◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「心を鬼にしてまで」って?

2015-04-26 09:56:10 | 言葉についてあれこれ
                                  鬼! あ、蟹!

 「Tシャツで顔を覆って(中略)上半身はなぜか裸」は「とくダネ!」で聞いたナレーションですが、( ̄д ̄)ダラケッ! としか言いようがありません。倉庫(工場?)に侵入してふざけている男性は、自分が着ていたTシャツを脱いで頭に巻き付けて顔を隠しているのだから上半身裸なのは当然。ナレーションも、それは分かっている、だから「Tシャツで」と言ったのに、なぜ「なぜか裸」なんて言うんだ?
 「遺族の気持ちを逆なでするかのような」って( ̄д ̄)! 3月25日放送の「とくダネ!」で木嶋佳苗被告の獄中結婚について話していたプレゼンター。あのね、逆なでするかのような、なんてものじゃないから。明らかに逆なでしているから! 以下、日本語として間違っている、それ以上に、そのように表現すること自体がおかしい、つまり、日本語以前の問題ということで。
 「身なりのよさそうなおばあさんが『○はどこかしら?』と尋ねてきた」は一般の人の記述ですが、目の前にいるのに「よさそうな」って? 本当に上品な人かどうかはあれこれ話をしてみないと分からないかもしれませんが、身なりは見れば分かるから。高そうな服をしっかり着こなしているとか、年齢相応のきちんとした装いで、品よく、とてもすてきに見えるとか、それを「身なりがいい」と言うわけですよ。
 「直撃LIVE グッディ!」で立本信吾(フィールドキャスター)が「大きく損傷しているのが見て取ることができます」と言いましたが、はっきり見えるのですから「見えます」「分かります」と言えばいいのですよ。でも、この人だけではなく、ちょいちょい聞こえてきますからね。もっともらしい、放送業界の人が好む言い方です。
 「大量の荷物が見て取れます」と言ったのは「ひるおび!」の服部潤ナレーター。大陸の中国人が転売目的でわざわざ香港に来て紙おむつや粉ミルクや野菜を買う、だから、お土産と言える範囲をはるかに超えた大量の荷物を持ち帰るわけで、見れば分かりますよ、すっごい荷物がそこにあるから! だれも隠してないから!
 「強風で流されてきた流氷が見て取れます」と言ったのは中継先で現地の状況を話していた人(ローカルのアナウンサーor記者)、目の前の海に強風で流されてきた氷が浮かんでいるのが見える、ただそれだけ! 「見て取る」は「見破る、悟る」という意味ですからね、響きがかっこいいからって、だめですよ。
 「一人前のスタイリストとしてはまだまだ」は「初めて○○やってみた」で見たテロップですが、話し手(父親)は「一スタイリスト」と言ったのですよ。はっきりそう聞こえたのになぜ「一人前の」と書いたんだ? 息子はスタイリストとしてスタートしたばかりで、“一スタイリストとして”客観的に見るとまだまだ、つまり、半人前だと言っているのです。なのに「一人前の」という言葉を選択するなんてありえない( ̄д ̄)!
 「本物のお金に見立てた紙を燃やす」と言ったウエンツ瑛士、どうかしてる( ̄д ̄)! お金はお金、紙は紙、「本物の」は要らないでしょ! 日本にも三途の川の渡し賃というのがありますが、台湾では、先祖供養のときに“お金に見立てた紙”を燃やすそうで、あの世の先祖や神様への送金ということでしょうかね。
 「有毒ガスがまん延」は「世界まる見え!テレビ特捜部」のナレーション。アパート火災が発生し、火元の部屋は激しく燃えて有毒ガスが充満していますが、まん延というほどほうぼうに広がったりしてないから( ̄д ̄)! ここで「まん延」と書くセンスが怖いけれど、まさか、わざとじゃないよね?
 「これじゃぁ、何のために父親の代わりとして心を鬼にしてまで厳しく育ててきたか」は「まじっく快斗1412」(脚本 岡田邦彦)で聞いたセリフ。これは「心を鬼にして」と言えばいいわけで、母親が父親の分まで厳しく我が子を育てるのは「心を鬼にしてまで」なんて言うほどのことではないですよ、分かってないね┐( ̄д ̄)г。
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「そんな懸念があがり始めました」って?

