中国の三江の少数民族の老人である。編み笠のような帽子を被り、口にはパイプたばこをくわえて悠々たるものだ。今はどちらかいうと、若者、子ども中心の社会かもしれない。経験よりも、派手さ、変わり身、そして勝ち馬に乗れの時代である。老いゆくもの、負けゆく者には厳しい。老害は困るが、老人がゆったりと、そして毅然として暮らす社会が健全だと思う。
金沢のひがし茶屋街に行く。近くでうろうろしていたら、おじいさんが「わしも傍まで行くから付いて来なさい」と案内してくれた。「どこから来たのかな?」「兵庫県の宝塚です」「そうか。どこからでも行けるけど、ここの路地がいい。このあたりも昔の名残の家も減ってきてしもうてなあ」どうやらわざわざ案内してくれているようだった。ひがし茶屋街に着いたら「それじゃあな」とさっさと歩いて行った。シャイなおじいさんだった。