虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

見知らぬわが町(大牟田)

2005-12-11 | 読書
昨日の続きを少し。

著者の中川雅子さんは、南新開の炭鉱のヤグラを見て、何だろうと探索をはじめるのですが、そのうち、興味は、囚人墓地、朝鮮人中国人等の強制連行、与論島からの移住者などにうつります。写真もはじめはヤグラが多いけど、そのうち、墓や碑がふえてくる。

探索を始めたころは、三池闘争のことは知らなかったようで、この本では、三池闘争については何も書かれていません。あれから10年たっているのですから、今はきっと三池闘争の探索を始めているかもしれません。この南新開というところは、会社側と組合とのはげしい「海戦」もおこなわれた場所です。

いくつか本の中でおもしろかったところを紹介。

囚人墓地というか番号だけが記入された無縁墓に家から持ってきたカンビールをかけてあげ、父親の引き出しから持ってきたハイライトをおいてあげたりしています。囚人たちに禁止されていたのが酒とタバコと女だったということを知ったからです。

また、ある囚人墓地の碑を求めて薄暗い藪の中を分け入って進むのですが、そのとき、2羽の黒アゲハが現れ、驚き、あわて、目的の碑の写真がピンボケで写ってたりするのもおもしろい。この黒アゲハはその後、探索していく先々で現れ、作者に不思議な感慨を抱かせています。

与論島も出てくる。与論島といえば、1度はいってみたい観光地としてしか頭になかったけど、三池炭鉱の歴史では逸すべからざる島なんですね。与論島から炭鉱の町に移住してきた人々は最も過酷な労働を負わされ、差別されます。

こんなことを高校生が調べ、考える。
自分の高校生時代に比べるとえらい違いだ!スゴイ!

大牟田、荒尾、三池の廃坑、行ってみたいなあ。しかし、遠すぎるなあ。