2015-04-19 13:32:36 | 言葉についてあれこれ
                                  そっちに行かないで

 「そんな懸念があがり始めました」という「先人たちの底力 知恵泉」で聞いたナレーション、井上二郎アナウンサーがやっていたときです。ナレーションも井上アナですが、変だと感じないのでしょうか、アナウンサーなのに。そういえば、「冷静な判断力」だの「縁談話」だの、ちょいちょい変なことを言っていますね。懸念がある、懸念を抱く、懸念する、「あがり始めました」と続けるなら「懸念が」ではなく「懸念の声が」で、「そんな懸念の声が上がり始めました」ですね。
 「同情の目を引こうとしている」はアニメで聞いたセリフですが、「同情」は「集まる」もの。「目を引く」は「注意を引き付ける」という意味ですから、「同情の」に続けるのは無理。「同情を集めようとしている」が自然なセリフです。「死に追い込んだ」というドラマのセリフ、「追い込む」なら「窮地に」ぐらいでしょ。「死」なら、非常に遠くへ、つまり、あの世へ、ですから「死に追いやった」と言うものです。
 なべやかんは「披露宴のほうに殿が来ていただいて」だの「物議を醸し出す」だの、ひどすぎ( ̄д ̄)ダラケッ! 「披露宴に殿が来てくれて」「物議を醸す」でしょ! gooランキングの記事で「物議を交わしている」という記述も見ましたよ。何か勘違いしていますね、「かわす」じゃなくて「かもす」だから。
 「重要な任務を背負っていた」は「生死を分けたその瞬間 体感!奇跡のリアルタイム」のナレーションですが、「任務」は「帯びる」ものですよ。「1週間前ごろ」は「スーパーJチャンネル」で見たテロップ。「昨年の秋ごろ」「5月ごろ」という言い方はしますが、「1週間前ごろ」なんて言いません。日本人なら「1週間ほど前」です。
 「止めてくれるのを知った上でごねた、と見えざるを得ない」は長谷川豊が書いた記事から拾ったのですが、アナウンサーだったって? これで? 私なら「止めてくれると分かっていてごねたと見ざるを得ない」と書きますが。気軽にささっと書いているような感じですが、有名人なんだから、ちょっとぐらい推敲したら?
 ジーンズのポケットに穴が開いたので補修布を買ってきたのですが、使用方法のところに「補修布をカットし、衣類の裏側に(白い粒がついている面)当て、プレスして下さい」と書いてあり、衣類の裏側に白い粒とはどういうことかと不思議に思いました。横にあるイラストを見ると、上から順に、アイロン、あて布、補修布、(白い粒のあるの方)、衣類の裏、衣類の表、と書いてありました。
 白い粒のあるの方? これは絶対に中国製だ、と思いきや、なんと、日本製と書いてあります。うそだぁ~<( ̄д ̄)>! 白い粒というのは接着剤で、補修布の接着面を衣類の裏側に当て、アイロンで接着するのです。かっこ「( )」の中に適切に文字を入れてある文章は案外少ないのですが、これはひどいですね。
 「補修布をカットし、接着面(白い粒がついている面)を衣類の裏側に当て、プレスしてください」と書かなければならないところです。コピー製品、偽物を見破る一つのポイントとして、製品に付いているタグの日本語がおかしいというのがあると聞いたことがあるのですが、日本製でも変な日本語って・・・、本当に日本製? ちゃんとした日本語を書ける人にチェックしてもらうことって、できない?
 「被害者に誤りたいと供述した」は「とくダネ!」で見たテロップ。小倉智昭が「テロップに誤りがありました」と謝る場面を見てみたい。「ひかれた子どもたちに(ここで改行して)ノーブレーキで人をひいていた」は「スーパーJチャンネル」で見たテロップ。どうしたの? なんでこんなに慌てているんだ? 画面に出す前にチェックすることはないようですね┐( ̄д ̄)г。
 「三村マサカズ謝罪 ツイッター誤打してテレ朝批判」というニュース(2015年4月10日)を見ました。冠番組の告知のために「テレ朝」と打った後、それとは全く関係ない文章(お金儲けの為に仕事したらだめ・・・)をつなげて打ってそのまま発信、テレ朝批判のようになってしまい、翌日、誤りだと説明して謝った。と、まぁ、こういうことですが、発信する前に読み返さないのか? 自身の影響力を自覚してない( ̄_ ̄)?
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「写真が何かお役に立てればと思って」って?

2015-04-12 12:16:35 | 気になる言葉、具体例
                                  立ってる!

