◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

変だと気づいてもいないんだろうな。

2008-07-30 19:26:12 | 言葉についてあれこれ
                      中華クッキー!
 前回に引き続き、テロップの話です。リポーターが「あ~~~、本当だ、水が濁ってしまっていますねぇ、魚に影響は・・・?」と言い、やや間があって、取材を受けていた人が小さな声で「悪いと思いますよ」もしくは「あると思いますよ」と答えました。「悪いと」か「あると」か、ちょっとはっきりしません。
 通常、「影響は?」と聞かれたから「あると思いますよ」と答えますから、そう言ったと考えるのが自然なのですが、「○○○と」というふうに3文字に聞こえたので、「悪い影響があると思いますよ」というつもりで「悪いと思いますよ」と言ったのだと受け取ることもできます。1回聞いただけですから、どちらだとは明確に決められません。まぁ、どちらにしろ、趣旨はほぼ同じと考えていいでしょう。
 問題はここから。そのときのテロップが「魚に影響は悪いと思いますよ」だったのです。「影響は悪い」というのは日本語として成立しません。「魚に影響は?」「悪いと思いますよ」というふうに、セリフを質問と答えに分けて初めて何とか成立するわけで、これを続けて一つにしてしまうなんて乱暴すぎます。
 もちろん、字数を減らすために質問と答えを一つのセリフにしてしまうなんてことはテロップではよくありますから、それなら、たとえ「悪いと思いますよ」と聞こえたとしても、「魚に影響はあると思いますよ」と書かないと。また、それぐらいの書き換えはできる、そういう人が全国ネットの報道番組のテロップ入力という作業をすべきなのではないでしょうか。(`^´)フンッ
 あ、そうだ、今日の写真は内容と関係ありません、珍しく。いえね、めいがね、好物の中華クッキーを送ってくれたんですよ、こっちでは手に入らないもんだから。(^^)ゞ
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「免許の練習をしていた」って?

2008-07-27 11:02:03 | 言葉についてあれこれ
                     ハムやん、免許は?
 放送業界の人たちの日本語力の低さは相当なもので、私たちは毎日毎日それに毒されているわけですが、耳から入る言葉だけではなく、目から入る言葉も大変なことになっています。画面に出てくるテロップのいいかげんさときたら、もぉ~、ひどいのなんのって。本当にこんなことで給料をもらっているのか? これで給料をもらえるなんて、すっごく腹が立ちます。全国ネットなのに、この程度の人しかいないの? あきれる! 本当に何とかしてください。
 「免許の練習をしていた」だけ見てもすでに日本語として成立していませんが、どういうことかというと、小学校の校庭で、なぜか、1台の車がぐるぐる走り回っているという映像で、「先生は校庭で運転免許を取るための練習をしていた」というナレーション、そのとき、画面に「先生は校庭で免許の練習をしていた」というテロップが出たというわけです。
 なんと、「運転免許を取るための練習」が「免許の練習」になっているのですが、それは幾ら何でも無理というもの。どうしても字数を減らさなければいけないのなら、「先生は校庭で運転の練習をしていた」です。運転の練習をしないと免許は取れませんし、運転以外にも学ばなければならないことはたくさんありますね。
 校庭でめちゃくちゃに走っても「運転免許を取るための練習」にはならないと思いますが、こういう人っているんですねぇ。私は‘公認の自動車学校’へは行かずに運転免許を取りましたから、交通警察で受ける実地試験の厳しさを知っています。一緒にチャレンジを始めた友人は、何回受けても仮免が取れず、とうとうあきらめて‘公認の自動車学校’に入りましたよ。25年前の話ですけど。( ̄・ ̄)
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「生活に苦しんでいる人たち」って?

2008-07-23 19:26:07 | 気になる言葉、具体例
                      飢餓とは無縁だね
 あるテレビ番組で、「ワーキングプア、年収200万円以下で生活に苦しんでいる人たち」というナレーションが聞こえてきて、私もここ10年ずっとワーキングプアなので、本当にそうだなぁ、妙に実感がこもっているなぁ~と何だか悲しくなりましたが、それよりも、変な日本語アレルギーの私ですから、これが日本語としてちゃんと成立していないことが気になります。
 「生活」の意味は、この世の中に生きて活動すること、収入を得て暮らしていくこと。「生活が苦しい」とは言いますが、「生活に苦しむ」とは言いません。生活そのものに苦しむなんて、つらすぎます。例えば、借金の返済に苦しむとか、具合が悪くてもお金がないから病院に行けなくて、病(やまい、体調不良)に苦しむとか、節約のために食事の回数を減らさざるをえなくて飢餓(空腹感)に苦しむとか、具体的に「~に苦しむ」という言い方をしますね。
 「ワーキングプア、年収200万円以下で、生活が苦しい人たち」もしくは「苦しい生活を強いられている人たち」という表現になると思いますが、ただ、この番組にワーキングプアだということでゲスト出演していた人たちは、そこまでは苦しんでいないようで、お金がないから彼女ができないとか、スキルアップのための勉強が思うようにできないとか、そういうレベルだったと思います。それでなぜ「生活に苦しんでいる人たち」などという表現が出てきたのか、理解に苦しみます。
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「分かりやすい服装に心掛けましょう」って?

