◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「話が違うんじゃないんですか」って?

2017-08-27 09:56:12 | 言葉についてあれこれ
                                  食べとるがいね

 「小さな巨人」#6で、金崎玲子(理事長)を演じる和田アキ子が「話が違うんじゃないんですか」と言ったのですが、明らかに「話が違うんじゃないですか」と言うべき場面で、後ろの「ん」が余計です。「ないんですか」ではなく「ないですか」ですよ。台本にそう書いてあったのか、和田アキ子が勢いでそう言っちゃったのか、それは分かりませんが、聞いた瞬間、ものすごくおかしいと感じました。
 富永専務(元警視庁捜査一課長)が所轄刑事の動きをうまく止めてくれるはずだったのに止まらない、それで、「話が違うんじゃないですか?」と、ねっとり、文句を言うわけです。怒りをぶつけるなら「話が違うじゃないですか!」と言いますね。もし、「ないんですか」と続けるのなら、「捜査なんかさせないから大丈夫、そういう話じゃないんですか?」でしょ。「ん」の有無でこれだけ違ってくるのですよ。
 ちなみに、「食べとるがいね」は、ハムやん地方の方言で「食べてるじゃないですかぁ」という意味です。「話が違うんじゃないですか?」は「はなし ちがわんけ?」または「はなし ちごがんないけ?」、「話が違うじゃないですか!」は「はなし ちごがいね」、「そういう話じゃないんですか?」は「そぉゆぅはなしやないがけ?」です(⌒・⌒)。
 「CRISIS」#10で、岸部総理大臣のセリフに「君は、使い勝手のいい連中を飼ってるんだってな」というのがあったのですが、これは脚本家のミス? 吉永のチーム(公安機動捜査隊特捜班)を“使い勝手のいい連中”と言うのはおかしいと思います。「SP」に出てきたリバプール・クリーニングの4人、金さえ払えばへらへら笑いながら暗殺でも何でもやってくれる連中、ああいうのを“使い勝手のいい連中”と言うんでしょ!?
 あるいは、岸部総理大臣は、大罪を犯した息子を自分の保身のために海外に逃がし、その息子に復讐しようと計画する男が現れたら、息子を餌として提供し、何とか男を始末して事件を闇に葬ろうと考える、そういう設定ですから、あくまでも自分の都合のいいように考えて吉永のチームを“使い勝手のいい連中”と呼び、そいつらを使って事件をうまく処理しろと命じる、そういう、どこまでもいやらしい感じを演出した? 命じられた警備局長はちょっと困り顔でしたからねぇ。
 「とくダネ!」の「小倉が斬るパート2」で、高所にある橋を渡る人たちの様子を撮影した動画に「なかなか前に進めない男性」というナレーションが流れました。でも、進めないどころか、男性はすぐに前進、むしろ、速い! 橋といっても、祖谷の吊り橋のように下が見える、高い場所が苦手な人はかなり苦戦しそうな橋で、命綱まで装着しているのですが、怖くて立っていられない男性は、ワーワー叫びながら四つん這いになり、器用に両手両足を使ってどんどん渡っていきました(⌒O⌒)。
 「誰だって波瀾爆笑」で、米林宏昌(アニメーション映画監督)が愛用している仕事机が映り、その机にどんな仕掛けがあるかという問いかけがゲストに向かってなされたのですが、アニメーションの制作現場ですからね、天板の一部が傾斜のついた透写台(トレース台)になっていて、しかも、明らかに見えちゃっていますから、私は、ほかにどんな仕掛けがあるのかあれこれ想像しながら答えを待っていました。
 例えば、このごろは、座っている時間が長すぎるのは体に良くないということを耳にしますからね、立って作業ができるように机の高さを変えられるとか、天板を引っ張ると作業スペースが広がるとか、ぱっと見ただけでは分からない仕掛けを考えたのに、天板が透写台になっているという“当たり前”が答えで、ずっこけました。そんなの、クイズにならないから┐( ̄д ̄)г。
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「ことごとくが秘密扱いされ」って?

