「犯行後、茂永容疑者は神社の敷地内で真里子容疑者の胸と腹を刺し、自らも胸を刺して自殺を図った。(中略)7年にわたり宮司不在の状態が長く続いていた。(中略)今後、宗教界にも民間企業のようなガバナンスの考え方を導入していくべき時期に来ているのだろうか」(2017/12/10 7:30配信 AbemaTIMES)って、これを書いた人、時間の感覚がおかしいですね。
 記事を最初に読んだとき、「自殺を図った」って、ん? 未遂だっけ? いや、死んだよね、というふうに戸惑いました。事件が起きたのは12月7日の夜で、容疑者は姉と妻を殺害した直後に自殺したのです。配信されたのは10日ですから容疑者はすでに死亡しており、「自殺を図った」ではなく「自殺した」です。
 「7年にわたり宮司不在の状態が長く続いていた」はくどいですね、「7年にわたり」と書いたのなら「長く」は不要です。長いということを強調したいのなら「7年の長きにわたって宮司不在の状態が続いていた」と書けばいいのですよ。「長き」は名詞で、「長い期間」という意味です。
 「今後、~~~時期に来ているのだろうか」も始めと終わりがつながっておらず、日本語として成立していません。「今後」に続けるなら「宗教界にも民間企業のようなガバナンスの考え方を導入していくべきなのだろうか」ですし、「時期・・・」と書きたいのなら「今後」ではなく、「そろそろ」「いよいよ」などに続けて「宗教界にも民間企業のようなガバナンスの考え方を導入すべき時期が来ているのだろうか」です。
 「安心した日本、安全に暮らせる国」「安心した気持ちで生活した」「安心した生活を送れるように」「安心した社会のためにも」って、NHKのアナウンサーまでもが・・・。「安心な」だったら形容動詞ですから「安心な~」はありえなくもないですが、「安心した」って何? 「安心した日本」は「日本は安心した」ということになりますけど。
 「安心」の反対は「心配」ですから、「心配した日本」「心配した気持ち」「心配した生活」「心配した社会」もありますか? いや、ありませんよ。やはり「安心な日本、安全に暮らせる国」ですね、もっと言えば「安全な日本、安心して暮らせる国」でしょう。「安心して生活した」、「安心な生活を送れるように」もしくは「安心して生活できるように」、「安心な社会のためにも」もしくは「安心できる社会のためにも」でしょ!
 「お騒がせしておりますことを深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした」と言ったのはコインチェックの社長。「本当に申し訳ございませんでした」と言ったのは、はれのひの社長。どちらも、騒ぎの真っただ中で「申し訳ございませんでした」と言ったのです。何も終わっていないのにもう終わった気になっていた?
 山口達也(TOKIO)が4月26日の謝罪会見で「お酒の関係でちょっと体を壊しまして」と言いましたが、「お酒の関係」って何ですかね ┐( ̄д ̄)г、こんな言い方をする人に断酒は無理。他のメンバーがその後コメントを出しましたが、城島茂は「本当に申し訳ございません」でd(⌒・⌒)good。国分太一「誠に申し訳ございませんでした」、松岡昌宏「重ね重ね申し訳ありませんでした」、長瀬智也「申し訳ございませんでした」、リーダー以外はみんな過去形って、なぜ?
 ところで、「警視庁・捜査一課長」の運転担当(塙宣之)、どよ~んとした目つきといい、姿勢の悪さといい、これまでいろいろなドラマで見てきた運転担当に比べると、何という見てくれの悪さ! 一課長運担のイメージと違い過ぎて、その違和感たるや我慢できないレベルなので見るのをやめました。
 「ふるカフェ系 ハルさんの休日」は、古民家カフェは見たいので、渡部豪太と他の人たちが繰り広げるわざとらしい芝居を我慢して見てきたのですが、「静岡・浜松~元スウェーデンの教会カフェ~」でとうとう我慢の限界を超える芝居を見せられ、残念ですが、もう見るのをやめようと思っています <( ̄д ̄)>。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする