◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「猫の手でも借りたい」って?

2012-06-27 18:43:32 | 言葉についてあれこれ
                             猫ちゃんも忙しいんだよ

 人材派遣会社のCMに出てくるセリフなのですが、忙しすぎてイライラしている若い女性が半ばやけっぱちで「猫の手でも借りたい~~~」と言って仕事の手を止め、そこへ登場した猿に向かって「あんた猿じゃないのっ!」と言います。猫より猿のほうがましなんじゃないの?
 普通は「猫の手も借りたい」と言うものですから違和感があります。それに、「猫の手も借りたい」と言っている人は実に忙しそうですが、あくまでも頑張っている最中であり、投げやりにはなっていません。すでにやけっぱちになっている人に「猫の手でも借りたい」なんて言われてもねぇ~、そもそも「猫の手でも」って何ですか、「でも」って。聞いた瞬間、人材派遣会社なのにそんなこと言っていいのかと疑問を感じました。ま、現実には猫の手ということもありますがね(ーー;)。
 「藁をもすがる思いで訪ねたのは」は「夢の扉+」で聞いたナレーションですが、おかしいでしょ? ちょいちょい聞くので、分かっていない人が大勢いるようですが、「藁をもつかむ」か、「藁にもすがる」か、どちらかですよ。「~をつかむ」と「~にすがる」は区別できていても、「溺れる者は藁をもつかむ」ということわざに引っ張られ、「つかむ」でも「すがる」でも「藁をも」と言ってしまうのでしょう( ̄・ ̄)。
 CMで「三度の飯よりカレーが好きだ」という変なセリフを繰り返し聞かされますが、カレーは飯だ! 私は三度の飯がカレーでもいいくらいだ! なにしろあの免停タレント(車のCMになんか出るから、あえて免停タレントと呼ばせてもらいますよ、出すほうも出すほうだけどね)は「~ていただく」症候群のスーパースプレッダーですから、変な日本語を変だと認識できないのでしょう( ̄ ̄)。
 三度の飯より好きなものは、映画だったり読書だったり、食事以外のものですからね。え? それぐらいは分かってるんじゃないか、って? だったら、なぜそのまんまなのでしょうか。そんなの、別にいいじゃないの~と思いますか。こういうのを、面白いんじゃね? とかいって放送で言うことがどれだけ日本語をおかしくするか、少しは考えてほしいと私は思います。
 「カレーはおやつかっ!」と突っ込む、あるいは「そうそう、カレーは飲み物だもんね・・・って、飯だろっ!」とノリ突っ込み、つまり、変だと分かったうえで面白いとかつまらないとか感じる人はいいのです。でも、「三度の飯より~」の正しい使い方を知らない人、これまで全く聞いたことがないという人には毒にしかなりません。お笑い芸人のネタならともかく、しつこく繰り返すCMですからね・・・(ーー゛。
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「~が原因とする死亡」って?

