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石窯の扉も完成し、これで損長鉄工所の任務はおしまい、と思っていたところへ、「誰が石窯を作っとるのか思うとったら、あんたか」とやって来たのは、またもや新たなる船頭さん!
「これは耐火煉瓦ぢゃろ、外側に壁土を塗らんけん。最初に建築用パーライトを混ぜた土を塗って、その上にラスを巻いたら、また土を塗って、中層には藁を混ぜた土を塗る。それが湿っている間に水硬性のポートランドセメントを塗ったら耐候性もしょわない」
なんと、今までのどの船頭さんより理路整然としていて話が通じやすい。それもそのはず、一線を退いたとはいえ、ボランティアで左官をやっている爺ちゃんなのだ。
ラスト船長の進言で、うちのメンバーが土壁掘りに山へと入ったが、その後どうなったか杳として行方が知れない。今は亡き地元の陶芸家も使ったと聞く赤土を探しに行ったはずなので、「陶芸に使える土だったら、ぼくにも分けて下さいね」とお願いしておいた。もし彼らが戻らなかったら陶芸用の粘土は……いやそういうことじゃなく……窯が完成しないじゃないか。