hiroshi hara: saxophoniste

日々の思考の断片

二次予選後記

2008-11-19 08:41:35 | sax_管打楽器コンクール
昨日の二次予選では参加者それぞれ渾身の演奏で、とても濃い一日だった。

コンクール審査後記の決まり文句として「どの演奏も甲乙つけ難い」という、まさにこの言葉があてはまるものだった。

特に現代作品においては実にシビアに聴かざるを得ず、審査員側としても神経の磨り減る思いだった。
フラジオ奏法も含め、本来、音響的効果や音の素材としての拡張奏法(特殊奏法、現代奏法)は、新しい音楽や演奏への試みとして、または演奏会の一興として味わうべきものととらえていたが、それがコンクールという場面においては技術を競うための奏法という側面も含み、その仕上がりをシビアに聴かざるを得ない状況に複雑な思いを抱いた。

「技術」とは奏者のイメージするあらゆる情報を楽器へ伝える術であり、拡張奏法の仕上がりだけが技術ではないということを改めて記しておきたい。
それは参加者に対しては拡張奏法の有無、仕上がりが審査に大きく影響するという事ではなく、あくまでトータルに演奏をとらえていただきたいということでもあり、また私自身を戒める為でもある。

個人的には課題曲のバッハに対してもっと突っ込んだ解釈や演奏を期待していたが、速度やフレーズ、装飾音の入れ方や場所が大同小異で、それがまた審査を難しくさせた要因でもあった。
とは言え、コンクールという場面ては参加者も大胆な表現を敬遠するだろうし、こちら側も校訂譜を指定しているため致し方ないことでもある。
古典的作品への扱い方の難しさもここに来て改めて痛感するものだった。

一夜明けて今夜に本選が行われ、通過者の方々は連戦連投の強行軍になるが、それぞれ力の出し切れることをお祈り申し上げる次第だ。

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