◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「スタミナのある食材」って?

2010-01-24 08:49:43 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                                  心のスタミナ源
 夏は(←唐突に夏かいっ ーー;)、その年によって、やたら暑かったり、逆に夏らしくない夏だったりしますが、夏らしい夏には「夏バテ」という言葉が必ず登場し、女子アナが「毎日暑いので、ばてないようにスタミナを取りたいですね」などと言ったりします。これは『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて- に挙げた例文ですが、どこがどうおかしいか分かりますか?
 スタミナとは、体力、持久力、活力という意味です。スタミナを維持するためにはスタミナ源を取らないといけませんね。「ばてないようにスタミナをつけたい」ならいいのですが、スタミナを「取る」ことはできません。スタミナ源となるような食材でおいしい料理を作っていっぱい食べる、これしかないでしょ。
 あるとき、大好きなテレビ番組の再放送を見ていて、今日のタイトルの「スタミナのある食材」というのを聞きました。寒い冬を乗り切るためにスタミナをつけたいということでタレントがわざわざ海外へ行って食材を探していたのですが、そのときに市場で言ったのが「スタミナのある食材って何かありますか」です。
 「スタミナのある食材」というと、例えばウナギとか? 包丁を入れてもまだ動いてたりなんかして、いかにもスタミナありそうですもんね・・・って、そうじゃないでしょ! 怖いじゃないのっ( ̄ ̄)! あ、ちゃんとしゃべれの神様降臨m(_ _)m、これを書きながら見ていた番組の画面においしそうなうな重が、そして、「上うな重はスタミナ抜群」というナレーションが・・・( ̄д ̄)!
 さてさて、正しくは「スタミナのつく食材」です。スタミナのつく食材ってけっこう地味なものではないでしょうか、例えば生姜とかね。ちなみに、漢方の話の中で出てくるときは「しょうきょう」と読みます。あ、そうそう、上うな重はどうしましょうかね・・・、「上うな重でスタミナもりもり」とでも言いますか。(⌒・⌒)
 先月、周りでインフルエンザ感染者が続出し、私も感染は避けられないだろうということで、レトルトのおかゆまで用意して栄養をとることにいつもより積極的になりました。14日から2~3日の間、熱っぽくて頭痛に悩まされたのですが、ちゃんとご飯を食べ、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカルスをしっかり摂取、その結果、症状が悪化することはなく、「風邪気味」程度で済んでしまいました。この調子で冬を乗り切るぞっ、おーっ\(~o~)/
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「並び替えて」って?

2009-11-18 20:33:19 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                             やんハムかいっ!
 14日の夜、脳の活性化というテーマのテレビ番組を横目で見ながらパソコンに向かっていたのですが、「キーワードを並び替えてください」という誤った言い方を何度も何度も、本当に嫌になるぐらい何度も連発して・・・、だいぶ前から出てきてはいたのですが、あ~~~、もうだめだ、定着してしまう~~~( ̄д ̄)!
 しかも、「キーワード」を「並び替えて」はおかしいでしょ、「文字」を「並べ替えて」ですよ。バラバラにして順番を入れ替えた6~7個の文字を並べ替えてキーワードを当てるんですよ。テロップは「文字を並び替えて下さい」となっていました。「文字」はいいですが、「並び替えて」じゃないでしょ、入力してて気づかないなんて・・・( ̄д ̄)ダラケッ!
 何度も「並び替えて」と繰り返す、「並び替えて」と入力してしまう、ということは、「並び替えて」が誤りであることに全く気づいていないということですね。「さあ、皆さん、並び替えて直感力を鍛えましょう」って、あほかっ! その前に、ナレーターさん、変な日本語を変だと感じることのできる日本語力もないのにナレーターなんかやってないで、とっとと転職してください。やめないのなら、日本語力を鍛えましょう。
 え? なぜ「並び替えて」が誤りなのか分からないって? う~む、世の中には「並び替え」が氾濫しているので無理もないことですが・・・何か変だなぁと感じたことぐらいはありませんか? 変だと感じたけれど、自分で調べる時間はなく、放置しちゃってましたか? では、『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて- から抜粋してご説明しましょう。
 まず、「並べ替え」が自動詞なのか他動詞なのか考えてみましょう。「並べ」は「並べる」の連用形で、「並べる」は他動詞ですから、「替える」という他動詞と結び付くのはごく自然なことです。一方、「並び」は「並ぶ」の連用形で、「並ぶ」は自動詞ですから、そこへ「替える」と続けるのは不自然です。自動詞には自動詞、他動詞には他動詞が続くのが基本で、「替える」とくっつけて言えるのは「並べる」であり、「並ぶ」ではありません。つまり、「並べ替える」が正しいのです。
 自分の脳を使って一生懸命考え、文字を正しい順番で「並べる」、文字の順番を「替えて」正しいキーワードになるようにする、どうですか? 並べる、替える、並べ替える、ですよね。(⌒・⌒)/~~~
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「○○さんも詫びております」って?

