◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「食欲を駆り立てる料理」って?

2014-09-28 09:54:30 | 気になる言葉、具体例
                         ワイルドにやっつけちゃって!

 気持ち悪い「~てあげる」を連発するEテレの「○○講座」や「趣味の○○」の講師たち、「葉っぱを取ってあげる」「管理してあげる」「多めに土をかけてあげて」「(ワイヤーを)切ってあげる」「曲げてあげる」「しっかり染料を塗ってあげて」「しっかり押さえてあげて」「丸く切り取ってあげて」って、いいかげんにして!
 「きょうの料理」に登場した講師は「~と思います」「~になります」「~のほう」を連発。「置いておきます」「切ります」「皮をむきます」と言えばいいのに「置いておきたいと思います」「切りたいと思います」「皮をむきたいと思います」、そして、「こちらです」「1個分です」と言えばいいのに「こちらになります」「1個分になります」という具合。「こちらのほう、盛り付けていきたいと思います」って、かなりつらい。変な日本語アレルギーですから~(T_T)。
 さらに、おナス、おだし、お味、お鍋と、やたら「お」を付ける。ナスと梅ねぇ、簡単な作り方だなぁ、油で揚げたナスはやっぱりおいしいよね・・・あぁ~むずむずするぅ~<( ̄~ ̄)> 「お」で思い出した! おナス、おだし、これぐらいはしかたないかなぁという気もしますよね、育った環境によっては、何でも「お~」ということもあるでしょう。でも、いつか見たフジの若い男性アナ、目の前の料理の名前を「お名前は?」と尋ねた~~~( ̄д ̄)ダラケ!
 はい、Eテレに戻ります。別の講師は、捨ててしまうような青いとこ?・・・鶏の、ちょっとくせ? これでやわらぎますね・・・これ、厚み? 大きさもあるので・・・これで、うまみ?・・・季節のナス?・・・いろんな食感?・・・と、講師だからだれに確認するというわけでもないのにいちいち語尾を上げます。何となく語尾を上げてしまう、そういうことはありますよね、あるのですが、度が過ぎるのはいけません。
 「うまみが逃げずにアクも出ない」なんて言った講師もいます。変な「~ずに」はかなり広まっていますが、こういうのがいちばん気持ち悪いのですよ。ちょっと前に、「裏付け得られず虚偽と判断」と書いてあるのを古舘伊知郎が「裏付け得られずに虚偽と判断」と読んだ、ということを書きました。
 「得られず」は、裏付けを得られなかった、だから、それは虚偽であると判断した、「得られずに」は、虚偽であると判断できるほどの裏付けは得られなかったけれども虚偽であると判断した、という意味になります。「に」があるかないかでこれほど意味が違ってくるわけで、キャスターがそんなことではいけないのですよ。
 「うまみが逃げずにアクも出ない」は、意味が違ってしまうことはない、言いたいことは分かる、だから幾らかましなのですが、本来の「うまみが逃げずに火が通って、アクも出ない」から「火が通って」が脱落している、日本語として成立していない、中途半端、だから気持ち悪い、むずむずするのです。
 「火が通って」を言わないのなら、「うまみが逃げず、アクも出ない」と言ってくださいよ。講師らしく「うまみが逃げず」と言えないのなら、「うまみが逃げないし、アクも出ない」とでも言ってください。で、この講師、この後「お薬味の青ネギを」「お野菜たちに」「お味付けの味噌」なんて言いましたよ( ̄д ̄)ウゲェッ!
 それから、「(色の系統を)統一させると非常にまとまった感じに見えて」とか「図案を転写させます」とか、「する/させる」の区別ができていない講師もちらほら見掛けます。これは「(色の系統を)統一すると非常にまとまった感じに見えて」「図案を転写します」が正解なのですが、ふだんから「統一させる」「転写させる」なんて言っているわけではないですよねぇ~( 一一)。
 ちょっと変わったところでは、「食欲を駆り立てる料理」という「きょうの料理」で聞いたナレーションがあります。江原ナレーター、言ってておかしいと感じなかったんですかねぇ。「食欲をかきたてる料理」なら食べたいですが、「食欲を駆り立てる料理」ってどんなんですか?! マンモスでも狩ってきたんですかね?
 余談ですが、「きょうの料理ビギナーズ」でタマネギの引き切りを見ました。いかにも切れそうな美しい包丁で、スカッスカッとあっという間に切ったので、ここまで気持ちよく切ってくれたら引き切りだろうが何だろうが関係ないと思いましたよ。え? タマネギ切ったぐらいで何言ってんのかって?
 2007年12月に書いた記事を思い出したのですよ。料理番組のゲストがタマネギを危なっかしい手つきでゆっくり引き切りするのを見て奇妙に感じたという内容だったのですが、このごろは、ゲストは座って見ているだけですね。ちなみに、「チューボーですよ!」はゲストも料理をしますが、やたら英語でしゃべる人が出るようになってからは見ていません。なんかど~もむずむずするので。
 ところで、昨夜の御嶽山噴火のニュース、NHKで見ていたのですが、現場Aからの報告の後、画面が現場Bに切り替わった瞬間、「よかった? 緊張したぁ~」という声が聞こえました。これって、現場Aから報告していた人の声・・・でしょうかねぇ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「挫折させてあげたくない」って?