2012-06-24 09:28:51 | 気になる言葉、具体例
                                   ミカンだよ

 何の番組だか、だれが言ったのか忘れましたが、「すごい、ミカン、皮がむいてる!」って、これを聞いたときはあ然としました。でも、別に珍しいことではないのです。画面に映ったミニチュアのミカンがとてもリアルで、皮がむきかけでした。そのとき私は「おっ、ミカン、皮がむいてある」と言いましたよ。
 「由来が書いてますよ」「ロケットが展示されてありますけども」と言ったのはお笑い芸人ですが、「由来が書いてありますよ」、「ロケットが展示されていますけども」もしくは「ロケットが展示してありますけども」です。日本人なのにこういう区別ができていない人、けっこう見掛けますよね。
 「電化製品の中に○○が売ってるんです」と言ったのは「めざましテレビ」のリポーターですが、「めざまし土曜日」も負けてません。ベトナムからのリポート、リポーターは若い女性、市場で「野菜がたくさん売ってる」と言ったのですよ。そういえば、「お団子が売ってますね」と言ったリポーターもいました。ちょいちょい聞こえてきますし、もちろんテロップもそのまんまです。
 「電化製品に交じって○○が売られているんです」「電化製品と一緒に○○が売られているんです」「電化製品と一緒に○○を売っているんです」など、言い方はいろいろありますよ。ちゃんと「野菜がたくさん売られている」「野菜をたくさん売っている」と言えない人がなぜリポーター?
 「勝てる確率なんかが書いているTシャツ」と言ったのはTBSのアナウンサー、しかも、決して若くないアナウンサーです。「勝てる確率なんかが」ですから、原稿を読んでいるのではなく、自分の言葉でしゃべっている場面なのですが、こんなアナウンサーらしからぬ言い方はいけませんね。「書いている」ではなく「勝てる確率などが書いてあるTシャツ」です。
 何のニュースだったのか分かりませんが、「~が原因とする死亡」というのが聞こえました。正しい言い方は「~が原因となった死亡」もしくは「~を原因とする死亡」です。このように、「いる/ある」「する/なる」の区別もできない人がテレビに出てしゃべったり、ニュース原稿を書いたりしているのです( ̄д ̄)!
 聞いてすぐに頭の中で修正できる人はいいのですが、修正できない人がこれからますます増えるでしょう。現に、「~が原因とする死亡」と書く人、それをそのまま読む人がいるのですから、そんなおかしな日本語を何となく聞いていたら修正できなくなる、というより、誤りだと認識することもできなくなるでしょうね。
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「ご迷惑いただいているかと」って?

2012-06-20 18:58:26 | 気になる言葉、具体例
                                   脳が、脳が

 今日は「迷惑」特集です(~_~;)。マナー違反をテーマに話し合う番組で「多大な迷惑を与えた」というナレーションが聞こえました。でも、「迷惑」は「かける」ものですよね。そういえば、政治家のH・Y氏も「ご迷惑をお与えする」なんて言っていましたね。「多大な迷惑をかけた」「迷惑をおかけする」と言うのが普通ですよ。
 Aさんの言動がもとでBさんが困るという場合、AがBに迷惑をかける、BはAの言動に迷惑している、Bは「迷惑だ」とAに言う、AはBに「迷惑をおかけしますが・・・」もしくは「ご迷惑でしょうけど・・・」と言う、基本はこういうことになりますが、おかしな言い方がちょいちょい聞こえてきます。
 まずはこれ。話し手が「皆様にご迷惑をかけたことに深くおわび申し上げます」と言い、テロップもそのまんま、同じでした。どこがおかしいと思いますか。謝っている人たちのほとんどが「ご迷惑をかけた」ですが、「迷惑をおかけした」と言わなければいけません。ついでに言えば、「~ことに」ではなく「~ことを」で、「皆様に迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」です。
 「皆さんにご迷惑、そして、不愉快な思いをさせ、どうもすみませんでした」と言ったのは、違法薬物の所持・使用で繰り返し逮捕された男です。その妻(今は元妻、清純派タレントだった?)も同じ罪を犯しましたが、飯の種になる人は周りが守ってくれますからどうしても考えが甘くなるのでしょう( ̄ ̄)。
 役人も「県民に迷惑と不安をかけました」だし、政治家も「混乱と迷惑をかけたことを陳謝し」だし、みんなテキトーにしゃべってますね、言いたいことは分かるでしょ、という感じですが、「皆さんに迷惑をおかけし、不愉快な思いをさせ、どうもすみませんでした」「県民に迷惑をかけ、不安な思いをさせました」「混乱させ、迷惑をおかけしたことを陳謝し」と言ってくださいよ。
 次はこれ。「近所のかたにご迷惑するということで」ですが、だれが言ったのかは忘れました。あまりにも変なので脳が混乱しましたが、迷惑するのは近所の人です。「近所のかたが迷惑するということで」あるいは「近所のかたの迷惑になるということで」、「近所のかたに迷惑をおかけするということで」という言い方もありますよ。とりあえず「ご」を付けて「ご迷惑」なんて言うから分からなくなるのです。
 それから、「皆さんご迷惑いただいているかと思うんですけど」と言ったのは芸能人、いや、芸能人と言えるかどうか・・・いわゆるセレブ? ○○夫人と呼ばれている人です。近所の人に迷惑をかけているのではないか、と言いたいらしいのですが、とにかく「ご」を付け、「いただく」と続ける、頭の中にはこれしかないのですね。「皆さんに迷惑をおかけしているかと思うんですけど」ですよ。
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「彼の判断力が空白の57分を作った」って?