2009-09-09 20:23:11 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                               呼んでなぁい
 前回、「○○代表は国民に深くお詫びした」という例を挙げましたが、久しぶりに降りてきましたよ、ちゃんとしゃべれ!の神様が(⌒・⌒)。
 6日の朝、テレビをちらちらと見ながらパソコンに向かっていたら、「先ほど、不適切な表現がありました。○○さんも詫びております」というお詫びが聞こえてきました。しゃべっているのはフジテレビのSアナウンサー(役員待遇エグゼクティブアナウンサー)で、○○さんというのはゲスト出演している政治家です。
 おっ? 「お詫び」じゃなくて「詫びて」だよ、だよね、そう来なくっちゃぁ、と思ったのですが、その後がいけない、「おります」と続き、あ~やっぱりぃ~~~Sさんらしいなぁ~~~とがっくり。まぁ、Sアナウンサーは小倉さんほどひどくはないので、Sさんということにしておきましょうかね。
 以前、首相官邸の前から中継で・・・エグゼクティブアナウンサーなのに中継先にいるという、良く言えばフットワークの軽さ、悪く言えば重みのなさ、ま、いいですけど、「首相は官邸におります。これから出発いたします」なんて言っちゃうのですから( ̄д ̄)ダラケッ! 秘書でもないのに「おります」「いたします」ってどういうこと?
 「おります」の受け取り方は世代によっても異なるようですが、私は、「雨が降っております」なら丁寧語、「首相は官邸におります」なら謙譲語というふうに受け取ります。よって、首相と同じ立場でないなら「いらっしゃいます」もしくは「います」でしょう。そして、「いたします」も謙譲語ですから誤りで、「出発なさいます」もしくは「出発します」と言うべきです。でも、大方の人は「首相は官邸におられ、これから出発されます」かな? あ! こういう言い方をしないところがSさんらしいかも(⌒_⌒)。
 というわけで、「○○さんも詫びております」ではなく、「○○さんも詫びています」が妥当だと思うのですよ。不適切発言を詫びるのですから「いらっしゃいます」とは言いにくい、でも、Sさんはアナウンサー、○○さんはゲストなのですから、単純に「います」ということでどうですか?
 さて、「○○代表は国民に深くお詫びした」は、「お詫び」を「した」のではなく「お詫びした」ですから謙譲表現です。ナレーターという立場なら「○○代表は国民に深く詫びた」と言わなければなりません。「お詫びした」と言ったナレーターは、「お詫び」を「した」と言っているのと同じ感覚、つまり、「お出掛けした」のような感覚だったのかもしれませんね。かなり幼稚です( ̄ ̄)。
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「責任感の重い、愛情あふれる人」って?

