◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「お支払ください」って?

2014-06-22 09:40:06 | 気になる言葉、具体例
                               アーモンドでもいいですか

 あるところからもらった説明書を真剣に読んでいたらだんだんもやもやしてきました。「会計窓口にてお支払ください」「お支払が難しい場合には」「お支払い方法」「窓口にてお支払の上で」「包括支払い制度」「お支払いについて」「24時間お支払いが出来ます」「カードでもお支払いできます」といった具合です。
 「○○は貸し出ししますので」というのもありました。「かしだし」で変換すると「貸出、貸し出し、貸出し」が出てきますが、「貸出」は「貸出物品、貸出金、貸出票」などで、一般的な記述は「貸し出し」、公用文では「貸出し」という区別が一応あります。「貸し出し」はいいのですが、「話」は名詞、「話し」は動詞、これも同じことです。
 「かしだす」で変換すると「貸し出す」、「かしだして」で変換すると「貸し出して」、「かしだししますので」は「貸し出ししますので」、「かしだしますので」は「貸し出しますので」となります。「はなす」と言わずに「はなしする」と言う若い人が多いこのごろ、公的機関の文書の記述が「貸し出します」ではなく「貸し出しします」というのはどうにも気持ち悪いのですが、どうですか?
 「支払」と「支払い」について言うと、「支払」は「支払勘定、支払伝票、支払日、支払高、支払人」など、そして、一般的には「支払い」です。「会計窓口にてお支払いください」「お支払いが難しい場合には」「お支払い方法」「窓口にてお支払いの上で」「包括支払制度」「お支払いについて」「24時間お支払いができます」「カードでもお支払いができます」ならすんなり読めます。ちなみに、「お支払いください」の「お支払い」は「お話しください」の「お話し」と同じで、「お支払いについて」の「お支払い」は「お話を伺います」の「お話」と同じです。
 「アレはスゴイはず!?」という番組で保険屋さんにあれこれ質問していたスタッフが「1年でどれぐらいお支払いになってるんですか」と言ったのはいいですね、珍しいですよ。「お支払いされてるんですか」と言う人がほとんどでしょうし、この説明書にも「○○でお支払いされても結構です」と書いてありますからね。
 もう一つ気になるのが「ひっこし」です。一般の人が書いた文章でも「引っ越し、引越し、引越」といろいろあって、「引越は無理と言われました」はすぐに「ひっこしは」と読めましたが、「○○のお引越しました」は、一度「○○のおひっこしました」と読んで、あ、「おひっこし、しました」だ、と気づきました。「○○のおひっこし」なら「を」を続けて「○○のお引っ越しをしました」と書いてくれればいいのですが。
 「引っ越し」で検索すると引っ越し業者のサイトが出てきますが、その表記も揺れています。でも、これはわざとかな? ヒットしやすくするため、とかね。もしそうでないとしたら、ただの( ̄д ̄)ダラケ!です。本来は「引っ越し」なのですが、変換候補にはなぜか「引っ越し、引越し、引越」、三つともあります。
 まぁね、字数が限られている中で、例えば「引越専門業者」と書かなければいけないといった場合はしかたありませんが、そうでなければ「引っ越し」です。動詞は「引っ越す」ですから「引っ越した」「引っ越しました」で、「引っ越し」は名詞ですから「引っ越しをしました」です。
※古いPCをついに処分しました。内蔵ハードディスクを外すのはプラスドライバーがあればできるんですね、DELL Dimensionはちょっと苦労しましたが、Macintosh Performa 575は、こんなに簡単でいいのかというくらい簡単でした。久々の引っ越しです。業者に見てもらったら、荷物が多すぎるから頑張って捨てろと言われました。片付け上手があだになりましたよ、はい、頑張って捨てて引っ越します。というわけで、6月29日は更新を休みます。
コメント (2)
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「医師が24時間いない」って?