2008-07-19 19:08:45 | 気になる言葉、具体例
                      ハムやん、どこぉ?
 昨日、久しぶりにバスに乗りました。車内では、乗るときの「整理券をお取りください」に始まり、いろいろなことをアナウンスしているのですが、「ドライバーから分かりやすい服装に心掛けましょう」というのが聞こえてきて、あ~も~~~、「を」「に」シリーズ第3弾だよぉ~と心の中でつぶやきました。
 高齢者は服装が地味で、早朝や夜など、目立たないのでドライバーに視認されにくい、その結果、事故につながることが多い、だから、事故防止のため、明るい色の服を着るとか、反射材をつけるとか、とにかく目立つようにということを勧めているわけですが、「ドライバーから分かりやすい服装に心掛けましょう」ではなく、「ドライバーから分かりやすい服装を心掛けましょう」です。
 『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて-でも、「夜、外出するときは、目立つ服装に心掛けています」という例を挙げて書いたのですが、「心掛ける」は、いつも注意する、絶えず努力する、という意味の他動詞で、具体的に何を心掛けるのかということを言う必要があります。ですから、正しい助詞は「を」、「~を心掛ける」なのです。
 ここで、「目立つ服装をするように心掛ける」って言うよね? と思ったかたがいらっしゃると思いますが、そうなんですよ、これはこれで正しいのですよ、「目立つ服装をするようにということを心掛ける」の「ということを」が省略されているだけですから。(~o~)/ ヒャッホウ
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「大きな改革に迫られていました」って?

2008-07-16 19:44:46 | 気になる言葉、具体例
                     返事、もらえそう?
 12日(土)に、「男が店員を次々と切り付け、逃走しました」という例を挙げ、助詞が、「を」ではなく「に」だということを書きました。さてさて、今度は「大きな改革に迫られていました」です。NHK教育でとってもためになるハウツー番組(なのかな?)を見ていたときに聞こえてきたナレーションです。またまたがっくり、録画のはずなのに、ディレクターも、ナレーターも、だれも気づかないのか? と、あきれ果てました。
 「迫る」は、「強く求める」という意味のときは他動詞です。例えば、「返答を迫る」は、「返答をしろ」と相手に強く求めるということで、「○○さんに返答を迫る」です。一方、○○さんとの距離を縮めてうんと近づくという意味なら「○○さんに迫る」で、これは自動詞です。期日が近くなるというのは「期日が迫る」と言いますね、やはり自動詞です。
 はい、もうお分かりですね。「改革を強く求められている」の意味なら他動詞、ということは、「迫られていました」の直前の助詞は「を」です。「大きな改革を迫られていました」です。別の言い方をすれば、「思い切った改革をする必要性に迫られていました」です。「必要性」という言葉を入れるなら「必要性に」なのですが、抜けましたね。
 NHKの番組を制作している皆さん、助詞の勉強をしてください! 放送業界で仕事をして給料を得ている皆さん、日本語の勉強をしてください!( ̄н ̄)
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「店員を次々と切り付け」って?

2008-07-12 19:52:21 | 気になる言葉、具体例
                     あーっ、逃げるーっ
 昨日のニュースで「男が店員を次々と切り付け、逃走しました」というのが聞こえてきました。テレビの画面を見ると、テロップも「男が店員を次々と切り付けて逃走」となっていました。もう少し遅い時間帯のニュース番組でも、やはり「男が店員をカッターで次々と切り付け、逃走しました」と言ったので、がっくり、事件発生からしばらく時間がたったのに、アナウンサーたち、だれも気づかないのか? と、あきれました。
 「切り付ける」は、自他下一、つまり、下一段活用の動詞で、自動詞のときの意味は「切りかかる」、刀やナイフで人に切りかかるというイメージ、他動詞のときの意味は「切って刻みを付ける、彫り付ける」、彫刻刀やのみ(鑿)等の刃物を使って硬い木の表面に模様を刻み付けるようなイメージです。
 ここまで読めば、もうお分かりですね。「人に切りかかる」の意味なら、自動詞だから、「切り付ける」の直前の助詞は「に」、「模様を刻み付ける」の意味なら、他動詞だから、「切り付ける」の直前の助詞は「を」です。この事件は、男が「店員に」切り付けたのです。「店員に」刃物を持って襲いかかったのです。
 ニュースを読むアナウンサーさん、助詞の勉強をしてください! たとえ渡された原稿に「店員を」と書いてあっても、「店員に」と言えてこそアナウンサーですよ。( ̄_ ̄)
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「アボカド」であって「アボガド」ではない。