2009-06-14 11:14:22 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                        守る責任
 「制服を着ると責任感を感じます」「責任感のある仕事をしていけたらなぁと」、これは、電子書籍『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて-で例として挙げたものですが、どこがおかしいと思いますか? おかしいと感じますか? 3年ほど前にこういう「責任感」の誤用に気づいたのですが、やはりときどき聞こえてきます。「責任感の重い、愛情あふれる人」もおかしいですね。
 「責任感」とは責任を重んじる気持ちのこと。「彼は責任感の強い真面目な人だ」というように、その人の考え方や人柄について言うときに用いる言葉であり、何かあったから感じるというものではありません。正しくは、「制服を着ると責任を感じます」「責任のある仕事をしていけたらなぁと」「責任感の強い、愛情あふれる人」ですね。
 インタビューで「徐々に責任感が増してきている状態で、これでさらに一つ責任感が増して」と言っていた人が、インタビュアーの安藤キャスターが「責任の重みを」と言った直後、「時間がたつにつれ、重みが増してきますね」と言いました。この人はときどきこうして他の人の誤りをさりげなく正すのですが、後輩アナウンサーに対してはもっとストレートですよ、放送中でもすぐにビシッと指摘するのですから、すごいですねぇ。こういう人がもっと多かったら、放送業界もここまで落ちはしなかったでしょうに。
 残念ながらこの誤った「責任感」もどんどん広がっており、さらに感染者を増やしています。「そろそろ責任感を・・・仕事を任されるという・・・」というふうに迷っている人も見ました。「責任感を」と言ってしまったけれども違和感があって別の言い方を考えたようです。結局中途半端になりはしましたが、この人は気づいただけましです。
 先日、市祭があったのですが、テレビで4時間生中継ですよ、すごいでしょ。パレードの出発前、「今のお気持ちは?」と聞かれた主役の俳優が、「大役ですから非常に責任感・・・責任を感じますね」と辛くも言い直しました。危なかった、ぎりぎりだよぉとホッとしたのも束の間、出発してしばらくたったころに再び「今のお気持ちは?」と聞かれ、「いやぁ~責任感重大だなぁと・・・」って、あ~あ、やっぱり言っちゃった( ̄д ̄)!
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「押しも押されぬ会社に」って?

2009-01-14 19:57:52 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                      押し合いへし合い
 11日(日)に、定型の言い回しに気をつけようということを書きましたが、今日はその続きです。NHKの番組で、渋~い中堅俳優がナレーターとして「年商30億の押しも押されぬ会社に」などという間抜けなセリフを言うのを聞きました( ̄д ̄)! いつも脇役だけど、実力派でしっかりした役者さん、そんなイメージが崩れちゃいましたよ。
 これは、「『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて-」にも書いたことなのですが、「押しも押されもせぬ」が正しい形で、だれもが認めてくれるという意味です。この「押しも押されぬ会社に」を聞いたのは『ちゃんとしゃべれ!』を出した後ですから、やはりときどき耳に入ってくる、というか、聞く頻度が徐々に高まっているような気がします。
 「押し」も「押され」もせぬ、「年商30億の押しも押されもせぬ会社に」と言って初めて「だれもが認めるりっぱな年商30億の会社に」ということになるのです。ちょっと考えれば分かることですよね、「押されぬ」と言うのなら、その前の「押しも」は何だというのでしょうか。「押さぬ押されぬ」なら分かりますけど、そんなの聞いたことないわぁ~。
 「押しも押されも」、例えば、百人一首に載っている「これやこの、行くも帰るも別れては、知るも知らぬも逢坂の関」という蝉丸の句のように、「~も~も」と繰り返す表現になっているのが正しいわけで、「~たり~たり」もそうですが、このルールから外れる言い方が広がるのは非常に良くないことです。一体なぜこんな中途半端な言い方が広がるのでしょう? 私は今でも「~たり」が気持ち悪くてしかたありませんよ。
 「今や押しも押されぬエースになった」などと言うベテランナレーター。しゃべるのが商売のナレーター、このごろ、画面の隅にナレーターの名前が出ているのをときどき見かけますが、名前なんか出していいの? ろくな日本語しゃべってないよ! 先日、ベテランキャスターの小倉さんまでが「押しも押されぬ」なんて言いましたよ。もともとこの人の日本語はちゃんとしていませんけどね。
 ところで、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」という馬子唄を聞いたことはありませんか? 江戸時代、橋のない川を渡るには、人足に渡し賃を払って川越えをさせてもらう必要があり、雨で水量が増えればそれすらできず宿場で待機という困ったことになる、いわゆる難所ですね、このことを「越すに越されぬ」と表現したのですが、これとごっちゃになっているのではないでしょうか( ̄_ ̄)。
 聞いたことがある、見たことがある、うろ覚えのフレーズをまねて表現するというとき、定型の言い回しを用いるとき、ふだんいいかげんにしゃべっていると、(「押しも押されもせぬ」+「押すに押されぬ」)÷2=「押しも押されぬ」・・・なんてことになるようですね。もともとの正しい形をしっかり理解してから使うように気をつけましょう。
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「お求めやすい価格で!」って?