2014-09-21 11:43:18 | 気になる言葉、具体例
                               プリマのハム

 「あんまりそのことに触れてあげると人前に出づらくなるし」と言った芸能人、性格がいいのか悪いのか分かりません。そのことに触れたらその人が人前に出づらくなる? それなら、触れないでいてあげれば? 大体、「触れてあげる」などというふざけた言葉が出るというのはどうなんですかね、本当は意地悪なんでしょ!?
 そういえば、「おばさんが帰ってきたら絶対に言いつけてあげる」というセリフを何かのドラマで聞いたことがあります。普通に考えれば、「報告する」ではなく「言いつける」だったら、そういう行為をする人だったら、「言いつけてやる」と言いますよね。勝手なイメージですが、甘やかされて育った意地悪なお嬢様だったら「おば様が帰ってらしたら絶対に言いつけてあげるわ」とか、言うかな~( ̄ー ̄)。
 気持ち悪い「~てあげる」が連発されることがけっこうありますね。Eテレの○○講座とか趣味の○○とか、いわゆる“講師”が出てくる番組で、園芸の講師は「葉っぱを取ってあげる」「管理してあげる」「多めに土をかけてあげて」ですよ。ま、ね、植物に対する深い愛情がそう言わせていると思えばいいのですかね、でも、天然石アクセサリー講師の「(ワイヤーを)切ってあげる」「曲げてあげる」はアウトでしょ!
 一般人だって負けて(?)いません。農業体験に来た素人に向かって農家の人が言ったのは「今日は、肥料を溝にあげてもらいます」です。家事アドバイザーは「ときどき押し入れを開けてあげてください。そして、こまめに干してあげてください」です。丁寧な口調の女医さんは「足首を回してあげたり押してあげたり」です。肥料をあげて、布団を干してあげて、足首を・・・って、気持ち悪いo(`д´)o!
 看守が受刑者に「そういうのをさせてやりたいけど」と言っているのにテロップが「そういうのをさせてあげたいけど」だったときは、どう考えても「あげる」と言うような場面ではなかったのであきれました。こういうのを余計なお世話と言うのですよ、この入力作業者は「させてやる」と書いてはいけないと思っているのでしょうか。
 「薬を打ち、静かに逝かせてあげる、それぐらいしかできない」は、「です・ます」ではなく「である」で書いてある文章の一節です。日本では2007年に公開された「パンズ・ラビリンス」という映画について紹介しているのですが、捕らえられ、拷問を受けて満身創痍、解放される見込みもなく、殺してくれと懇願する人の腕に医師が何らかの薬物を注射し、静かに逝かせてやるというシーンです。
 私はこの映画を実際に見たのですが、映画そのものの雰囲気、そのシーンから受ける印象、拷問を受けた人と医師の関係、そして、その文章の書き方、どれを取ってもやはり「逝かせてやる」でないといけないわけで、何でも「あげる」と書けば丁寧な感じがしていいだろうなんて思わないでください。「逝かせてやる」がふさわしいときは「逝かせてやる」と書けばいいのですよ。
 「途中で挫折させてあげたくないですね」は・・・訳が分からない┐( ̄д ̄)г。こう言ったのは、テレビのインタビューに答えていた一般の人だったと記憶していますが、カメラの前だと緊張して、品よく見えるようにとつい頑張ってしまうのでしょう。普通に言えば「途中で挫折させたくないですね」で、どうしても「あげる」を入れたいなら「途中で挫折しないようにしてあげたいですね」とでも言ってね(⌒_⌒)。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「引っ掛からずに出し入れしやすい」って?

