虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

憲法記念日の新聞

2012-05-03 | 新聞・テレビから
朝日が憲法記念日に、憲法9条については触れなくなったのは何年前からだろうか。もう5年くらいたつのではなかろうか。

今日の1面、例年の如く、憲法についての世論調査。その世論調査からトップにもってきた見出しは、「一票の格差」違憲状態のまま」「総選挙すべきでない」53パーセントが見出しだ。「一票の格差」が違憲状態のまま、総選挙することについて、「するべきでない」が53%だったというわけ。9条改正反対は55%なのに、こちらは結果を書くだけ。

1面の横の座標軸にも論説主幹が「憲法記念日に問う」として、この「1票の格差」だけを問題にとりあげている。見出しは「投票ボイコットさせる気か」。

社説はどうか。「憲法記念日に われらの子孫のために」という見出し。
これを書いた人は署名し、名前を公表してほしいと思う。わたしが社長なら即刻ペンをとりあげる。9条どころか憲法とはなんの関係もない駄文だ。怒りさえ感じた。わたしがおおげさだと思うなら、いちど、読んでみてほしい。記者失格。

憲法について書けないのなら黙っている方がまだましだ。

会社や世間の会議では、あまり核心をついた話、ほんとうのところをズバッと発言するのは、空気を乱す田舎者、野暮天、アホとみなされ、「それをいってはおしまいよ」とみんなから異端視されることもある。利口者は、その点心得たもので、話をすりかえ、ぼかし、核心をそらして、弁舌を弄する。しかし、言論人としてはゆるされない。

朝日だけか、と思って、ネットで五大新聞を見てみた。読売、日経、産経は憲法改正を主張しているのでまあ別にしても、毎日も東京も9条についてはふれていない。

憲法9条をなし崩しているのは、今、進められている日米同盟の深化というやつで、憲法9条について語ることはこの日米同盟の是非にふれることになる。だから、きっとタブーなのだろう。しかし、言論機関としては、国民への責任を放棄したに等しい。

今日の朝日には、全面を使った意見広告も出ていた。意見広告運動という市民運動で、毎年、憲法記念日に出しているそうだ。「いのち 殺すな・殺されるな」の大文字。
9つの訴えが箇条書きに出ていたが、大新聞をはじめ、大メデイアは、この中のたった一つでさえも、ズバリと言い切ることはできない。

それとも、ズバリと核心を言うのは、異端で、野暮天で馬鹿なのだろうか。
馬鹿が正しい、という時代もある。

ついでに書く。
朝、テレビで昨日、瀬戸内寂聴が経産省前で原発再稼働に抗議してハンガーストライキに入ったという映像を見た。ええ、そんなことがあったのか、新聞には出てないぞ、と思い、もう一度新聞を見てみた。あった、あった、小さくて見つけられないほどの、申し訳程度の記事だ。瀬戸内寂聴らは(澤地久枝や鎌田慧らも参加したそうだ)、テレビや新聞でもっと報道してほしいと思ったはずだ(そのために事を起こしたはず)。この朝日の冷たい報道ぶりはどうだ!大メデイアは頼みにならぬ。