2008-12-03 20:13:36 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                    ドーナツが大きく見える~
 先日、久しぶりにミスドのドーナツを食べました。ケーキやドーナツなど、甘い物は大好きです。お金と暇があったら毎日そういうものをたくさん食べてもっと太っているでしょうね。ですが、なにしろ貧乏ダイエット中ですからなかなかそういうものを食べる機会がなく、徐々にやせていくわけですよ。
 世の中の品物、特に小麦を原料とするパンやドーナツのサイズがちょっと小さくなってきていますよね。能登へ行ったときに食べたおいしいパスタも前より分量がやや減っているように感じました。その代わり、値段は以前とそんなに変わりないのですね。私はあれこれ食べたいからそのほうがありがたいのですが、あれもこれもと結局高くついたりなんかして・・・( ̄_ ̄;)。ポン・デ・リング、エンゼルショコラ、熱いコーヒーとドーナツって本当に合いますね、まことにおいしゅうございました。
 それにしても、いけないのはあのCMですよ、変な日本語を堂々と言ってますからねぇ、「お求めやすい価格で!」だなんて・・・( ̄д ̄)。CMは繰り返し繰り返し流れるものですから、こういう間違いはあってはならないのです。関係者の中に、この間違いに気づいた人はいなかったのでしょうか。いつも思うことですが、だれも気づいていないのか、気づいた人はいたけれど、どうにもならなかったのか、どっち?
 ずっと以前、地元のローカルCMでも、ベテランアナウンサーが「お求めやすい価格で販売いたしております」なんて言っていましたが、ちょっと考えてみてください、「お買いやすい」とか、「お支払いやすい」とか、「お考えやすい」とか、言いますか? 聞いたことはありますか? なぜか「お求めやすい」はときどき耳にするのですが、ときどき耳にするから慣れている、これが間違いだとは認識できない、ということでしょうか。
 「お求めやすい」は、「求めやすい」を尊敬表現にしたつもりなのでしょうが、ただ「お」を付ければいいというものではありません。「買いやすい」を「お買いやすい」とは言わないのと同様に、「求めやすい」を「お求めやすい」とは言わないのです。「求める」の尊敬表現は「お求めになる」ですから、それが「~やすい」という形に、つまり、「お求めになりやすい」となるわけです。CM制作者は、特に言葉には注意して、「お求めになりやすい価格で!」とびしっと決めてほしいものです。
 敬語なんて、基本形を知っていれば簡単なのです。アナウンサーをはじめとして、ほとんどの人はそれを知らず、知ろうともせず、めちゃくちゃな言い方をしていますね。複雑で難しい、なんてただの思い込みであり、ちょっと整理すればどうということはないのですから、『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて- を読んでください。そして、ちゃんと敬語を話せるすてきな人になってくださいね。
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役不足、力不足、力に余る。