2017-08-20 09:27:11 | 言葉についてあれこれ
                                  ことごとくむしる

 「職務に関する事象はことごとくが秘密扱いされ(中略)捜査対象のことごとくがこのような性格の組織ですから」(6/4 16:20配信 THE PAGE)という文を読んで、どこがどうだと思いますか? 「ことごとく」と「ほとんど」は、もちろん意味が違いますがそこはちょっと置いておいて、“文法上の性質”が違うのですが、これを書いた人は同じように使える言葉だと思っているようです。
 「ほとんど」の場合、「ほとんど秘密扱いされ」なら副詞、「ほとんどが秘密扱いされ」なら名詞で、「職務に関する事象はほとんどが秘密扱いされ(中略)捜査対象のほとんどがこのような性格の組織ですから」と書けます。一方、「ことごとく」は副詞で、「職務に関する事象はことごとく秘密扱いされ(中略)捜査対象はことごとくこのような性格の組織ですから」としか書けません。
 「歴史秘話ヒストリア」のナレーションで「とった決断は、戦場からの大脱走」と言った井上あさひアナ(NHK)。敦賀の金ヶ崎で、朝倉と浅井の挟み撃ちという状況から素早く逃げた、あの信長が、戦わず、逃げる決断をした、そういう話です。「決断」は「とる」ではなく「下す」ですから、「下した決断は、戦場からの大脱走」です。
 「ほかの女の子と飲みに行ったり、果てには旅行に行ったりして」と「その豹変にびっくりしました」は一般人が書いたものですが、普通は「挙げ句の果てには」「その豹変ぶりに」です。そうそう、「豹変」で思い出しましたが、見知らぬ男にガソリンをかけられ、火を放たれて顔に大火傷を負った男児のひどい状態を表現したナレーションとテロップが「彼の顔は豹変した」だったことがあります。あ然、呆然ですよ。
 「彼女の結婚式の話題を持ちかけられ」は一般人の文章にあったのですが、これはどう考えても「持ち出され」でないといけない流れでした。「初ヒンバ族に私の胸は高まった」も一般人の文章で見たのですが、「初めて見たヒンバ族に私の胸は高鳴った」でしょ。惜しいですね、「高まった」ではなく「高鳴った」です。
 「他のお客様とは比べようにならないです」は一般の人が書いたもの。「とくダネ!」にゲストとして出ていた人も「比べようになんないくらい」と言ったのですが、顔が映っていなかったので誰だか分かりません。何とも奇妙な言い方ですが、まさか、方言とか・・・じゃないですよね。「ならない」と続けるなら「比べ物にならない」が決まった言い方で、ほかは「比ぶべくもない」「比べようもない」です。
 「通り一面っぽさを感じること多々である」(8/18 8:11配信 Wedge)は、いわゆる“ライター”が書いた文章にあったのですが、「通り一遍」をちょっと間違えて覚えているようです。以前、ドラマで「とおりいっぺんとうのことしか教えてもらえなくてね」というセリフを聞いたことがありますが、「通り一遍」と「一辺倒」のミックス<( ̄д ̄)>。
 「謝ったからミスを認めたことにはなりません」(8/8 7:10配信 @DIME編集部)はむずむずしますね。「謝ったからといって、ミスを認めたことにはなりません」と書かないと! “ライター”が書いたものでも、こういうちょっとおかしい例が非常に多く、変な日本語アレルギーの私はなかなかすんなり読めません┐( ̄д ̄)г。
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「怪談話」って?

