らんかみち

童話から老話まで

サプリの力を疑うわけじゃないけど

2010年06月28日 | 酒、食
 ウコンの力ねぇ……よほど自分の体調に敏感な人でないと効能を断言するのは難しいと思います。飲まないよりは飲んだ方が良いのかも知れない、いやきっと良いはずだ、絶対に効くはずだと、徳川の埋蔵金発掘に執念を燃やすみたいな揺るぎない意思がぼくには無いので、効いたろうと言われたら効きましたというし、効かないだろうと言われたら、効きませんと答えるしかないですね。
 
 ほとんどプラセボ効果のようなものかと考えて、だったら効くんじゃないか! と気がつきました。プラセボってのは偽薬といって、薬ではない乳糖とかデンプンを、薬であると偽って患者に処方するものです。これを作って患者に投与する現場を目撃したことがありますが、「頭が痛いから薬をくれ」言うてきたお婆ちゃんが飲むと、たちどころに回復するんです。まるでガマの油みたいに何にでも効く魔法の薬なんです。
 
 サプリが苦手なわけを思い出すには、ぼくが母の体を気遣えるような年頃を迎えたころにさかのぼって考える必要があるでしょう。ある日、村の集会所に紳士が数人来られておばちゃんたちを集め、健康について講釈をたれたことがありました。話が終わると、おばちゃんたちの手には粉ミルクの缶みたいなものが握られていて、母もその缶に詰められた粉を水に溶いて飲んでいました。
 きっと体に良いものなのだろうと、ぼくも一口飲んでみたんですが、大豆の粉以上の印象を持てなかったのです。初めのうちは母も不味そうに飲んでましたが、いつの間にやら缶の蓋が開くことは無くなってしまいました。
 
 大人になって大豆由来のプロテインを買って飲んだとき、いにしえの記憶が瞬時によみがえり、母の買わされたものの正体が分かりました。詐欺ではなかったにしても、母の心にはだまされた思いが沈殿していたのであろうと子供心に感じていましたから、二代にわたってだまされたおめでたい母子という事実に愕然となったものです。プロテインなんて、アスリートにしか必要のないものなんです。
 
 さて、おめでたいのは母子だけでなく、父もまたクロレラを大量に買い込んでせっせと飲んでおりましたが、「ちーとも効かん」言うて販売元に抗議電話をかけたりしているのを見たことがあります。今思えば、クロレラはプリン体の含有率が半端ではなく、尿酸値が高い人はビール酵母などと同じで摂取しちゃいかんのです。
 もひとつおめでたいのは兄で、ありとあらゆるサプリに手を出し、もちろんウコンの力も愛飲しているでしょう。
 上の姉はもっとプリミティブなものを愛用し、「霊の力」もあわせ、ヒーリングだかリーディングだかを目指しているようです。
 
 こういう一家なものだから下の姉とぼくの二人はサプリの類に精神的アレルギーを催すようになったのかとも疑うんですが、正しいかどうか分かりません。母はリポビタンDとグロンサンを愛飲し続けて90歳を超えたわけですから、サプリの力には一目置いているぼくですが、どうも前向きに飲めないんですよね。だからウコンの力も効いてくれないんじゃないでしょうか。飯を食わないでサプリのみを食って生きる修行でもしてみようかと考えたりしております。