2008-09-17 21:03:07 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                       手にすっぽり
 「役不足」は、実力のある俳優に通行人は役不足、その人の力量より仕事の内容や役割が軽いということである。「君には役不足だけど頼むよ」というのは、君にとっては簡単な仕事だから張り合いがないだろうけれど頼むよという意味になる。仕事の内容に対して力量が不足しているということを表す言葉としては、「荷が重い」や「荷が勝つ」「力に余る」などがあるが、「役不足」に対して「力不足」という言葉がちゃんとあるのだから、これはきちんと使い分けたい。
 以上、電子書籍『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて- の中の「役不足」に関する記述の抜粋ですが、「役不足」の意味を「力不足」と同じだと誤解している人は大勢います。いや、大勢いるというより、正しく理解している人は3割ほどしかいないという情けない状況のようです。「情けない」とあえて言うのは、このことが、「役」と「力」を混同してしまうほど日本人の日本語センスが低下しているということを示しているからです。
 誤解しているAさんと正しく理解しているBさんが話していて、互いに何かおかしいなぁと途中で気づくでしょうか? もしも気づかなかったら、Aさんは、Bさんに自分の力量を認めてもらえていないと思い込んでがっかりして終わり、ということになるでしょうね。
 「君には役不足だけど」は、「力のある君にこの役は不足だけど」ということであり、「力不足」の場合、「君は、この役をやるには力が不足しているのだけど」となり、言葉の組み立て方が違ってきます。今、日本語の肝心な部分である助詞を正しく使える人が減り、めちゃくちゃな組み立て方をしています。特に「に」は、本当は「に」なのに別の助詞、本当は「に」ではないのに「に」といった状況で、正しく使われているのをあまり見かけません。ですから、「力不足」と同じ意味の「力に余る」なんて理解できないのではないでしょうか。力が足りているのか、それとも、足りないのか、分かりますか?
 力に余る → 何が? → 役が。「余る」には、自分の力以上になるという意味があり、「手に余る」「身に余る光栄」などが思い浮かびますが、「力に」ですから、力に対して役が余る、役のほうが力より大きい、つまり、力が足りないからその役をうまくこなすことができない、ということになります。こういうふうに順序立てて想像できますか?(^.^)/~~~
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「気にしなくて外出できる」って?

2008-08-20 19:04:02 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                       外出する?
 10日に「車輪が下りずに胴体着陸」と「車輪を下ろさずに胴体着陸」について書きましたが、たまたま△△という商品のCMで「○○を気にしなくて外出できる」というセリフを聞き、ここまでひどいことになっているのかと非常に驚き、また改めて書くことにしました。実は、「~ずに」の誤用のもとがこれなのです。いや、私は学者ではありませんから断定することはできませんが、少なくとも、「~ずに」の誤用と「~なくて」「~ないで」の誤用は影響し合っていると思います。
 電子書籍『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて- の中で、「~ずに」「~なくて」「~ないで」について文法の説明をしています。「~ずに」の使い方が間違っているというのを、何となく雰囲気では分かってもらえたかなぁと思うのですが、この辺で一度文法の裏付けをしておきたいと思います。そのほうがすっきりしますからね。はいっ(^^)/
 まず、「~ずに」について説明します。打消の助動詞「ぬ」の連用形「ず」に助詞「に」が付いて「~ずに」、意味は「~ないで」です。例えば、「手紙を読まずに捨てた」「種類を区別せずに使う」「泣かずに頑張った」、読まなければならないのに手紙を読まないで捨てた、種類を区別することが望ましいのに区別しないで使う、泣いてしまうのが普通なのに泣かないで頑張った、ということになります。
 「車輪が下りずに胴体着陸」の「ずに」を「ないで」と言い換えると「車輪が下りないで胴体着陸」となり、誤りであることがはっきりしますね。本当は「車輪が下りなくて、やむをえず胴体着陸した」と言いたいわけで、「下りなくて」の「て」は接続助詞、打消の助動詞「ない」の連用形「なく」に接続し、「~ので」という意味になります。「車輪が下りないので、やむをえず胴体着陸した」です。そして、これを、いかにも報道らしい、少し硬い言い方にすると、「車輪が下りず、胴体着陸」となるわけです。
 例えば、「探したけれど、見付からずにがっかりした」というのはどうですか、おかしいと感じますか? 「ずに」=「ないで」ですが、「見付からないでがっかりした」ですか? そうではなく、「見付からなかったのでがっかりした」ではありませんか? それは「見付からなくてがっかりした」であり、硬い言い方にすると、「見付からず、がっかりした」です。いつもいつも「~ずに」と言ってしまう人は、「~ないで」と「~なくて」の区別がついていないのでしょう。
 次に、「○○を気にしなくて外出できる」について考えましょう。例えば、「やむをえなくてやりました」と言えば、「~なくて」ですから、「やむをえなかったのでやりました」という意味になります。ということは、「気にしなくて」は「気にしないので」という意味であり、文字どおり「気にしないので外出できる」、それならこのCMは無意味、○○を気にしていないなら何も問題ない、△△を買う必要はないということになります。
 それから、「~ないで」の「で」は状態を表す格助詞で、打消の助動詞「ない」の連体形「ない」に接続しています。「何もしないで立っていた」と言えば、どのように立っていたのか、何もしないでただそこに立っていただけ、という状態を表します。「○○を気にしないで外出できる」なら、外出できる → どういう状態で? → ○○を気にしない、そういう状態、ということで、これが正しい表現です。
 以上、いろいろ書きましたが、普通は「○○を気にしないで外出できる」と言いませんか? 「○○を気にしなくて外出できる」なんて言うのは放送業界の人が多いのではないでしょうか。意味も考えずに「ないで」を「なくて」と言い換えているだけです。響きが、「ないで」より「なくて」のほうが硬いから・・・、要するに、かっこつけてるだけです。でも、ひょっとして、若い人はもうだいぶこういう言い方になっている・・・?
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変な日本語、その22、「ここにいれることが」。