2012-06-17 09:06:49 | 気になる言葉、具体例
                                電波感染だもんね

 「影響力を及ぼす」というおかしな言い方を実に多くのアナウンサーやキャスターがします。もちろん、ナレーターも。ひどいのになると「影響力を与える」です。どちらも「力」が余計で、「影響を及ぼす」が正しいのですが、こんな簡単な間違いでも、正誤を気にしない放送業界ではあっという間に広がりました。
 最近ちょいちょい聞こえてくるのは「想像力をかきたてる」です。「想像力をかきたてる女性の姿」というナレーションは、NHKの「日曜美術館」にて、フェルメールの絵の解説で聞きました。この番組のナレーション原稿を書いている人、そして、そのまま読む人も、かなり問題がありますね。これもNHKですが、「地球ドラマチック」のナレーションは「想像力をかきたてられてきました」です。
 「想像力かきたてられる」と言ったのは羽鳥慎一、「私たちの想像力をかきたて続けます」は「THE世界遺産」のナレーション、「想像力を膨らませる」と言ったのは西尾アナ、ほかにも、「見る者の想像力をかきたてる」「想像力をかきたてる味わい」「確かに○○だろうなという想像力は働く」など、どれもこれもみんな「力」が余計ですよ~(ーー゛。
 「底上げを重視し、競争力をあおらない」というのも聞いたことがありますが、これも単純に「力」が余計で、正しい言い方は「底上げを重視し、競争をあおらない」です。人をあおる、けんかをあおる、競争をあおる、これが、何をどうしたら「競争力を」になるんだか( ̄д ̄)?
 では、「感染力の速さ」はどうですか。感染には、飛沫感染や空気感染など、幾つかの経路があり、人から人へ伝染するのに時間のかかるもの、かからないもの、いろいろあります。飛沫感染より空気感染のほうが速いというのは何となく想像できますね。素早く広がるということは、それだけその病原体の「感染力が強い」ということになります。「速さ」と言うのなら「感染の速さ」ですね。
 それから、以前、「冷静な判断力」という例について書いたことがありますが、「力」なら、あるかないか、強いか弱いか、大きいか小さいか、高いか低いかで、「冷静な」なら「冷静な判断」であり、「力」が余計です。あるいは、「判断力」に意味があるのなら、「冷静な判断をする力」または「冷静に判断する力」と言うしかありません。
 そして、ついにここまで来た変な「~力」・・・「アンビリバボー」の「彼の判断力が空白の57分を作った」というナレーション。「彼」というのは座礁した豪華客船の船長で、この船長の避難の決断が遅れたために被害が拡大したという話です。船長は事態を甘く見ていて、正しい判断をすることができなかった、つまり、判断力が極めて低かったわけです。それは「彼の判断力の低さが空白の57分を作った」ですが、ナレーションらしくすれば「彼の誤った判断が空白の57分を作った」ですかね <( ̄ ̄)>。
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「思わず驚いたのは、ワニ!」って?

2012-06-13 20:08:46 | 気になる言葉、具体例
                                    ゴジラ!

