◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「大きな窮地にいるんですよ」って?

2015-10-25 09:13:50 | 言葉についてあれこれ
                                  安全地帯で爆睡

 ドラマのセリフは、脚本家が書いて、役者がしゃべる、それが基本ですよね。でも、役者が、言いやすいように変える、自然な日本語に変える、勢いで変わってしまった、演出家の意向で変える、そういうことはあるようです。大抵、日本語としておかしいのは脚本家がそのように書いているのだろうと思うのですが、誤りは直してもいいでしょう? なのに、それをそのまま言ってしまう役者ってどうなの?
 「私という名の変奏曲」(脚本 浜田秀哉)というドラマで、口論をしている場面、しかも遠藤憲一があの顔で「明るみになる」なんて言うからがっかり。台本にそう書いてあっても、「明るみに出る」を知っていれば「明るみに出る」と言えるでしょ。まさか、そんなことはできないとか言いませんよね!? 「去年釈放になったお父さんは、あなたの元に頻繁に訪れ、何度も金をせびりに来ていた」と言ったのは玉山鉄二。「あなたの元を頻繁に訪れ、何度も金をせびった」でしょ、そのほうが言いやすいでしょ!?
 いやぁ~面白かったぁ~、「リスクの神様」(脚本 橋本裕志)。でも、#7はびっくりするくらい日本語がぼろぼろで、一体どうしたのでしょうか。「息子さんとは、社長を解任されてからお会いしていないのですね」は戸田恵梨香が演じる神狩(かがり)かおりのセリフ。相手は目上の人、しかも、“会う”という行為の相手はその人の息子ですから「お会いになっていないのですね」でなければいけないのに。ぶっつけ本番でもあるまいに、これを変だと感じないなんて、戸田恵梨香に敬語のセンスはないようです。
 困ったことに、尊敬語のつもりで目上の人の行為について「ご(お)~して」と言う人が大勢います。石川テレビの稲垣アナは敬語を全く分かっていないので、“○さん”の“話す”という行為について「○さんもおはなししておりました」なんて言うのですから分かりにくくて混乱します。本来、敬語は、使い方が正しければいろいろなことが自然に分かるものなのですけれどねぇ~┐( ̄д ̄)г。
 「息子さんは今、大きな窮地にいるんですよ」「会社を追われた孤独にうまく取り入られたのかもしれません」「自分の意見が押し通せなかったのも」も神狩のセリフ。何だか惜しい感じですね。「大変な窮地に立たされているんですよ」もしくは「大変な窮地に陥っているんですよ」、「うまく付け入られたのかもしれません」もしくは「うまく付け込まれたのかもしれません」、「自分の意見を押し通せなかったのも」でしょ。
 「父( ̄_)」と繰り返す岡崎大樹役の中村俊介、幼稚な感じがしますよ。このごろ若い人はみんな「父( ̄_)」と発音しますが、すっごく気持ち悪い。戸田恵梨香の「危機( ̄_)」も気になります。最終回では3回「危機」と言いましたが、3回とも( ̄_)なのですから、完全に「危機」は( ̄_)だと思っていますよ( ̄д ̄)! NHKの武内陶子アナも「危機( ̄_)」だよ( ̄д ̄)!
 これって、NHKの伊東敏恵アナがスーパースプレッダーなのではないでしょうか。「父( ̄_)」だけではなく「危機( ̄_)」もそうですし、「生きているような」の「き」がおかしい、「ふ」が強すぎて「布教(ふっきょー)」「深い(ふうかい)」「付近( ̄_ ふっきん)」と聞こえる、「地中海(ちっちゅーかい)」「飛翔(ひっしょー)」「分け隔てなく( ̄__ ̄ ̄ ̄_)」など、伊東アナは“変な発音の見本帳”ですから。
 それから、「息子に裏切られて、解任させられた父親に、今更助けてほしいだと?」と言ったのは岡崎竜太郎役の小野武彦。出ましたね、「させ」症候群の症状ですが、これは「解任された父親に」です。「これはひとえに現経営陣の無能に起因するもので」と言ったのは片山収造役の手塚とおるですが、「無能さに」と言うのが自然な日本語です。それにしても、戸田恵梨香はお辞儀が下手です。神狩に背中の丸まったお辞儀は合いません。そのうえ、滑舌の悪いことといったらもぉ┐( ̄д ̄)г。
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「競争力が大変だって」って?