2007-11-27 20:18:44 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                         ら
 ら抜き言葉、聞いたことはありますよね、では、ら抜き言葉とは何でしょうか。一段活用の動詞には、未然形に可能の助動詞「られる」が付きます。「られる」と言うべきなのに「れる」と言ってしまうのがら抜きで、ふだんの話し言葉としては、もうだいぶ慣れてそんなにおかしいとは感じなくなってきているものもありますが、改まった場面で聞くと印象がよくないものもあります。また、文章化すると、ら抜きは少々間の抜けた感じがするので修正せざるをえません。
 「い・ない、起き・ない、顧み・ない、見・ない」は上一段活用、「続け・ない、建て・ない、集め・ない、始め・ない」は下一段活用、い・られる、起き・られる、顧み・られる、見・られる、続け・られる、建て・られる、集め・られる、始め・られる、となるので、「ら」を言わなければら抜きということになります。カ行変格活用の「来る」は、未然形「来(こ)」に可能の助動詞「られる」が付いて「来・られる」となるのですが、「可能動詞の形は来れる」だとする辞書もあるようで、どちらでもいいというか、微妙ですね。
 もちろん、「ら」がないほうが可能表現であることがはっきりして分かりやすいという場合もありますから、一概に「ら抜きはだめだ」などと言うつもりはないのですが、やはり「ここにいれることが」は「ここにいられることが」と言わなければいけません。「いれる」だと、一瞬「入れる」かなと迷いますし、何よりも品がありません。知性が売りで、しかも、広報担当の女性が「ここにいれることが」などと言ったのでとてもがっかりしました。要するに、「ら」の扱い方でその人の品位をうかがい知ることができるのですよ。( ̄д ̄;)ヒィ~コワ~。
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変な日本語、その21、「並び替え」。

2007-10-24 19:09:50 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                    しまった、耳からだった
 「順番を並び替える」、正しくは「順番を並べ替える」ですね。以前、テレビで「並び替え」を連発する面白いシーンを見たのでご紹介します。AさんとBさんがファイルの順番について話していて、まず、Aさんが「日付で並べ替える」と言い、続けてBさんが「こうやって並び替えると」と言いました。すると、Aさん、今度は「次はファイル名で並び替えて」と言ったのです。あ~、なんてこった、間違いに引っ張られてしまったぞ! でも、この先が面白い。その後、Aさんは、「このように並○(びに近い、びとべの中間の発音)替えて」と言い、次は「こうして並○(べに近い、びとべの中間)替えると」になり、最後に「並べ替えて」に戻ったのです。「並び替え」は、言っていてやはり違和感があったのでしょう。
 このように、間違いはうつりやすいものなのです。間違っている人は、間違っているとは夢にも思っていないから自信がある、自信たっぷりに言い切っているからうつりやすいというわけです。さらに残念なのは、Aさん、せっかく最後に「並べ替え」に戻ったのに、やはり自信がないのでしょうね、つい先日、中高年のためのパソコン講座(Aさんが講師)を見ていたら、「メールの並び替え」と画面に大きく書いてありました。NHK教育なのにぃ~、なぁ~ぜぇ~???
 いろいろなサイトのページでも「並び替え」を目にしますね。しかも、同じページに「並べ替え」と混在しているというめちゃくちゃぶりです。「ごち」の司会をやっている人も、さっき「並べ替え」と言ったのに次は「並び替え」ですからね。ま、「黒豆醤油」を「くろどうふあぶら」と読んだくらいだから、彼の日本語力は推して知るべし、アナウンサーだけど。
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変な日本語、その20、「マッチしていなさそうな」。