2008-07-09 15:05:20 | 気になる言葉、具体例
                       アボカド?
 アボカドっておいしいですよねぇ、近くのスーパーにて1個98円で売られていたので買ってきました。ワサビと醤油で食べればまるでマグロの刺身でしょ、マグロが食べられなくなったらアボカドを食べればいいのでは? そういえば、養殖で全身トロのマグロができたとかいうのをテレビでやっていましたね、私は赤身が好きですが。
 え~っとぉ、アボカドでしたね、アボカド。よく行くスーパーのポップがいつ見ても「アボガド」なのですよ。それを見るたびに「アボガドやない、アボカドやっ!」と心の中で叫びます。正しくは「アボカド」だと店長に言ってやろうかしら? でも、わざわざそんなことやってる暇ないわっ。( ̄ε ̄)アァイソガシ
 そもそも「アボカド」はアメリカでの呼び名であり、アボカドの本場メキシコでの呼び名は「アグアカテ」、ちなみに、メキシコでアボガドというと弁護士のことらしい。黒っぽくてヘタと果肉の間にすき間があるものが食べごろ。カニカマと混ぜてマヨネーズであえてもおいしいですよね。
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「不安な声があがって」って?

2008-07-06 21:40:24 | 気になる言葉、具体例
                    のの字、のの字、だねぇ
 ニュースを聞いていて耳に飛び込んできた「近所からは不安な声があがっていました」という妙な言い方・・・、これって変ですよね。2日に「これまでで最も波乱なロケ」について書いたのですが、この記事を読んでいないかたは先にお読みください。
 ということで、今度は「不安な声」ですよ。(ーー;) このごろ、本来「~の」と言うべきところを「~な」と言う人が多く、何でもかんでも「~な」になってきているのでむずむずしてしかたありません。「不安な気持ち」とか、「不安な状況」とかいうのなら分かりますが、「不安な声」というのは一体何なのでしょうか。
 悲惨な事件が起き、犯人がなかなか捕まらず、近所の人たちが「犯人がまだ捕まらないから怖いわ」「心配で眠れないよ」「こんな事件が起きて不安です」と口々に訴える、それを「近所からは不安な声があがっていました」と表現するのは誤りですね。正しくは「不安の声」です。
 「不安な声」は、「不安な気持ち」みたいに、「声」の様子がいかにも不安そうだと言っているんじゃないのかという声が聞こえてきそうですが、その場合でも「不安そうな声」と表現するのが普通で、「不安な声」とは言いません。「不安の声」なら、高い声とか低い声とかいう声そのものではなく、不安だと訴える声、「不安だという話」ですね。( ̄‐ ̄)v
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「最も波乱なロケ」って?

2008-07-02 23:40:28 | 気になる言葉、具体例
                     無理せんといてやぁ
 日本語の誤りは、まず、スーパースプレッダーによってあっという間に放送業界内に広まり、一般の人にもすぐに感染し、短期間にみんなが同じパターンになってしまいます。一斉にみんな同じ言い方をするようになるので慣れてしまい、気づきにくいのですが、今、私が気になっているのは、「これまでで最も波乱なロケ」といった言い方です。
 これは、いろいろ波乱があった、これまで経験した中で最も大変なロケだった、ということを言っているようなのですが、どこが誤りなのか分かりますか? え、分からない? う~ん、分からないようなら、あなたも完全にこのパターンがうつってしまっているということですよ。(ーー;)マズイヨ
 「波乱」は名詞であり、形容動詞ではありません。形容動詞は、「静かだ」「きれいだ」「大変だ」など、終止形が「~だ」、後に何か名詞が続く場合、「静かな時間」「きれいな花」「大変なロケ」というように「~な」となります。「波乱なロケ」というのは、まるで「波乱だ」という形容動詞があるかのような言い方ですが、それはないのですから、「波乱なロケ」という言い方はありえないのです。
 「波乱万丈」「大波乱」「波乱を巻き起こす」「波乱に富んだ一生」「波乱の幕開き」というように、「波乱」、つまり、名詞ですから、言い切りの形は「波乱だ」ではなく「波乱」です。そして、後に名詞が続く場合、助詞「の」が付いて「波乱の~」となるのが正しい形です。「波乱な」ではありません。
 では、「これまでで最も波乱なロケ」を正しい日本語で言うとどうなるでしょうか。「これまでで最も大変なロケ」「これまでで最も苦労したロケ」「これまでで最も振り回されたロケ」「これまでで最も波乱があったロケ」「これまでで最も大変だった波乱のロケ」といったところでしょうか。( ̄~ ̄)ウーム
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