2015-10-18 10:47:09 | 言葉についてあれこれ
                                  はしゃぎすぎ~

 「とくダネ!」で「車を盗難したうえに」と言ったのは山中章子アナ。「盗難」だから車を盗まれたのかと思ったら、違いました。無免許なのに車を盗んで運転し、走行中に突然車から降り、車だけが暴走して事故を起こしたという話。「盗んだ」を「盗難した」と言ったのですからあきれます。「しっかりだしが取れているのにすごくおいしい」と言った福留アナ、どういう意味? 「スープを40℃以上で温めると」と言った高橋真麻、何かと思えば「スープを40℃以上に温める」でした。
 キー局のアナウンサーでさえこうですから、ローカルのアナウンサーなんて、いつもちゃんとしゃべっていると思えるような人は少ないですよ。前回、敬語のいろはを全く分かっていない稲垣真一アナ(石川テレビ)のことを書きましたが、私が石川県に住んでいるから石川県のアナウンサーのことが具体的に分かるわけで、福井でも、富山でも、日本全国どこでも似たようなものでしょう。
 北陸朝日放送の「土曜はドキドキ」を見ていたら、恩田琴江アナが軽井沢のあちらこちらを長野朝日放送の青池玲奈アナと一緒にリポートしていたのですが、青池アナが「ジョン・レノンがモカソフトを食べ歩いた」と言ったのですよ。そんなにあっちこっちにモカソフトがあるのか? ジョン・レノンは幾つ食べたんだ? 違いますよね、「ジョン・レノンがモカソフトを食べながら歩いた」ですよね。
 別の日、県外のお店で食レポ、がんもどきの断面を映して「具がぎっしり詰まったがんもどき」と言ったのは恩田琴江アナ。でも、そのときしっかり画面を見ていた私はもやもや~。だって、具が少ないがんもだなぁと思ったのですから。透き間がないので「ぎっしり」と言った気持ちは分かるのですが、周りの豆腐がみっちり詰まって透き間がなく、真ん中に具がちょっぴり。な~んか損した気分。
 「初めて日本で観測された現象」は「ひるおび!」で聞いたナレーション。これだと、全世界で初めて、日本で観測されたと聞こえますが、実は、海外ではすでに観測されている現象であり、日本で観測されたのは初めてなので認知度が低いという話でした。それなら「日本では初めて観測された現象」と言ってください。
 殺人事件の報道で、朝は「容疑者から金を借りていた」だったのが、夕方には「加害男性に金を貸していた」に変わったことがありますが、被害者が残したメモに原因があったようです。「貸した金」を「借金」と書いてあったのか、報道関係者が「借金の額」と言ってしまったのか、それは不明ですが、「借金を返してもらえるか」のように、「貸す」と「借りる」の区別さえ怪しくなっています。
 「煮詰まる」も要注意で、「煮詰まったよぉぉぉ<( ̄д ̄)>」なら「行き詰まった」の意味ですね、「煮詰まる」とは正反対です。「彼の判断力が空白の57分を作った」というナレーションが流れたときは、実際は「彼の誤った判断が空白の57分を作った」という状況でした。変な「~力」のせいで意味が逆転しています。パワステがだめになってハンドルが重くなるなら「操作力が増大する」ではなく「操作に要する力が増大する」です。何でも「~力」と言ってしまうのは非常に危険なことなのですよ。
 小倉智昭が言った「○選手にも影響力を与えたと思うんですが」は、○選手の影響力が増大したという意味になりますが、小倉智昭は、別の選手が○選手に影響を及ぼしたと言っているつもりです。つい最近も、TPPの話をしているときに「農家が、競争力が大変だって・・・」と言った小倉智昭、( ̄д ̄)ダラケ! です。農産物が外国から安く入ってきたら厳しい価格競争になるから農家は大変だ、と言っているつもりなのですよ。どうしても「~力」と言っちゃうようで┐( ̄д ̄)г。
 正しい日本語なら多くを語らなくてもちゃんと伝わりますが、もはや“伝わらない日本語”だらけ。誤解が生じても、誤解していること、誤解されていることに気づくこともできないでしょうね。そんなだから、言葉少なに語って察してもらう、なぁんていう芸当は今の日本人にはできませんよ。だって、その言葉が的確じゃないから。的確どころか、間違っているから。言葉が少し違ったら意味が大きく変わるのに、そういうことをちゃんと気にしている人は少ないから。
 この数か月、珍事がいろいろあって、日本人同士でも日本語で共通の認識を持つことが難しくなってきたことを実感しています。だから、私は、気がつくといつも、伝えなければならないことをどういう言い方で伝えるか、ああでもないこうでもないと頭の中でシミュレーションしています。ですから、ずーっと気が休まりません。気が休まるのはハムやんを見ているときだけ(⌒・⌒)ムフフ。
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「お求めできます」って言う?