2007-10-21 19:41:42 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                    飲みにくそうなポーズ
 一昨日の夕方、「さ入れ」について考えていたとき、例の日本語ど下手コンビの女性司会者が「○○さんは巣鴨にマッチしているような、マッチしていなさそうな」と言うのを聞き、今のもさ入れだぁと思い、書き留めました。でも、これがさ入れだと気づく人は少ないでしょうね。とはいえ、数日前にたまたま耳に入ったドラマのセリフはちゃーんと「できなそうだ」になっていて、100%さ入れというわけでもないのです。
 「そういうふうに見える」ということを表す様態の助動詞「そうだ」は、活用語の連用形と、形容詞・形容動詞・助動詞「たい」「ない」の語幹に付きます。例えば、「食べる」の連用形「食べ」+「そうだ」で「食べそうだ」となります。
 では、これが「食べない」だったらどうなるか。まず、「食べる」の未然形「食べ」+打ち消しの助動詞「ない」で「食べない」。「ない」の活用は「なかろ(未然)、なく、なかっ(連用)、ない(終止)、ない(連体)、なけれ(仮定)」だから、変化しない部分(語幹)の「な」に「そうだ」が付いて「食べなそうだ」となります。これと同じことで、「できない」に「そうだ」が付くと「できなそうだ」です。「マッチしていない」に「そうだ」が付くと「マッチしていなそうだ」です。
 ちなみに、「おいしくない」の「ない」は形容詞です。「ない」と「よい(良い)」は形容詞だから、語幹+「そうだ」で「なそうだ」「よそうだ」となるはずですが、語幹が1文字と短いので「さ」が入って「なさそうだ」「よさそうだ」となり、それがそのまま「おいしくなさそうだ」「心地よさそうだ」というふうになったのです。
 助動詞の「ない」「~な・そうだ」と、形容詞の「ない」「な・さ・そうだ」とを混同し、「できなそうだ」「マッチしていなそうだ」に「さ」を入れてしまう、これは、こういうことを分かっていないとついやってしまいそうな間違いですが、話す職業の人がきちんとしていないというのは残念です。
 私が「何か引っ掛かる」という場合、まず「言いにくい」と感じます。「マッチしていなさそうな」と言ってみてください。言いにくいでしょう? 「マッチしていなそうな」なら言いやすいでしょう? 文法では誤っていても、言いやすいという理由で定着するものはあります。それはそれでいいのですが、実際、正しいものは言いやすい、誤っていると言いにくいということがほとんどですから、言いにくい言葉は、何だか変? 間違ってるんじゃないかなと、ちょっと疑ってみてください。
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変な日本語、その19、「監禁させられる」。

2007-10-18 19:39:21 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                   どこの記者だ?!
 出た! 「ちゃんとしゃべれ!」にも書いたのですが、また聞きましたよ、「監禁させられる」。夕方のニュースで中継先の記者が「○○さんは納屋に監禁させられるなどして死亡しました」と言ったのですが、皆さんはお分かりですよね、正しくは「監禁されるなどして」です。「監禁させられる」だと、悪人の片棒を担がされたことになり、被害者のはずが加害者になってしまいます。その挙げ句に「死亡しました」なんてお気の毒すぎます。
 本当にいるのですよ、こういう人が何人も。あまりにもばかばかしい間違いなので、「断っておくが、例文はすべてだれかが実際に話したものであって、私の創作は一つもない。話し手が特定されないよう、必要に応じて一部を変えてあるが、あくまでも耳に入ってきたものだ。こんな日本語を毎日聞かされていれば変な日本語アレルギーになるのも無理からぬこととご納得いただけるだろう」と書いたくらいです。中継先でリポートする記者さんというのは、「記者」というからには、いろいろ取材して文章を書くのが仕事なのだと思いますが、ちゃんとした日本語をしゃべっている記者さんは非常に少ないですね。皆さん若いから?
 使役と受身に関しては、「眠らさせたらもったいない」だとか、「乾燥させられた状態で外国から入ってきます」だとか、ごっちゃになってしまってちゃんと表現できない人がけっこういますから、うつらないように注意しましょうね。ぼーっとしているとインフルエンザみたいにうつりますよぉぉぉ。変な日本語はうつるんですよ、これ、本当!
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変な日本語、その18、「~しかねる」。