2014-06-15 09:56:05 | 言葉についてあれこれ
                               ほとんど寝てるし

 「お金持ちの知人は、買い物をするとき、値札を見て買わないそうです」ということですが、値札を見て、買わなかったのか、買ったのか、どっち? この人は金持ちだから値段なんか気にしない、どんなに高くても欲しい物は買うのです。それは「値札を見ないで買う」ですね。
 「いったん受け入れず、すぐに反論するのはNGです」も矛盾しています。「いったん」に「受け入れず」と続けるのは変ですよ。いったん受け入れ、よく考えてから、言うべきことは言う、ろくに話を聞かないで反論するばかりではいけない、本当はこう言いたいわけですから、「全く受け入れず、すぐに反論するのはNGです」ですね。
 「彼らはあなたのことを友人なんかとは思ってません」は惜しい。「彼らにとってあなたは友人なんかじゃないですよ」ならいいのですが、言い方を丁寧にしたらおかしくなってしまったようですね。「彼らはあなたのことを友人と思ってなんかいません」か「彼らはあなたのことを友人だなんて思っていません」です。
 「そんなに疲れにくくなると思います」と書いた人は自信がいま一つのようです。「そんなに疲れない」か「疲れにくい」ですから、「そんなに疲れにくい」は日本語として成立しません。「そんなに疲れないようになると思います」か、すぱっと「疲れにくくなる」と言えないなら「比較的、疲れにくくなると思います」か、ですね。
 「優しくも平常心すらとれる気がしないです」は、優しくすることはできない、それどころか、平常心でいることすら無理、という意味ではないかと思うので、「優しくするどころか、平常心でいることすらできないような気がします」でしょうか。もうちょっと“書く”ということを意識してほしいですね。
 名所の落書きについて報じるニュースでマイクを向けられた関係者が「なるべくこういうことをしていただかないようにお願いしたいと思います」と言ったのを見て、前に、いわゆる文化人が「それを人ごとだと思っていただかないということなんですね」と言ったのを思い出しました。これも「~ていただく」症候群の症状ですかね┐( ̄д ̄)г。
 どちらも随分控えめな言い方ですが、「こういうことをしないようにお願いしたいと思います」と言うべきでしょ、「それを人ごとだと思わないようにしていただくということなんですね」とか、「それを人ごとだと思わないでいただきたいということなんですね」とか、「それを人ごとだと思わない、ということなんですね」でしょo(`д´)o!
 ちなみに、「ひとごと」の表記は、表記辞典では「人ごと」です。「人事」も挙げてありますが、これだと「じんじ」と読んでしまいますからね。「たにんごと」で国語辞典を引くと「他人事」、「ひとごと」で引くと「人事」「他人事(あて字・難訓)」です。先日、テレビ番組で「他人事」は「ひとごと」と読むのだと言っていましたから、これが優勢になるでしょうか、う~ん、迷うなぁ。
 救急診療所の実態がどうだとかいう話題で「医師が24時間いない」というテロップが出たのは「とくダネ!」です( ̄д ̄)! 医師がいない時間帯があるということなのですが、「医師が24時間いない」なら、そこはもはや診療所ではありません。いるけれど、いない時間帯がある、それは「医師が24時間いるわけではない」ですね。
 「初めはそっくりさんとしか信じていないメンバーでした」と言ったのはフジの笠井アナ。ある番組に世界的大物歌手が出演したのですが、レギュラー出演のメンバーには知らされておらず、登場した大物歌手が本物だとはみんな思っていなかったのです。そっくりさんだと思って接していたのに、そのうち本物だと分かってびっくり、大感激、というわけです。「とくダネ!」に出るの、やめたら?
 どうせそっくりさんだろ、本物が出てくるわけないよぉ~、という気持ちを「信じる」と表現するのはおかしいですし、「そっくりさんとしか信じていない」は日本語として成立しない言い方です。普通は、「そっくりさんだとしか思わない」「本物だとは思っていない」「本物だと言っても信じない」「本物だなんて信じられない」と言いますよね。
 「メンバーは、初めはそっくりさんとしか思っていませんでした」「メンバーは、初めは本物だとは全く思っていませんでした」「メンバーは、初めは本物だとは夢にも思っていませんでした」「メンバーは、初めは本物だとは信じられませんでした」と、アナウンサーなら言ってくださいよ、笠井さ~ん。
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「彼らが追っていたのは火災現場」って?