2014-09-14 10:08:37 | 言葉についてあれこれ
                               無茶しないでよ

 何度も繰り返されて気になるので、久しぶりの変な「~ずに」です。洗濯機のCMで西島秀俊が言う「引っ掛からずに出し入れしやすいんだ」というセリフですが、どうですか、変だと感じますか。「引っ掛からずに出し入れできるんだ」ならいいのですが、「出し入れしやすいんだ」と続けるなら「引っ掛からず」です。引っ掛からないから出し入れしやすい、それを「~ずに」とは言えません。
 ここで『ちゃんとしゃべれ!』の神様降臨m(_ _)m 「報ステ」で、ある新聞記事が画面に映り、そこには「裏付け得られず虚偽と判断」と書いてあったのですが、それを古舘伊知郎が「裏付け得られずに虚偽と判断」と読みました( ̄д ̄)! 小倉智昭のせいで広まった変な「~ずに」ですが、古舘さん、以前はちゃんと「○○だけで見ることはできず・・・」と言っていたのに・・・。
 「~ずに」と読んだからどうだっていうんだ、なんて声が聞こえてきそうですが、「裏付け得られず虚偽と判断」と「裏付け得られずに虚偽と判断」とでは全く意味が違います。前者は、裏付けを得られなかった、だから、それは虚偽であると判断した、という意味です。後者は、虚偽であると判断できるほどの裏付けは得られなかったけれども虚偽であると判断した、という意味になるのですよ。大多数の人は、そんなこと、考えたこともないのでしょうね( ̄ ̄)。
 伊藤慎祐アナ(石川テレビ)が「何も考えなく、20キロぐらいサイクリング・・・」と言いました( ̄д ̄)!!! 中途半端な「~なく」がここまで浸透しているなんて本当に残念です。「何も考えずに20キロぐらいサイクリング」もしくは「何も考えないで20キロぐらいサイクリング」と言えない人がアナウンサー? サイクリングが趣味なのだそうですが、頼むから、休日は日本語の勉強をしておくれ。
 さて、引っ越してから、ケーキ屋はどこにあるか、おいしいパン屋はどこか、何か面白いところはないかと地元の情報誌を隅々まで読んでいるのですが、○○町特集というページを読んで驚きました。紙面の大半を写真が占め、添えられた説明文を読んでいったわけですが、「○○の魅力をさらに追及!」「一度廃業させた温泉を復活させたり」「お客様への信用と安心を」「地元の人から大人気!」「お得に味わえることができる」「塗装を1個ずつ塗りますよ」「○○を考案した張本人」と、誤りがいっぱい!
 いっぱいあるということもそうですが、伝えたい事柄を短い文章の中にまとめることはできているのに、漢字の使い分け、する/させるの区別、助詞の選択、これらが不適切で、さらに、言葉が重複している、言葉の本当の意味を感じ取れていない、こういう“よくある誤りのパターン”がそのまま見られることに驚いたのです。広く配布される印刷物の作り手が誤りを誤りだと認識していないのです。
 「新 報道2001」でも「独自の世界を追及してきた」というテロップを見ましたが、これは「独自の世界を追求してきた」です。「○○の魅力を~」は、観光スポット以外にも行って探してきたようで、「追求」でもいいかなぁと迷いますが、あまり知られていないことを明らかにしたいということなら「○○の魅力をさらに追究!」でしょうか。相手を責める、追い詰めるという意味の「追及」ではありません。
 「廃業~」は、前の経営者が廃業し、宿泊施設だった建物が競売に掛けられた、それを落札した人が、その建物に元々あった温泉施設を改装し、新たに温泉施設として開業したという話ですから、「一度廃業した温泉を復活させたり」です。例えば、「サイバーナイフでがん組織だけを破壊させる」は「駆け込みドクター!運命を変える健康診断」で見たテロップですが、説明しなくても「破壊する」が正しいのだと分かりますよね。
 お客様が、製品(職人の丁寧な仕事の成果)を信用してくれる、安心して購入して使ってくれる、それは「お客様への」ではなく「お客様の信用と安心を」です。「~から大人気!」も、小倉智昭が「国民からは人気が高い」なんて言うからぁ~、テロップも高確率で「~から人気」だし、「人気」という言葉そのものを理解していない人が増えていますが、「地元の人に大人気!」ですからね。
 「お得に味わうことができる」「1個ずつ塗りますよ」は説明不要ですね。「張本人」は、初めに計画した人という意味の「発頭人(ほっとうにん)」と同じ、という説明も辞書に載ってはいるのですが、普通、「張本人」といえば、悪事を企てる頭(かしら)、事件を起こした者、そういうよからぬイメージがありますよね。ですから、これは「○○を考案した本人」でいいのではないですかね、「張本人」はかわいそうですよ( ̄_ ̄)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ちょっと振り込みが無いよ」って?