2007-10-15 19:37:05 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                      侵入しかねない
 「申し訳ないのですが、それはできないと思います」のつもりで「それはできかねないです」と言っているのを聞いたことがあります。「できない」と言いたいのだから、つい「~ない」と言ってしまう気持ちは分かるのですが、「それはできかねる」が正しい言い方ですね。「できない」ときっぱり言えないときに便利な言葉で、お客様の無理難題には、申し訳なさそうな表情で「それはお受けいたしかねます」と言えばいいのです。
 「できかねない」は、「そんな雑にやったら不良品ができかねないよ」と言えば、不良品ができるかもしれないという意味になり、「彼ならそんな危ないこともやりかねない」「過労で病気になりかねない」など、~しないとは言えない、よくない結果になるかもしれないというときに使いますね。
 またまたしつこく9月22日の記事から「真意をどこまで量りかねていたのか」ですが、「どこまで」と言いながら「量りかねて」と言ったのは、「量りかねて」が「とうとう量ることはできなかった」という意味であることをしっかり分かっていないからだとも考えられるのです。だって、こういう人は意外にちょこちょこいますからね~(^^;)。
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変な日本語、その17、「どこまで許されるかどうか」。

2007-09-20 20:04:47 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                       安全だから~
 この「どこまで許されるかどうか」という言い方は意外にちょいちょい聞くのですが、どうですか、皆さんも聞いたことがあるでしょう? 「どこまで許されるか」だと、一応許されているが、どのレベルまで許されるかは分からない状態。「許されるかどうか」だと、許されるか許されないかもまだ分からない状態。それぞれ意味の違う言い方が合体しているわけで、一体どういう状況なのか分かりません。
 「いかに安全かどうかを調べる」、安全であることを確かめるのか、それとも、安全なのか危険なのか不明なので調べるのか。「どこまで本当のことが書かれているかどうか」、どの程度本当のことが書かれているのか分からないという状態なのか、本当のことが書かれているかどうかも分からないのか。うーん、全く訳が分かりませ~ん。
 いずれも「どうか」が余計なのですが、まだまだありますよ、ごく最近聞いた例で、「どういったトラブルがあったのかどうか」「いかに早く信頼を取り返すことができるかどうか」などなど、こんな言い方をしているかぎり、トラブルの実態を把握することも、信頼を取り戻すこともできないでしょう。
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変な日本語、その16、「もたらせてくれた」。

2007-07-10 20:39:24 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                     これはみたらしだんご
 「変化をもたらせた」「被害をもたらせた」、これ、どう思いますか? 過去形ではなく現在形で言ってみてください。「もたらす」もしくは「もたらせる」、どちらですか? 基本は「もたらす」で、手元の辞書にも「もたらす」で載っています。「つなぐ」「つなげる」のように、五段活用の形だけではなく、下一段活用の形も使われるようになる、その途中というところでしょうか。まだまだ「つなげる」や「悩ませる」ほど使用頻度が高くないので、「もたらせる」には強い違和感があります。ましてや過去形となると、「もたらせた」・・・舌をかみそうです。
 「もたらす」は、他動詞、五段活用。五段活用の連用形はイの段なので「もたらし」、「変化をもたらした」「被害をもたらした」です。例文は「もたらしてくれた」となります。「~させていただいて」が、最近は「~さしていただいて」になりつつありますが、それは、「し」と発音するほうが楽だからでしょう。「もたらせた」はとても言いにくいので、わざわざ言いにくいほうに変化させないでもらいたい。できれば、「もたらす」はいつまでも「もたらす」のままでお願いしたいですね。
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