 「思わず」は、そうしようと思う気持ちもないのに、ということで、言い換えれば「うっかり」ですから、例えば、笑ってはいけない場面で思わず笑ってしまった、静かな図書館で思わず大きな声を出してしまった、お金もないのに思わず買ってしまった、このような言い方になるものですね。ところが、ポータルサイトのトップページで「思わずイラッと来る」という文を見付けたのですよ。
 なぁ~んか変な感じがするなぁと思ったのですが、皆さんはどのように感じますか。私は、ノック式ボールペンをずっとカチカチやっている人、ペン回しをやっている人、大嫌い! とてもイライラするのですが、イラッと来るのに「そうしようと思う気持ち」もなにもないですよ、イライラなんて、だれだってしたくありません。
 「腹が立って思わず殴ってしまった」なら、暴力はいけないと分かっている、殴るつもりなんかなかった、けれど、あまりにも腹が立ち、つい殴ってしまった、ということで、腹を立てようなんてだれも思いませんよ。「腹が立つ」なんて、立てたくて立てたのではなく、突発的なことなのです。
 カチカチやっている人に対して「うるさいっ!」と怒鳴りたいとはいつも思っている、でも、我慢、我慢、ひたすら我慢。我慢が限界を超えたら「イライラして思わず怒鳴ってしまった」ということはありえますが、「思わずイラッと来る」はありえません。うっかりイライラしてしまった、なんて、違いますよね。
 「思わず時代劇のセットに迷い込んだような街並み」は、NHKの世界遺産に関する番組のナレーションです。「迷い込む」は、いわばアクシデントです。迷い込もうと思う気持ちもないのにうっかり迷い込んだような街並みですか? 違いますね。気がつけばそこは時代劇のセットのようであった、そんな街並み、つまり、「時代劇のセットに迷い込んだような街並み」です。「思わず」なんて要りません。
 「思わず抱きしめたい、動物の赤ちゃん」は「世界まる見え!テレビ特捜部」のナレーション。「抱きしめたい」は、願望です。そうしようと思う気持ちもないのに、うっかり抱きしめたい、ですか? 変ですよね。そうしようと思う気持ちもないのについつい抱きしめる、なぜかというと、あまりにもかわいいから。それは「思わず抱きしめちゃう、動物の赤ちゃん」ですが、実際に抱きしめるところまでいかないなら「思わず抱きしめたくなる動物の赤ちゃん」ですね。
 全くもぉ、本当に日本人なのかと疑いたくなりますが、ほかにも変な「思わず」の例はい~っぱいありますよ。「思わずやみつきになるというその味は」「思わず驚いたのは、ワニ!」「思わずこれだと直感して」「道路に段差があり、思わず転びそうになった」、いや、ほんと、( ̄д ̄)ダラケ!です。
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「人は泣きながらに生まれてくる」って?

2012-06-10 09:38:39 | 気になる言葉、具体例
                                読まずに捨てたね

 前回、「に」が足りないテロップについて書きましたが、「に」が余計という例もあるのです。まず、「使い方が分からずに間違って情報が漏れてしまう」、これは以前何度か書きましたが、小倉智昭によって広められ、定着してしまったパターンです。アナウンサー、ドラマのセリフ、CM、しょっちゅう聞くので、もはやおかしいと思う人のほうが少ないかもしれませんが、誤りですからね。
 「力になれずに申し訳ありません」「タイミングが合わずに失敗」「標準記録に届かずに出場できない」「この基準以下のものは○○とは言えずに」「暑すぎずに、いいかもしれませんね」「スケジュールが合わずに、できなかったんです」「まな板が汚れずに食材がよく見える」「むれずにかぶれにくい」、羽鳥慎一も「恐怖が消えずに復帰することができない」なんて言いますよ。これらは全て「に」が余計です。
 使い方が分からない、分からないのに使う、当然、間違った操作をして情報が漏れてしまう、これは「使い方が分からず、間違って情報が漏れてしまう」です。「使い方が分からずに」ではなく「使い方が分からず」です。これが「使い方が分からずに使ってしまう」という文ならいいのですが、「間違って情報が漏れてしまう」と続くのですから、「使い方が分からず → その結果として → 間違って情報が漏れてしまう」わけです。
 「力になれず、申し訳ありません」「タイミングが合わず、失敗」「標準記録に届かず、出場できない」「この基準以下のものは○○とは言えず」「暑すぎず、いいかもしれませんね」「スケジュールが合わず、できなかったんです」「まな板が汚れず、食材がよく見える」「むれず、かぶれにくい」「恐怖が消えず、復帰することができない」ですよ。正しい「~ずに」は、「化粧を落とさずに寝た」「読まずに捨てた」「エアコンをつけずに過ごす」です。この違いが分かりますか。
 それから、ちょっと前に「人は泣きながらに生まれてくる」というテロップを見ました。親鸞がどうとか言っていたように思いますが、シェイクスピアの戯曲「リア王」にもこういうセリフがあるようです。でも、正しくは「人は泣きながら生まれてくる」で、やはり「に」が余計です。なぜこんなところにまで「に」が出てくるのか、それほど余計な「に」に毒されているのか( ̄ ̄)?
 泣きながら話す、テレビを見ながらご飯を食べる、話しながら歩く、別にどうということのない言い方ですが、書いた人は、もったいをつけたかったのでしょうか。「生まれながらにして尊く賢い」「生まれながらにして善良である」「部屋にいながらにして世界中の情報を得る」といった言い方がありますが、これが頭の片隅にあって中途半端に出ちゃった? もちろん、全く意味が違いますけどね。
 つい最近、「28日まで、△△までに」という一般人(△△さん)が書いた文を見てあ然としました。そのとき、ほかの人にも見せて変だと思わないかと聞いてみたのですが、その人(30歳ぐらい)は何がおかしいのか分からないと言いましたよ。うむぅ~~~(-_-)。あのね、「28日までに、△△まで」ですよ。△△さんは私より年上ですが、日本語について何も考えずに暮らしていたらこうなるのかなぁ( ̄_ ̄)?
コメント (2)
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「ペンギンがビーチ!」って?

