虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

68歳まで生きられるか?年金支給

2011-10-13 | 新聞・テレビから
昨日の朝日に、厚生労働省が、年金支給を68歳から70歳にひきあげる検討を始めた、という記事が出ていた。

ただ、年金の財源がないという理由だけで、あの消えた年金問題も未解決なのに、まったくもって知恵も工夫もない愚策。どんな有識者たちが、こんな案を出したか、その顔が見たい!

平均寿命が80歳を超えたとはいえ、68歳まで元気に働ける人がどれだけいるというのか(わたしは自信がない)。雇う側の問題ではなく、60歳を過ぎた人は元気そうに見えても、体力は落ち、どこかに体の異常(病い)を持っているはずだ。高い治療代を払って病院に通う人たちが60歳以降は圧倒的に多いのだ。

年金の支給年齢が68歳に引き上げられたら、30年年金を払い続けても、年金を支給してもらえない人(死んでしまう人)の数が倍増する。だれが年金を払う気になるだろう。わたしだったら、68歳まで生きられないと思って、年金はあきらめるだろう。

厚生労働省とは、労働者の暮らしを守る部門のはずだ。老い先短い老人の暮らしを考えるのも仕事だ。青壮年期に家族や社会のために一生懸命に働き、老年期に、残された人生をささやかながらも安心して暮らす。それが年金だ。人生のゴールをある程度、保障されているからこそ、若者も年金を支払う。年金は老人だけの問題ではなく、長い人生をトータルにとらえた制度だったはずだ。60歳を過ぎたら、林住期といわれるように、好きな道に生き、最後の人生を楽しむ、そんな夢はぜいたくなのか。いや、厚生労働省の頭には年金の財源確保だけで、老人のことなんか考えたこともないにちがいない。

朝日の今日の社説。「年金支給年齢 引き上げ論議は丁寧に」。

「高齢化・少子化が進むなか、なるべく多くの人が働き、社会を支えるようになるのは望ましい」と賛成の立場だ。

「だが、高齢者が働ける場を確保できないと、生活が困る人を増やすことになりかねない」。
「なりかねない」ではなく、「なる」となぜ書かないのか!

「ただ、受け取る期間が短くなれば、それだけ損をするという単純な話ではない。引き上げによって、年金財政が楽になる分、現役世代が将来、受け取る年金が増える可能性も出てくる」

受け取る期間が数年だったら、損にきまっている(死んだらもらえない)。そんな単純な話ではない、といいながら、現役世代は得する可能性もある、などと無責任なことをいっている。

朝日は、(朝日だけではないのかもしれないが)、年金の世代間の不公平をことさら強調して、年金額を下げたり、年金支給の引き上げの理由にしているように見える。そして、こう書く。

「引き上げで影響を受ける世代の不満を和らげるためにも、すでに支払われている年金について、物価や賃金の下落に応じて支給額を引き下げることが先決だ」。

ついに、新聞社がこうまで言うか。年金支給額を下げろ、と。

朝日記者は、そりゃ、高額な退職金、企業年金はあるだろうし、定年で会社をやめても、どこかの大学に天下りの道はありで、消費税、所得税があがろうが、年金がなくなろうが、生活の困難はないのだろうけど、いったい、月十万ちょっとでで生活している年金生活者が目に見えているのだろうか?