2014-06-08 09:01:35 | 言葉についてあれこれ
                               工夫してみた

 「アンビリバボー」から。「彼らが追っていたのは火災現場」というナレーション。犯人や竜巻などとは違って火災現場は逃げないぞ。「やせいにかえした」というナレーション。アマゾンで小さなワニを捕獲し、その後、放してやった、それだけ(^.^)。本来の意味なら「野生に返した」ですが、原稿には「野生に帰した」とでも書いてあったのでしょうか。「森に帰した」ぐらいのつもりでしょうね。
 「カンブリア宮殿」から。「蛍光灯は自分の真上のものしか使用禁止」というナレーション。節約は大事ですよね、で、使っていいの? いけないの? 「望遠レンズを持っているから撮れるものではない」というテロップ。被写体までの距離は随分あるようですが、撮れるの? 撮れないの? 「望遠レンズを使えば撮れるというものでもない」ですよね、腕(技量)も必要なのですよね。
 「とくダネ!」から。画面の下にするすると右から左へ流れていく小さな文字、たまに目に留まるのですが、「交際女性と父親をナイフで刺し男が逮捕」で「さしおとこ」と読んでしまい、笑えない内容なのに笑ってしまいました。「交際女性と父親をナイフで刺した男を逮捕」でしょ。
 これも笑えない、「身寄りがなくなっているかたの」というテロップ。高齢者が孤独のうちに死んでいったという何とも寂しい話がときどき聞こえてきますが、世の中には悪い人がいるもので、身寄りのない人が亡くなったら、その人(身寄りのない故人)のお金を着服する、そういうことがけっこうな頻度であるという話でした。
 「スーパーJチャンネル」から。「2人とも60歳以上がいい」というナレーションとテロップ。パイロットの年齢制限緩和という話で、これまでは、機長、副操縦士、どちらか一人は60歳未満でないといけなかったのですが、二人とも60歳以上でもかまわないそうです。原稿を書いたやつ、出てこい( ̄д ̄)ダラケッ!
 「(DNA解析は)第三者が部屋にいたことをほのめかす結果だった」というナレーション。「ほのめかす」は、言葉や行動でそれとなく示すということですが、DNAでしょ、しゃべりませんよ。それに、「ほのめかした」と言うもので、「ほのめかす結果だった」とは言いません。これはやはり「第三者が部屋にいたことを示唆する結果だった」ですね。言いたいことは分かるのですが・・・( ̄  ̄)。
 NHK「手話ニュース」では、話し手が「お客様に提供したい」と言ったとき、テロップは「たくさん提供したい」でした。手話とテロップで情報を伝える番組なのに( ̄д ̄)! 「団塊スタイル」では、話し手が「いろいろ自分で工夫できたりとか、考えたり、いくらでもできるので」と言っているのに「自分で工夫できたりとか 考えたら いくらでも出来る」というテロップ。「~たり~たり」と書いてはいけないというルールでもあるのか? 意味もちょっと違うし(――゛。
 「奇跡の地球物語」で見た変なテロップは「住居で異なる建築工法」。ふぅん、白川郷ね、何度か行ったことはありますが、住居によって工法が違うんですか、どれもみんな同じに見えるけどぉ~、と思ったら、合掌造りの建物は、1階と2階とで工法が違うという話でした。あのね、それなら「一つの建物に異なる建築工法」とか、「1階と2階とで異なる建築工法」とか書いてよね( ̄д ̄)!
 それから、予算5000万円で愛犬と暮らす家を芸能人○○が探すという番組をちらっと見たのですが、「この物件は5680万円、○○の予算は5000万円と、ややオーバー」というナレーションが聞こえ、もやもやしました。「○○の予算は5000万円、この物件は5680万円とややオーバー」もしくは「この物件は5680万円だが、○○の予算は5000万円なのでややオーバー」でしょ( ̄  ̄)。
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「即興の診察室」って?