2014-09-07 11:40:41 | 言葉についてあれこれ
                               ザ・たっち!?

 「ガラスのように砕けた~」という「とくダネ!」で見たテロップ、火山灰の説明で「ガラスの砕けたような~」と言ったのに、これは聞き間違いの入力ミス? 話し手の言葉を文字にしたテロップは、あまり的確でないものが多いように思います。耳から入る言葉とテロップの内容が違うというのは何とも気持ち悪いものですよ。
 話し手が言ったとおりに入力することすらできない作業者が大勢いるわけですが、話し手だっていつも明快に話しているとは限りません。ニュースを見ていたら、一般の人がつっかえつっかえ「今回は、見合わ・・・、さして、いただければ・・・」と言っている場面で「今回は見合わせていただければ」というテロップが出たのですが、見合わせるのは言っている本人ですからね。
 「見合わす」なら「見合わさせていただければ」で、「見合わせる」なら「見合わせさせていただければ」ですから、言っている本人も迷ったのでしょう。どっちにしろ意味は同じなのですから、どちらかを書けばいいのですが、そのどちらでもないというのは・・・、話の流れは無視ですか? 少なくとも「見合わせていただければ」ではないということぐらいは分かるはずですが( ̄д ̄)!
 「ちょっと振り込みが無いよ という話を」は「報道STATION SUNDAY」で見たテロップ。話し手は「ちょっと」が口癖になっているようで、「先週、ですね、ちょっと、『振り込みないよ』という話を」と言ったのです。いますよね、よくいるのですよ、「ですね」だの「ちょっと」だの、意味なくちょいちょい言う人って。こういう「ちょっと」をまともに入力したらだめでしょ!?
 別の番組で、芸能人が団子を食べながら俳句を作っている場面を見たのですが、若い女優(?)が自作の俳句について説明する短い間に「ちょっと」と5~6回言いました。こういうところにふだんの言葉遣いが、もっと言えば品位が表れると思うのですが、今時の綺麗なお嬢さんというのはこんなものですか( ̄・ ̄)?
 それから、「報道ステーション」の一部を録画して見ていたら、ワシントンの新堀記者が話をしている場面があったのですが、やたら「ですね」を連発するので数えてみました。まずですね、一方でですね、昨日もですね、アメリカがですね、国務省もですね、内戦の始まりなのではないかというですね、12日にですね・・・、1分55秒の間に16回。古舘さんもこの「ですね」をたまに言いますが、これほど多くはないかな。
 ほかにも、新堀記者は、はっきり「認めざる、おえません」と言いました。やはり多いですね、「~ざる、おえない」と言う人。キャスターやアナウンサーでは、古舘伊知郎、長野智子、村尾信尚、田中大貴、大木優紀、ほかに、サイエンスライターの竹内薫、俳優の山口翔悟、たまたま引っ掛かって記憶に残った人だけでこれだけいますから、実際はもっと多いでしょう。
 そもそも話し手の言葉がおかしい、明瞭でない、一般の人はもちろんですが、アナウンサーでさえちゃんとした日本語を話せない、イントネーションがおかしい、だから聞き取るのが大変、どう書くか悩む、それは分かりますよ、すご~~~く分かるのですが、職業としてやっているのでしょう? ディレクターや入力作業者の聞き取る力や書く力はいま一つ、チェックなしでそのまま放送って、それでいいの?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする