hiroshi hara: saxophoniste

日々の思考の断片

2分

2007-02-01 21:38:52 | 日常
数年前、パリのバンドレンでジャン=ルイ・ルネ氏(バンドレン技術者、クラリネット奏者)からマウスピースやリガチャー、リードについてのレクチャーを受けたことがある。
新しいリードは長時間使用しないようにと言われ、「2分くらい吹いたら交換してください。」とのことだった。

このレクチャーは私にとって大変勉強になるものだったが、ただフランス人の言う「2分(deux minutes-ドゥーミニュット)」を額面どおり受け止めてはいけない。

フランス人と一緒にいて、「少し待ってて、2分で戻るから。」などと言われる場面がよくあるのだが、それは決まって「2分」なのだ。
それは、厳密に2分間と言うことでなく、「ほんの少しの時間」という意味で使っているに過ぎないのだ。

なぜ「2分」なのかは定かではないが、おそらく言いやすいからなのだと思う。
フランス人とフランス語は韻律に非常に敏感で、それほど差し支えない嘘をついてでも、発しやすい、流れるような語彙を選ぶようだ。
リエゾンやアンシェヌマンというもの、言葉を繋ぎ、発しやすくしたものであると思うし、シャンソンをはじめ、フランス語そのものが流れるように聴こえるのはそのためなのだ。

ちなみに、もう少し時間がかかりそうなときは「10分(dix minutes-ディーミニュット)」と言っていた。

最新の画像もっと見る