2015-10-11 10:47:36 | めちゃくちゃな敬語
                                  切り株ですね

 前回の続きです。石川テレビ「リフレッシュ」の「クイズ にほんごいろは」というコーナーで、「お求めやすい」と「お求めになりやすい」のどちらが正しいかという問題が出たのですが、もちろん正解は「お求めになりやすい」です。視聴者から寄せられた回答は3:7ぐらいでしたから、通販CMとアナウンサーが繰り返し言って「お求めやすい」を広めている中で、まだ7割の人が「お求めになりやすい」が正しいと認識していると知り、少しほっとしました。
 でも、その後の稲垣真一アナの発言が衝撃的でした。「『お求めになりやすい』が正しいと知っているならそう言えばいいけど、すでに8割ぐらいの人は『お求めやすい』と言ってるんだから『お求めやすい』でいいんじゃないか、そうやって変化していくんじゃないか」と言ったのです。視聴者の7割が「お求めになりやすい」だと回答しているのに、8割って何ですか?
 そっか、テレビ金沢の塚田アナも「お求めやすい価格で」ですし、何よりも稲垣アナ自身が「お求めやすくなる」ですからね。稲垣アナの言う「8割」は、自分の周囲の人たち、同業者、放送業界の中での話ですよね。「お求めになりやすい」という正しい言い方があるなんて、「クイズ にほんごいろは」でそれを出題してきた誰かに言われて初めて知ったのではないでしょうか。ほかの出演者もそうですよね!?
 それにしても便利な言葉ですね、“変化”って。うまく自分自身の誤りをごまかした稲垣アナですが、「お求めやすい」でいいとまで言ってしまいましたから、今後も「お求めやすい」で通すのでしょうか。せっかく「お求めになりやすい」を知ったのに、業界が「お求めやすい」を広めているのだから直す気はないということでしょうか。それとも、ひょっとして、数え切れないくらい「お求めやすい」と言ってきた人に気を遣った?
 テレビに出てしゃべるのが仕事なのに敬語の“いろは”を誰も知らないというのはかなり恥ずかしいですよ。大体、稲垣アナが「ご案内していただきますのは○○さんです」だの「14人のかたがお越しいただきました」だの言っているから後輩がみんな同じになってしまうのですよ。指導するどころか、ぼろぼろの日本語を黙って見過ごす、そもそも気づかない、いけませんねぇ、いけませんよ( ̄_ ̄)!
 “いろは”といえば、画面に出た「シュミレーション スタート」という文字、それは「シミュレーション」ですよ。「修行」というテロップ、パン屋だから「修業」ですよ。写真の「1件目のお店」というキャプション、書いたのは竹内彩華アナですよね、それは「1軒目のお店」ですよ。出演者、スタッフ、間違いだらけでも、誰も気づかなければ誰も恥ずかしくないですよね(⌒~⌒)。
 それから、北陸朝日放送の恩田琴江アナが「お求めできます」と言いましたが、これも“変化”なら、稲垣アナもそのうち「お求めできます」と言うのでしょう。自分で変えておいて“変化”だと言うのですから恐ろしいスーパースプレッダーです。石川テレビに限らず、アナウンサーの日本語は正しいなんて思ったら大間違い。敬語もぼろぼろで、まともな敬語を話せるアナウンサーなんてほとんどいませんから。
 以前、稲垣アナが、「ご結婚される」は×で「ご結婚なさる」が○、「~される」なら頭の「ご」を取って「結婚される」だ、なぜなら、「ご~される」は謙譲語、「ご~なさる」は尊敬語だから、と説明したと書きましたが、語れば語るほど稲垣アナは敬語を知らないということが明確になるわけで、幾つ墓穴を掘ったら気が済むのですかね。その墓穴に自分がはまるだけなら笑って見ていられるのですが、誤りをさらに広めるという悪影響は相当なものですから、困ったものです。
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「お求めやすい」でいいって?