2014-06-01 09:08:26 | 言葉についてあれこれ
                               おいしいかい?

 一般の人が書いた文章で見掛ける「ご教授よろしくお願いいたします」ですが、「宜しく御享受下さい」なんていうのも見たことがあって、これなどはもう論外ですが、「ご教授」は惜しいですねぇ。「教授」は、学問や技術・芸術を教え授けるという意味で、そういうことについて「○○先生、ご教授のほどお願いいたします」ならいいのですが、それ以外の簡単な質問なら「ご教示ください」と言えばいいのです。
 あ、ついでに、「ご教授のほどお願いいたします」ですよ、「ご教授のほうお願いいたします」ではありませんよ。これも今ではほとんどの人が「~のほう」と言っていますが、「ほう」は誤りで「ほど」が正しいのです。以前、レスリングの吉田沙保里選手が「応援のほど、よろしくお願いします」と言うのを聞きましたが、やはり気持ちいいですよ。
 こういう、ちょっと違う、惜しい例を集めてみました。「散々たる結果」も一般人の文章で見たのですが、見た瞬間、ああ、惜しい、「さんたんたる」を「さんざんたる」と勘違いしているのだなぁと思いました。「惨憺たる結果」ですよ、「見ていられないほどひどい様子」です。「さんざん」なら「散々な結果」ですね。
 「身の回りにいた捜査車両の照会を」は「FNNスピーク」のナレーションとテロップです。一般の人ではありませんよ、ニュース番組ですよ( ̄д ̄)! 「NHKみんなの手話」でも「私の回りにも」というテロップが出たことがありますが、これはいけませんね、実に情けない。「私の周りにも」です。
 「身の回り」は、毎日の生活に必要な着物類や持ち物、また、それらを始末すること、ふだんの行動やつきあい関係、身辺、という意味です。「身辺」なら当てはまる? いいえ。「身辺警護」や「身辺の捜査」ならありえますが、近くにいた捜査車両なんて「周りにいた捜査車両」でしょ( ̄ ̄)。「そうさしゃりょう」って言いにくい(^^;。
 「身」でもう一つ。北陸放送のニュースで聞いた「シートベルトを身に着けるように」ですが、ちょっと違いますよね、身に着けるのは衣服や技術ですよ。ちなみに、「交通の教則」には「シートベルトの着用」と書いてありますから、「シートベルトを着用するように」と言ってください。
 北陸放送といえば、「石川の知られざる偉人 湯本求真物語-東西医学融合の先覚者-」という番組で聞いたナレーション、「風邪を引いたとき、西洋医学では、熱を下げたり咳を止めるといった、対処療法として薬を使いますが、漢方では、体を温めて汗を促したり、抵抗力をつけるといった根本的治療として薬を使います」でしたよ、残念!
 はっきり「対処療法」と言ったナレーター。原稿を書いたのはディレクターかな、「対処療法」と書いてあったのか「対症療法」と書いてあったのか、それは分かりませんが、明らかに「対処療法」と聞こえました。「NEWS ZERO」で桐谷美玲が「対処療法」と言ったことがありますし、たまに聞こえてくるのですが、上記のようなタイトルの番組で「対処療法」はない( ̄д ̄)! それに、繰り返しの「~たり」なのに繰り返していないし、「汗を促す」だって「発汗を促す」でないといけないし( ̄ ̄)。
 それから、「漢方を標榜する医院を開業、医院といっても、小さな住まいの中の一室を利用したに過ぎず、患者が来るとその部屋から家族を追い出し、そこが即興の診察室に早変わりするというもので」なんていうのもありましたが、「即興の」ではなく「即席の」です。「そっこー」と同じだと思っているみたい(――゛。
 「世界ナゼそこに?日本人」のナレーションにも「大きさ2畳ほどのモングルーと呼ぶ家を即興で造ります」というのがありました。「即興」は、その場の興味で、芸をしたり、歌ったり楽器を演奏したりすることで、診察室も家も必要だからそうするのに、「即興」なんてありえません。若い人は、インスタントラーメンのことを即席麺なんて言ったことないでしょ(・ω・)!?
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