2012-06-06 19:48:44 | 言葉についてあれこれ
                                   まだ寒いよ

 「ペンギンがビーチ!」という文を見てどういうことを想像しますか。ペンギンの形をしたビーチ、ペンギンをデザインした構造物で人工的に造られたビーチ、これなんか、あったら面白いかも(⌒・⌒)。あるいは、ペンギンでびっしり埋め尽くされているビーチ、ペンギンをかきわけながら・・・う~ん、泳げないじゃん(~_~;)。
 「ペンギンがビーチに」と言っているとき、テロップは「ペンギンがビーチ!」でした。それだけですよ( ̄‥ ̄)。ペンギンが来るようになり、ペンギンと遊べるビーチとして有名になったビーチの話です。なぜ、せめて「ペンギンがビーチに!」と書かないのだろうか。もっと言えば「ビーチにペンギン!」ですけどね。
 似たような例でこういうのもあります。多分、書いたのは別の人だと思うのですが・・・どうかなぁ。話し手が「僕はイタズラを文化にしたいんだ」と言っているとき、テロップは「イタズラを文化!」でした。何のこっちゃ( ̄д ̄)!
 「モーニングバード」で高速ツアーバスの事故に関するニュースを見ていたとき、「原発事故でインバウンド業界が苦境」というテロップを見たのですが、「苦境」は、追い詰められ、どうしたらいいか分からない、苦しい立場という意味で、「苦境に立つ」と言うのが普通です。テロップだから「立つ」は省略するとしても、「原発事故でインバウンド業界が苦境に」です。なぜ「に」まで省略するんだ( ̄~ ̄)?
 ちなみに、インバウンド業界というのは、中国や台湾からの観光客が「観光」と「爆買い」をする、そういう1週間ほどの行程のバスツアーで稼ぐ業界のことなのだそうです。原発事故で観光客が減り、インバウンド(移動は主に昼間)で稼げないから深夜バスに流れる、過剰にコストを削る、そういった事情があるのだとか。
 放送業界には、なぜこうも日本語の力がかなり不足していると思われる人が多く働いているのか。いちいち細かくチェックすることはできないとしても、「ペンギンがビーチ!」「イタズラを文化!」「原発事故でインバウンド業界が苦境」なんて、見た瞬間、「に」が足りないと感じますよ・・・感じますよね?
 ところで、これは余談ですが、今、テレビで見かける、ある高速ツアーバスのCMが気持ち悪くてしかたありません。金沢を出発したバスがあんな悲惨な事故を起こし、特に石川県と富山県の人たちは肝をつぶしたわけですが、そのCMときたら、まるで画面いっぱいに血が飛び散るような、何とも恐ろしいもので、最初に見たときは本当にギョッとしました。やはり何度見ても非常に気持ち悪く、こんなものを制作して流している人たちの神経を疑います(ーー゛)。
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「~というお話しをしているの」って?