2017-08-13 10:08:24 | 気になる言葉、具体例
                                  かいだんばなし

 「林先生が驚く 初耳学!」で、「やっぱり芸人なんかで言うのは、かいだんばなしが一番、話術の力の差が出るというか、そういう感じ、しますね」と言った千原ジュニア、そして、「怪談話が一番 話術の力の差が出る」というテロップ。夏になると必ず出てくる「かいだんばなし」「怪談話」ですが、それって、おかしいですよ( ̄д ̄)! このブログでは2007年の秋に「かいだんばなし」について書いていますから、その前からすでに広まっていたのでしょうか。
 落語には、滑稽噺、人情噺、芝居噺、怪談噺といったジャンルがあり、講談でも、怪談噺は一つの重要なジャンルであるようです。つまり、「かいだんばなし」は落語や講談のジャンルを言うわけで、「怪談噺」なのです。お笑い芸人やタレントの言う「かいだんばなし」は「怪談話」ですが、そもそも「怪談」の意味が「化け物や幽霊の話」なのですから「話」は余計で、「怪談」と言えばいいのです( ̄_ ̄)。
 スタジオ出題者の一龍斎貞水が「怪談の幽霊は、庶民が作ったヒーローだった」と言い、「怪談の幽霊は・・・庶民が作ったヒーロー」というテロップ、これはいいですね。その後、ナレーターが「江戸時代、かいだんばなしに出てくる幽霊は庶民のヒーローだった」と言ったのですが、講談師が庶民のニーズに応えて作り上げていった、だから、この「かいだんばなし」は「怪談噺」であり、そのときに出た「江戸時代 怪談話の幽霊は 庶民のヒーロー」というテロップは誤りです。一龍斎貞水が「怪談の幽霊は」と言っているのに、なぜわざわざ「話」を付ける?
 さらに、ナレーターが「番町皿屋敷をはじめ、多くのかいだんばなしが作られた江戸時代」と言ったのですが、このときのテロップは「番町皿屋敷など怪談が創作」で、「話」がないのはいいのですが、「怪談が創作」って何ですかね? こういう書き方が横行していますが、それを「番町皿屋敷など 怪談が創作された」と読めって? それは無理! こういう気持ち悪い書き方は日本語をだめにするだけではないですかね。
 その後、別のナレーターが「怪談の幽霊は、庶民たちではどうしようもなかった理不尽な権力に立ち向かうために講談師たちが考えたものだったのです」と言い、「怪談話の幽霊は理不尽な権力に立ち向かうために講談師たちが考えたもの」というテロップが出ましたが、「怪談話」はもちろん、「庶民たち」も「理不尽な権力」もおかしいですね。原稿を書いたディレクターは「怪談噺」を全く知らないで書いているようですし、日本語のセンスもいまいちです( ̄д ̄)!
 「庶民」は、特別の地位や財産を持たない、一般の人々。「人々」ですから「たち」は要りません。誰も「一般の人々たち」なんて言いませんよね。「理不尽」は、道理に合わないことを無理に押し付ける様子。立ち向かう相手は「権力をかさに着て理不尽なことをする人たち」で、「理不尽な権力」はしっくり来ません。そこはやはり「理不尽なことをする権力者に立ち向かうために」でしょ。
 最後に一龍斎貞水が「庶民が好んでしゃべるから怪談噺っていうのは、未来永劫、はやりすたりがないんだろう」と言ったのですが、「庶民」ですよ。「庶民たち」なんて一体どこから出てきたのですかね┐( ̄д ̄)г。ちなみに、「一龍斎貞水」で検索したら「一龍斎貞水 四谷怪談~怪談噺・幽霊噺~」というのが出てきました。「暑いなぁ、怖い話で涼しくなるか!? おれ、実はけっこう見えるんだよ・・・」なんてね、そういう“ただの怖い話”は「怪談」ですよ、か・い・だ・ん!
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「しかも減法速い」って?