2015-10-04 09:35:21 | めちゃくちゃな敬語
                                  次は・・・

 「お客さんが一人も拍手してもらえなくなるまで(歌い続ける)」と言ったのは伊東ゆかりですが、どうしちゃったのですかね、いい年して「お客さんが一人も拍手してくださらなくなるまで」と言えないなんて。「~てくれる」「~てくださる」はそんなに嫌ですか? 「~てもらう」「~ていただく」でないとだめですか? だったら「お客さんに拍手してもらえなくなるまで」ですよ、「お客さんに」ですよ!
 「いろいろなお客様がご購入いただいている」と一般の人が言ったとき、「色々なお客さまにご購入いただいている」というテロップが出たのを見たことがあります。羽鳥慎一をはじめとして多くのアナウンサーが「~が~いただいて」という誤った言い方をするようになり、それがまん延してしまいましたから、こういうのは珍しいですよ。
 「報道STATION SUNDAY」で、天津爆発事故の責任を問われて当局に拘束された人たちの写真を示し、「ご覧のかたたち、人たちが」と辛くも言い直した長野智子。卑劣な犯罪者まで「かた」と言ってしまう( ̄д ̄)ダラケ! が猛烈に増える中、その影響を受けつつ何とか区別できたのはいいですね、な~んて褒めませんよ! キャスターが( ̄д ̄)ダラケ! の影響なんか受けないでよ!
 長野智子は、昨今の例に漏れず「ご説明してくださったんで」と言いますし、この言い方に疑問など微塵も感じていないようですからいけません。それに、「竜巻(_ ̄__)」と何度も言ったのが気になります。「豆まき(_ ̄__)」みたいに聞こえますよ、豆まきが発生、豆まきが通過、豆まきの爪痕・・・┐( ̄д ̄)г。
 テレ朝の午後1時40分からのニュースで女子アナが「一人一人に話し掛けられていました」と言ったのですが、どういう状況か想像してみてください。皇族の一員が公務で大勢の人と会話をなさっている場面ですが、話し掛けられて答えていた、というのとは違います。こういうときぐらい「一人一人に話し掛けていらっしゃいました」と言えばいいのに、そういう言い方をしてはいけないというルールでもあるのか?
 「直撃LIVE グッディ!」のナレーションも「うれしそうな表情を見せられていました」でしたが、一体なぜ「見せていらっしゃいました」と言わないのでしょうか。そういえば、ずっと以前に聞いたNHK「ニュースウォッチ9」のナレーションも「(天皇陛下が)励まされていました」「(天皇陛下が)話し掛けられていました」でしたが、「励ましていらっしゃいました」「話し掛けていらっしゃいました」と言えばいいのに・・・、何か不都合なことでもあるのですかね?
 そもそも、「話し掛けていました」なら、「話し掛けて」を「話し掛けられて」にするのではなく、後ろにくっついている補助動詞の「いました」を「いらっしゃいました」にするのが基本。「見せていました」なら、「見せて」を「見せられて」にするのではなく、「いました」を「いらっしゃいました」にして「見せていらっしゃいました」にすればいいのです。簡単でしょう? ひょっとして、それを分かっていないだけ? そんなことも知らないで電波を使うなぁぁぁo(`д´)o!
 石川テレビ「リフレッシュ」(9月30日放送)の「クイズ にほんごいろは」というコーナーで「お求めやすい」と「お求めになりやすい」のどちらが正しいかという問題が出たのですが、稲垣真一アナは、正解は「お求めになりやすい」だと言いつつ、すっかり広まっているから「お求めやすい」でもいいんじゃないか、そうやって変化していくんじゃないかと言っていました。
 でもね、私は知っていますよ、稲垣アナ自身、ふだん「お求めやすくなる」なんて言っていますよね。「お求めになりやすい」という正しい言い方があるなんて知らなくて、これで初めて知ったのではないですか? 誤りを広めたのは放送業界の人たちですよ、稲垣アナ自身ですよ、自分で変えておいて、それを“変化”だからいいんだぁ~なんて、ふざけるなぁぁぁo(`д´)o!
 「お求めやすい」は、通販CMで繰り返し流され、しまいにはアナウンサーまでもが「お求めやすい」なんて言う始末、だから広まったのです。自分の不勉強を棚に上げて“変化”だなんて簡単に言わないで! 「求めやすい」「出しやすい」「書きやすい」というのは複合形容詞ですが、「お出しやすい」「お書きやすい」なんて言わないですよね。「お求めやすい」はがっちり広めちゃったから、今更、自分たちも直すことなんかできないから、変化したことにしてしまえってかぁぁぁo(`д´)o!
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