Asian Railway Plaza

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Alabang~Calamba間、コミューター化工事進捗状況

2013年09月07日 22時27分54秒 | フィリピン
昨日のPNR(フィリピン国鉄)近況報告に続き、本日はAlabang~Calamba間約28kmのコミューター化工事の様子について述べていきたいと思います。
以前、この区間については、Northrail-Southrail Linkage Project Phase 2という韓国支援の元で整備を進めていくと述べたかもしれませんが、現在、この区間ではフィリピン政府支援の元でホームの嵩上工事などが進められております。嵩上工事が進められている駅で確認ができた駅は、Muntinlupa、San Pedro、Santa Rosa、Calambaで、BiñanやCabuyao、Mamatidでも嵩上工事が進められているかもしれません。
昨日も述べましたように今年10月頃にコミュータートレインの終点が現在のAlabangからCommexの終点であるBiñanの1つ先のSanta Rosaに延長する予定で、1日の運転本数がTutuban~Santa Rosa間が20往復ということで、ラッシュ時において30分毎、データイムにおいては1時間毎の運転になるのではないかと予測されます。
Alabangはマニラ南郊の交通結節点であり、それよりも南のBiñan、Santa Rosa、Calambaなどの街からマニラ方面に多くの交通需要があるにもかかわらず、それらはSLEX(South Luzon Expressway)、National Highway(一般道路)からのバス、FX(乗合タクシー)、ジープによる輸送手段のみとなっています。PNRがAlabang~Calamba間を整備し、コミュータートレインを運行できるようになれば、バスやジープなどの利用客がPNRにシフトしてくることが予想されますが、この区間の複線化も視野に入れて整備されることが望まれます。

それではSan Pedro、Santa Rosa駅とCalamba駅周辺の状況を見て参りましたので、簡単にご紹介したいと思います。

まずはSan Pedro駅ですが、今年4月28日に報告させていただいた時点で、6月に完成すると述べましたが、現在も完全に完成していないものの屋根の取り付けが行われており、工事は最終段階を迎えている状況ではないかと思います。
ホームの長さは120mで6両が辛うじて使用できる長さであり、このあと紹介しますSanta RosaやCalambaなども120mで整備されています。また、本屋の色は水色が使用されており、これはSanta Rosa駅に倣って採用されたと関係者が述べていました。
Tutuban~Biñan間に運行されているCommexはここから南にある旧駅舎を使用しているのではないかと思いますが、コミュータートレイン運行時にはこちらの新しいホームが使用されるものと思われます。


続いてSanta Rosa駅ですが、先程のSan Pedro駅よりも完成度が高く、ほぼ完成している状況です。
この駅はNational Highwayの旧道であるRizal Blvd.に近接しており、Santa Rosaの市街地、バスやジープの交通結節点で大型商業施設のあるBalibago Complexにも近いことから、コミュータートレインの運行に伴い多くの需要が見込めるのではないかと思われます。
ちなみにここからMakatiの近くのEDSA(Mgallanes)までエアコン付きバス(SLEX、Skyway経由)を利用した場合、所要時間で約45分(約60ペソ=120円)、鉄道であれば約1時間(20ペソ=40円)になるかと思われます。スピードではバスに勝てないものの運賃では1/3という安さであるため、ある程度、RNRへ利用客がシフトされるものと思われます。


あとは機回線を設置しなければなりませんが、ホームの先にそれぞれ1箇所ずつポイントが設けられる予定で、そのポイントも駅の南側で交差するRizal Blvd,の踏切付近に置かれていました。


続いて、Santa Rosaまでのコミュータートレイン運行後、Calambaまで早い時期にコミュータートレインが延長運転されると思われますが、こちらの駅の状況も見てみたいということでCalambaまで来てみました。
Calamaba駅も先程のSan PedroやSanta Rosaなどの駅と同様にホームの嵩上工事などが実施されていました。進捗状況はCalambaは後回しになっているせいか、先程紹介した駅よりも整備が遅れていました。


駅にはPlasser & Theurer社のマルチタイタンパーや砕石貨車が留置されていました。
向こう側に見える山がMakiling山で1090mあります。


駅の北側をクロスするJP Rizal St.付近には線路沿いに市場が展開され、さらにその北側には大きな鉄道橋とその鉄道橋に沿うように歩道用の橋も設置されています。ここからは違法ではありますがスケータがSanta Rosa(Alabang)方面に頻繁に出発していました。


Calambaと言えば長年San Cristobal Bridgeが台風によって崩壊したため通れませんでしたが、その橋を見たいがためにスケーターに乗ってみることにしました。ちなみに上の写真はSan Cristobal Bridgeではありません。


スケーターにはエンジン付きのものと足で単純に漕ぐものと2種類あり、エンジン付きはご要望に応じて値段交渉でどこまでも行くとのことですが、Calambaの街の中心地に位置する3年前に開店したデパートのSMにこのあと用事がありましたので、 とりあえず、その橋まで行ってみることにしました。およそ3km走ること2つの鉄橋が見えてきました。これがSan Cristobal Bridgeということで教えてもらったのですが、複線化用にもう1つの橋も完成しているもののレールは引かれておらず、過剰な投資にも感じてしまいました。


再びこの橋からスケーターでCalambaに戻りましたが、Calamba~この橋までの料金がふっかけられるのかと思いきや片道10ペソ=約20円という良心的な値段でありました。
下の写真はSan Cristobal Bridgeを渡るスケーターで、多い時は10人ぐらい乗車できます。


ということで、Alabang~Calamba間の整備状況などをお伝えしましたが、最後にAlabang駅の計画について簡単にご紹介します。
Alabang駅は新Alabang駅、旧Alabang駅ともにありますが、全ての列車(Bicol方面への列車も含めて)は新Alabang駅の1面1線を使用し、203系については本線の脇に側線がありますので、その側線で機回しを行っています。
将来的に旧Alabang駅も併用して使用されるのか、下の図のように計画されている新Alabang駅の配線どおりとなるのか検討中ということで、今のところどのようになるのかわかりません。(この通りだと機回しできませんが)
今回はAlabang駅付近の観察は行っておりませんので、次回、時間がありましたらこの駅とSucat~Alabang間の複線化工事状況の観察を行ってみたいと思います。


次回の話題は飛行機の中からマニラの街やフィリピン最北端付近を眺めることができましたので、簡単にご紹介したいと思います。