Asian Railway Plaza

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PNR(フィリピン国鉄)近況報告-2016年5月

2016年07月03日 00時19分59秒 | フィリピン
既に皆さんもご存知のようにバングラディシュの首都であるダッカのレストランで襲撃事件があったのですが、このニュースでJICA、交通計画、コンサルタントという単語が出てきたのでもしやという思いがあったのものの、まさか私が以前勤めていた会社の社員が巻き込まれるとは思ってもいませんでした。
この会社では私は主に駅前広場の計画や駐車場整備計画など国内の業務を中心に携わっており、その後、海外の交通計画や都市計画の仕事を任されていたかもしれませんが、海外では英語は仕事上必須で、私は英語が最も不得意で、学校で学んできた専門分野は地理であったためか、結局、私の能力に合わないと感じて約4年間勤めて辞めてしまいました。
もし、私に交通計画や都市計画の仕事に携わる能力があり、今でもその仕事を続けていたならば、この事件に巻き込まれていたかもしれませんが、昨夜の官房長官の発表ではコンサルタント業務に携わる日本人7人が亡くなられたと述べており、これらの方々は国の発展の為に尽力を注いできたにも関わらず、理不尽かつ無差別に殺されることに非常に残念でなりません。
世界のいろいろな地域でテロ事件が頻発していますが、今後において平和な地域でも親日国においても、どこでも起こりうることだと認識し肝に銘じると同時にこのような悲しい事件が少しでもなくなることを願いたいものです。

ところで、昨日、5月のマニラ、ジャカルタ遠征の話題を速報版ということでお知らせしましたが、本日はフィリピン国鉄の話題をもう少し詳しく報告したいと思います。
と言っても昨日も述べたようにジャカルタでの疲れを引きずってしまい、フィリピン国鉄の幹部の方々も外で会議とのことで全くお会いすることもできず、現状と今後の予定についてはわかりませんが、とりあえず、わかる範囲の中で報告をさせていただきたいと思います。

昨日の報告の中では203系は冷房を使用していないと述べましたが、先程、フィリピン国鉄に携わる方に聞いてみたところ、冷房は使用されているものの、どの車両も冷たい風が生温い風になっているようで、どうりで私が車内を移動した時に冷たい部分と生温い部分があり車内でも温度差があることを感じておりました。なぜ、このような現象を起こしているのかわかりませんが、これではRotemのDMUのほうが今や冷房の効きが良いようで、せっかくのパワーのあるAU75Gの能力が発揮できていません。


上の写真はDL+203系5連の列車ですが、España駅ではホーム直近にEspaña Blvdの踏切があり、下の写真のとおり列車の停車時においては列車のお尻が通りの一部を塞いでしまうため、二輪車はうまくすり抜けて踏切を通過できるものの、乗用車やバス、ジープニーなどは待たされるため、一時的に交通渋滞の元凶となっています。もう少し停車する位置やホームの設置位置を十分検討することが望まれますが、昨日も報告しましたようにBuendia(Gil Puyat)駅でも同じことが言え、現在、Buendia Ave.の南側にあるDela Rosa St.の踏切の南側に新ホームを設置する工事が実施されているようです。


韓国RotemのDMUも当初3両編成が6本あったものの、現在、使用できるのは2本のみのようで、残りの故障中の1本は整備して復活することが予定されているようですが、稼働状況はよくないようです。
また、203系についても故障が頻発するようになり、8編成あるうちの3編成はどうも故障中のようで、Nagaへ回送された03編成4両編成(Tc5 M121 M'120 M10)についても故障中の1編成ということで、結局、現在ではNagaに留置されたまま使用されていないようです。
ついでにBicol地方のCommuter列車について述べますと、Nagaに配置されているDL3両のうち2両も故障中とのことで、実質1両のDLしか使用できないのですが、Sipocot〜Naga間とNaga〜Legazpi間の列車は別々に運行されていることから、Naga〜Legazpi間を休止し、Sipocot〜Naga間のみDL+キハ350という編成で運行されているようです。
この他、キハ350の3番目の編成についてはTutubanもしくはCalaoocan工場に留置されているようですが、その一部のパーツがキハ59こがねに移植されたようで、その編成については使用することは不可能なのかもしれません。


ここでAlabang駅の話題に移りますが、Alabang駅のプラットホーム延伸工事が終了し、この駅の警備員の話としては、現在、駅横の大型商業施設のStar Mallが資金提供の元、商業施設からプラットホームまでの屋根の設置と待合室の整備が実施されているようです。


切符売場についても移設するものと思われ、暑い中、乗客は切符を買うため待たされていますが、クーラーの効いた待合室の中に切符売場が設置され、涼しい待合室の中で切符が買えるようになるのかもしれません。


Aalabang駅ホームから南側のCalamba方面を眺めてみると写真のとおり複線の用地が確保されているのですが、AlabangからTutuban寄りの隣駅であるSucatから相変わらず単線区間となっており、複線化工事は頓挫したままとなっていいます。事業としては韓国の政府開発援助の元に韓国Rotem製のDMU18両の車両投入がフェーズ1で、その後に続く15両の車両投入がフェーズ2で実施され、Sucat〜Alabang間の複線化工事がフェーズ1、Aalabang〜Calamba間の複線化もフェーズ2で整備されるものと思われていましたが、その事業がいまだに実施されていないことから、2020年頃整備予定の官民連携事業(PPP)の中で整備されるものと思われます。ただ、先日就任したばかりのDuterte新大統領が鉄道を含めたインフラ整備に重点を置いた政策、事業が実施されるのか甚だ疑問であるため、フィリピン国鉄の再建には遠い道のりしかないのかもしれません。


Alabang駅は1面1線と機回線しかありませんが、この機回線にもホームがあるとある程度効率的な運用が可能となり、Sucat〜Alabang間だけでも複線化されると大幅な改善が見込まれるのですが、これさえも難しいのかもしれません。


最後に私の家内や子供が暮らすSta. Rosaにはフィリピン国鉄の駅が家内の自宅から歩いて約20分のところにあります。
フィリピン国鉄に今でも列車が走っていれば必ず利用するはずなのですが、現在は昨年のレール略奪による脱線事故により、Alabangより南側の区間では運転が再開されておらずバスでマニラまで出るしかありません。
駅舎自体は綺麗なままになっており、警備員が24時間常駐しているのですが、なぜ常駐しているのですかと尋ねると、駅舎の施設であるガラスや電球などを盗むやつがいるとのことで、そのために24時間警備しないといけないとのことです。
Alabang~Calamba間の運転再開は朝夕の1往復を近日中に予定しているとは聞いていますが、たった1往復では勿体ないし、せめて1時間に1本は走らせてほしいものです。


駅の南側には旧国道の踏切があり、さらにその南側にはCalamba方面に向かって行くレールの上を走るスケーターがあるのですが、このスケーターはスペシャルで貸し切れば可能な限りどこへでも行くのですが、通常はせいぜい隣駅のMamatidあたりまでということです。2年ぐらい前にCalamba駅からSan Cristobal橋梁まで、このスケーターに乗って問題のこの橋梁を見に行ったことがありますが、ある程度郊外ですと風を受けて走りますので、少しは涼しさを感じて心地よいかもしれません。