 多くの人が何だか分からなくなって少々困っている言葉がありますよね、「役に立つ」もそうではないでしょうか。ちょっと辞書を引いてみましょう。使ってみた結果、その働きが現れる、十分使える。「役立つ(やくだつ)」は自動詞、役に立つ。「役立てる(やくだてる)」は他動詞。「立って」を昔の金沢弁(能登もそうかな)で言うと「たちって」、幼い子に「立って」と言うときは「たっちしょ」でしたねぇ(⌒・⌒)。
 「写真が何かお役に立てればと思って」は、「相棒」season13#14「アザミ」(脚本 太田愛)で登場人物の新宮 奏(しんぐう かなで)が右京に言ったセリフ。事件当時(15年前)に撮影された写真があるから見てほしいというわけですが、それは「写真が(真相解明の)役に立てばと思って」ですよ、「役に立つ」の仮定形「役に立てば」です。敬語にしたつもりでしょうけれど、日本語として成立していません。
 例えば、「お役に立てればよいのですが・・・」と聞こえたとき、どういう状況を想像しますか? 「お役に立てず、申し訳ない」というセリフはたまに聞こえてきますよね、「相棒」でも米沢さんがたまに言います。言っている本人がだれかの手助けをすることになって、「(言っている本人が)お役に立てればよいのですが」ということになります。「役に立つ」→可能の「役に立てる」→仮定形の「役に立てれば」です。
 あるとき、話し手が「お役に立てたいという気持ちがあり」と言ったのですが、これは「お役に立ちたい」と言うべきだとすぐに感じました。自分がだれかの役に立ちたいということを言うなら「お役に立ちたい」です。お金そのもの、情報そのものを差し出して「役立てる」という場合は「役立てたい」で、「お」は要りません。
 「皆さんの意見をこれからの選択に役立たせていただきます」と書いたのは一般の人。「役立たせて」の基本形は「役立つ」ですが、「意見を」ですから「役立つ」は誤りで、「役立てる」でないといけません。「役立てる」を「~ていただく」の形にすると「役立てさせていただきます」となります。
 「少しでも役立っていただければ」と言ったのは一般の人。「役に立ってもらわないと困るんだよ」と偉そうに言っている人を見ることはありますからね、「役立っていただく」なんて、言葉だけそれらしくしても謙虚には聞こえませんよ。「役に立ってくれる」なら私も言うことはありますが。どうしてもこういう意味のセリフが出る場面なら「少しでも役立ってもらえれば」と言ったほうがむしろ嫌味がないですし、できれば「少しでも役立ってくれれば」と言えばいいのではないでしょうかね。
 「再生医療に役立てる情報がいっぱいある」とタレントが言ったとき、テロップは「再生医療に役立つ情報がいっぱいある」でした。再生医療に携わっている人が言うなら「役立てる情報」もありえますが、タレントが言うなら「役立つ情報」でしょうからテロップが正解。「役立てる情報」の場合でも、「再生医療に役立てるべき情報」もしくは「再生医療に役立てることができる情報」が自然です。
 「我々のところに来ていただくのは十分お役に立てると思います」というのを聞いたときは、何を言いたいのかちょっと分かりませんでした。例えば、Aさんが我々のところに来れば、我々が、あるいは、我々のところにある何かが、Aさんの役に立つ、我々はAさんのお役に立てる、ということなら・・・、「我々のところに来ていただくのは有用だと思います」とでも言いましょうかね。
 敬語でも、だれが上なのか、だれがだれに対して言っているのか、だれの行為なのか、聞いただけでは分からない、判別できないような言い方しかできないという状況になっていますが、何が(だれが)何の(だれの)役に立つのか、だれが何を役立てるのか、ちゃんと意識しないとちゃんと言えませんよ。
 今日は石川県議会議員選挙の投票日なのですが、◇◇市とは違い、△△市は静かです。これまで、ポスターは見ましたが、選挙カーを一度も見ませんでした。もちろん、遠くにいるらしい音は何度か聞いたのですが、見えない。見たいけれど、見えない。選挙カーが回る頻度や密度が低いのでしょうかね。それに、何よりも、「○○を××の場に押し上げてください」といった必死さがまるでないのですよ。なんか、つまんない( ̄~ ̄)。
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「ご予約方法・ご連絡先」について。