2012-06-03 09:17:32 | 気になる言葉、具体例
                          どんなお話 してるんでちゅか

 「~というお話しをしているの」という「NHKスペシャル」で見たテロップ、「話」と「話し」の区別ができていない・・・というより、もはや「話」と「話し」は違うということを知らないようです。「おはなしになる」「おはなしなさる」「おはなしくださる」「おはなしいただく」と言わなくなり、もっぱら「おはなしされる」、さらに、あの森田アナですら「おはなししてくださいますのは」なんて言うのですから、いずれこうなると思っていましたよ( ̄_ ̄)。
 以下、「し」に気をつけて読んでください。まず、名詞なら「話(はなし)」、動詞なら「話し(はなし)」です。これを区別していない人があまりにも多すぎることがそもそもの問題なのですが、「話をする」「話をし」、「事情を話す」「事情を話し」というふうに、「話」と「話し」を区別できていますか。書くときにちゃんと意識していますか。
 区別できたら次のステップです。「お話をする」と「お話しする(おはなしする)」はどう違うか分かりますか。「お話をする」は、例えば、幼稚園の先生が幼児に向かって「今日は、働き者の虫さんのお話をします」と言う、あるいは「△△ちゃん、虫さんとお話 してるの?」と言う、そんな場面が浮かびますが、あほな芸人は「家族のほうとお話をしまして」ですからね、あきれます( ̄д ̄)!
 大人どうしの会話で「お話をする」とは言いません。「○○にお話をする」も「○○とお話をする」もだめですよ、そんな言い方はしません。一方、目上の人の会話について言うなら「お話をなさる」ですし、目上の人の話を聞くときは「お話を伺う」ですから、「お話」と言いますね。
 ちなみに、政治家が言う「おはなしをしまして」は「(○○と)お話をしまして」ではありませんよ。「(○○に)お話ししまして」の「お話し」と「しまして」の間に余計な「を」が入っているだけです。これは特別な立場で話す人たちの独特な言い方で、「お会いしまして」も「お会いをしまして」ですからね、これも区別しましょう。
 「お話しする」は、例えば、目上の人に向かって「事情をお話ししてご意見を伺いたいと思っております」と言いますね、これは謙譲語Ⅰに分類される形です。「聞く」「聞き」「お聞きする」「話す」「話し」「お話しする」です。「返す」「返し」「お返しする」「運ぶ」「運び」「お運びする」「送る」「送り」「お送りする」「迎える」「迎え」「お迎えする」「招く」「招き」「お招きする」「教える」「教え」「お教えする」「渡す」「渡し」「お渡しする」「仕える」「仕え」「お仕えする」、あ、もういいですか?
 「お話をする」の「を」を省いた「お話 する(おはなし する)」とは違うのですから、「○○とお話しする」はありえません。あくまでも「○○にお話しする」です。そして、目上の人には「お話しする」ですが、家族には「話をする」、「家族に話す」「家族と話をする」であり、「お話」とは言いません。「○○とお話 する」と言っていいのは幼児が相手のときだけ、「虫さんとお話 してるの?」とかね。
 相手が大人なら、「○○にお話 する」ではなく「○○にお話しする」ですよ、「し」が要るのですよ! 「○○と」なら、「○○とお話 する」ではなく「○○と話をする」ですよ、「お」は要りませんよ! 「~というお話しをしているの」は、「~という話を」の「話」に「お」を付けているわけで、「~というお話をしているの」と書くべきところです。「し」は要りません。
 「報道STATION SUNDAY」で、長野さんが「後ほどまたおはなししますので」と言ったのですが、これは「議論する」という意味で言ったもので、長野さんがだれかに「お話しする」という意味ではありません。ということは、文字にすると「お話 しますので」となるのですが、いい大人が「お話 しますので」なんて言ってはいけませんよ、「話をしますので」と言わなければいけません( ̄ ̄)。
 何でもかんでも「お」を付けさえすればいいというものではないのですよ。そんないいかげんなことをやっているから「話」と「話し」、「話をする」と「お話しする」の区別までできなくなるのですよ。自称「しゃべるプロ」がみんなこんなだから、テロップ入力作業者も訳が分からなくなるのです。「後ほどまた話をしますので」と言えるスマートな人、どこかにいませんか?
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