2017-08-06 08:38:47 | 言葉についてあれこれ
                                  めっぽうはやい

 「王様のブランチ」で「しかも減法速い」というテロップが目に入ったときに聞こえてきたナレーションが「しかもめっぽうはやい」で、しばらく脳がむずむずしました。減、これ、げんだよね・・・、めっぽう、めつ、滅、口じゃなくて火、滅法だ、うんむぅ~、「めっぽう」と入力すれば「滅法」になるはずだけど・・・?
 ディレクターが「滅法」のつもりで間違えて「減法」と書いた、その原稿を見たテロップ入力作業者はそのまま「減法」と入力した。ナレーターは、原稿を見て一瞬「減法」に疑問を感じたけれど、言葉の流れで、つまり、雰囲気で「しかもめっぽうはやい」と読んだ。推測ですよ、そういうことではないかと思うのですが、これからは、これまで以上に流れを読む能力が必要ですね。
 「そこまで言って委員会NP-6大紙の論調を徹底比較SP-」にて、コメディ風に作ったVTRの中で聞こえたセリフが「恣意的に」だったとき、テロップは「創意的に」だったのですが、流れからいって、正しいのはやはり「恣意的に」だと思うわけで、それが何をどうしたら「創意的に」になるのでしょうかね。
 ディレクターが「恣意的に」と書いたつもりで「創意的に」と書いたのか、字が汚くて「創意的に」と書いてあるように見えたのか、ディレクターは「恣意的に」と書いたけれども、テロップ入力作業者が「しいてきに」と読めなくて「創意的に」と入力したのか、どれでしょうね。読めなかったら正しい漢字を入力できないから!
 「一風変わった13の“間取りものがたり”」という見出し(7/29 15:00配信 ダ・ヴィンチニュース)を見付け、記事を読んでみました。ある書籍を紹介する文章でしたが、「船の軸先にいるような」というのが引っ掛かりました。「軸先」って何? 船といえば舳先(へさき)、「軸先」ではなく「舳先」です。その本に「軸先」と書いてあったのか、この文章を書いた人が「舳先」を「へさき」と読めなくて、「舳」を「軸」と勘違いして「じくさき」と打ったのか? 「舳先」なんて言葉は知らない?
 コロンバイン乱射事件に関する記事(7/30 9:01配信 東洋経済オンライン)を見付けたので読んでみたのですが、「コロンバイン高校の学生2人が無差別に発砲を行い最終的に自殺、教師1人と生徒12人が死亡し、24人が負傷した傷ましい出来事だ」と書いてあって、内容なんかどこかへぶっ飛んで、「傷ましい」じゃなくて「痛ましい」だろっ! と、吠えました o(`д´)o ガルル。
 「車載カメラは見た 飲酒運転で米警官を跳ねる」は「YAHOO! あなたへのおすすめ」にあった見出しです。まぁね、「はねる」なんて、漢字で書いてあるのを見ることは滅多にありませんが、車が人をはじき飛ばすのは「撥ねる」です。常用漢字ではないので「はねる」と書けばいいわけですが、まず、「米警官を跳ねる」は変だなぁと感じないというのがいけませんね。「米警官が跳ねる」なら、危険を察知して横っ飛びでぎりぎり車をかわすというのを想像しますけれどね<( ̄~ ̄)>。
 「陰で悪口を言う面裏のある八方美人」は一般の人の文章ですが、「おもてうら」の変換候補は「表裏、おもてうら、オモテウラ」ですから、なぜ「面裏」なのか、なぞです。誰に対しても程よく応対、実は、陰で悪口・・・、それは「裏表のある八方美人」ですね、「表裏」ではなく「裏表」です。「うらおもて」を知らないと「面裏」なんて訳の分からないことになるようです <( ̄д ̄)>ヤレヤレ。
 gooのトップページからクリックして妙な漫画(?)を見たのですが、「就寝体制」だの「ベット」「リビンク」だの、変な日本語がてんこ盛りでがっかりしました。「就寝体制」というのは、寝ようとしているという意味なので「就寝態勢」ですね、漢字の使い分けなんて意識していない? それにしても、昭和一桁生まれならともかく、作者はまだ若い人のようなのに「ベッド」「リビング」と書けないなんて・・・┐( ̄д ̄)г。
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