2015-04-05 11:22:12 | めちゃくちゃな敬語
                                  かごに盛ってみた

 だいぶ前に、「お席に限りが御座いますので必ず事前予約の上ご来場下さい。ご予約方法・ご連絡先につきましても同封いたしましたチラシをご覧ください」について、この「ご連絡先」は催しの案内状を送ってきた××社の予約専用電話×××-××××であり、「お客様がご予約なさるときの方法、××社の予約専用電話」だから「ご予約方法・連絡先」でいいと書いたのですが、先日、「向こうが『ご連絡』をする先なので、向こうの行動を示す敬語」というご指摘がありました。
 そうですね、最初に案内状を見たとき、「ご連絡先」って何かなぁ、予約専用電話×××-××××しか書いてないけど・・・と思ったのですが、これを書いた人は「お客様が『ご連絡』をする先」というつもりで書いたのでしょうか。正直言って、私はそこには全く思い至りませんでした。だって、「ご予約方法・ご連絡先」とわざわざ言うほどのものは見当たらなかったのですから。はて? お客様の「ご連絡先」でないことは明白だし、自社の電話に「ご(お)」? まぁ何にせよ、この流れで「ご予約方法・ご連絡先」はくどいし分かりにくいと感じたのです。
 もしも、予約専用電話とは別に問い合わせ等を受け付ける電話があって、その番号も大きく書いてあったとしたら「ご予約方法・ご連絡先」に大して疑問を持たなかったでしょうね。お客様がご予約なさるときの方法、お客様が問い合わせ等ご連絡なさるときの先(相手、電話番号)ということになりますが、その場合、予約専用電話の番号という情報は「ご予約方法」に含まれます。
 しかし、それならそれで、「ご予約方法につきましても同封のチラシをご覧ください。なお、問い合わせ等ご連絡は×××-××※※までお願いいたします」と、「ご連絡先」とは何かちゃんと分かるように書いてほしいのですよ。いずれにせよ、この場合は違います。連絡先は××社の予約専用電話×××-××××ですから、「予約」と「連絡」は別々ではなく、実際は「予約の連絡」なのです。
 ということは、「お客様がご予約なさるときの」+「方法・連絡先(電話番号)」、つまり、「ご予約方法・連絡先(電話番号)」ですから、わざわざ「連絡先」まで「ご連絡先」にする必要はないのです。この「ご連絡先」とは何なのか、そこを考えればもっとすっきりした書き方があると気づくはずです。
 敬語は、ただ盛り込めばいいというものではありません。そのときの記事には「席に限りがございますので必ず事前にご予約なさったうえでご来場ください。予約方法・連絡先につきましても、同封いたしましたチラシをご覧ください」と、直前に「ご予約なさったうえで」と書けば「予約方法・連絡先」でいい、とも書きましたからね、私はそれぐらいシンプルでいいと思っています。
 まぁ、そういうわけですが、今回これを書いて気づいたことがあります。「予約方法」に「連絡先(予約専用電話の番号)」という情報も含まれる、それなら「予約方法・連絡先」の「連絡先」も不要ですね。いっそのこと「席に限りがございますので、必ず事前にご予約なさったうえでご来場ください。予約方法につきましても、同封のチラシをご覧ください」にすればよかった、それで十分です。
 ところで、以前、「○○さんご自作の△△」というのを聞いたことがあるのですが、「○○さん自作の△△」と言えばいいのですよ。プリンセスチューリップの女性が「来月お渡しできるご予定となっております」と言うのを聞いたこともありますが、「ご予定」は変ですね。何も考えないでやたら「ご(お)」を付けてくどくど言う人が多いのですが、「来月お渡しできる予定です」と言えばいいじゃないですくわぁ!
 「ご社長はご不在のため、折り返しお電話差し上げるということでよろしいでしょうか」と言ったのは、芸能人ではなく、一般の人、二十歳の女性です。決してふざけているわけではありません。いつだったかテレビで見たのですが、秘書検定2級を取ったとかで、それなら、社長の留守中にかかってきた電話に応対するという設定でしゃべってみてと言われ、こう言いました。そこらじゅうにこういう人がいるから私の変な日本語アレルギーは悪化する一方なのですよ(^^;。
 あ? 「過激派のかたって、いらっしゃるんですか」って言ったよね、「戦後70年 キーワードで比べてひも解く日本」という番組で、若い女性、アイドル? 「母の話なんですが、すごい霊感の強いかたで、看護師のお仕事をしていて」と言ったのは女性タレント。「掃除をしているそばでゴミを捨てていくかたがいらっしゃったのはとても残念でした」と言ったのは若い男性(アナウンサーもしくは記者)。謙虚に見せたい、品よく見せたい、気持ちは分かりますが、それは違いますよo(`д´)o!
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