Asian Railway Plaza

アジア各国の鉄道やJR南武線の話題などをお届けします

PNR(フィリピン国鉄)近況報告

2013年09月06日 18時57分27秒 | フィリピン
前回、フィリピンの訪問は4月で挙式を行ってきましたが、その後、5月31日に無事に健康な男の子が生まれ、できるだけ早く我が子に会うことを予定していたものの資金不足などにより渡航が遅れていましたが、台北をベースとするチャイナエアラインでLCC並みの価格のものがありましたのですぐに購入し、8月31日~9月3日にかけてフィリピンに滞在しました。
独身時代であれば好きな所へ行くことができますが、我が子もまだ3ヶ月であり、できるだけ家族水入らずの生活をすることが義務でありますので、なかなか自由な時間は取れませんが、向こうの実家もPNR(フィリピン国鉄)のSta.Rosa駅に近い所にあり、Alabang~Calamba間で進められているコミューター化工事の観察や1日だけTutubanにあるPNR本社を訪問することができましたので、簡単にご紹介させていただきたいと思います。

まずはマニラ周辺で運行されているコミュータートレインの話題から述べていきたいと思います。
現在、コミュータートレインはラッシュ時、日中ともにTutuban~Alabang間で30分毎に運行されていますが、203系に新たに発電機を搭載された車両が増備され、203系の編成数は7編成までにおよんでいます。


203系の編成表は以下のとおりで、全て4両編成です。カッコ内は現場で使用されている車両番号と思われます。
発電機の取り付け位置は基本的にAlabang寄りのTc及びT'cの前位にありますが、01編成のTc203-107は後位にあり、07編成の発電機はM203-10に容量の小さい100KVA(冷房使用は不可)が取り付けられています。
←Tutuban                    Alabang→
01 T203-9(01D)+M'202-7(01C)+M203-11(01B)+Tc203-107(01A)
02 M'202-12(02D)+M203-7(02C)+M'202-11(02B)+T'c202-4(02A)
03 T203-10(03D)+M'202-9(03C)+M203-9(03B)+Tc203-5(03D)
04 M203-14(04D)+M'202-10(04C)+M203-13(04B)+Tc203-4(04A)
05 M203-12(05D)+M'202-120(05C)+M203-121(05B)+T'c202-3(05A)
06 T203-7(06D)+M203-15(06C)+M'202-15(06B)+T'c202-3(06A)
07 T'c202-107(07D)+M203-120(07C)+M'202-8(07B)+M203-10(07A)
07編成のみ先頭車がTutuban寄りに位置し、編成内の車両の向きも逆になっています。


現在、Alabang~Calambaの駅(小さな駅は除く)でホームの嵩上工事が実施され、今年10月頃を目処にSta.Rosaまでコミュータートレインが延長運転される予定です。計画ではTutuban~Sta.Rosa間の1日の本数が20往復、Tutuban~Alabang間の本数が9往復となる予定で、Alabang~Sta.Rosa間ではラッシュ時は30分毎、日中は1時間毎の運転になるかと思われます。Sta.Rosa延長運転後は、順次Calambaまでコミュータートレインの延長運転を予定しているようですが、Calambaまでの延長運転の詳細な時期について明確にはわかりません。
また、この延長運転に伴い、車両が足りなくなることが予想されますので、新たに203系2本(編成番号08、09)をSta.Rosa延長運転時までに用意する予定であり、この2本分の車両はCaloocan工場に入場し、あとは発電機の到着を待っているようですが、発電機搭載には約1週間あれば対応できるようです。(編成08、09になる車両番号は不明)
この他、DOST(科学技術庁)の研究開発用になる予定の1編成については、将来的にPNRに戻されるように要請しているとのことです。

以上、述べましたように203系が7編成分整備され、韓国Rotem製造のDMUは全部で6編成分在籍しているものの2編成が事故によって稼働できませんので、コミュータートレインに203系が充当されることが多くなり、ほぼ6割程度は203系によって運行されています。

下の写真はTutuban駅の構内で6編成分の203系が見えますが、このような光景は今となっては当たり前のようで、以前、Tutuban~Biñan間のCommexで使用されていたボロボロ12系の姿は見ることができませんでした。


下の写真は07編成のM203-10(07A)で、ほとんどの車両は先頭車に発電機が搭載されていますが、この車両だけ中間車に発電機が搭載され、排気用の通風口が貫通扉に設置されています。


現在、PNRの203系は1編成が4両編成であるため、計10両が余る計算になります。編成を組んでいない車両は帯がエメグリのまま留置されていますが、今後、これらの車両は予備となるのか、新たな編成を組成することになるのか、それとも部品取用となるのかわかりませんが、次回の訪比の際にPNRの幹部に質問してみたいと思います。


下の写真はPaco駅で撮影したもので、頻繁に203系を見ることができ、場合によってはキハ52国鉄色とのツーショットの撮影も可能です。車両の向こうに見えるのがPaco駅の新本屋になる予定であった建物ですが、長年、建設がストップしてしまい、雨ざらし状態のままになっています。Pacoの駅前にあるキリシタン大名として知られている高山右近の銅像もきっと嘆いているに違いありません。


以上、203系について述べましたが、続いてキハ52についてご報告します。
キハ52国鉄色3両については、Tutuban~Alabang間のコミュータートレインに充当されることが度々あり、主にTutuban9:37発、14:37発の列車に充当されることが多いようです。新潟色からブルートレイン色に塗り替えられた3両は、Bicol地方のSipocot~Naga間に充当され、唯一新潟色のままであるキハ52-123は部品取用としてTutubanのヤードに留置されていました。(今回、キハ52-123は撮影しておりません)


続いて、韓国Rotem製のDMUですが、先程も述べましたように計6編成中、2編成が事故により離脱しており、通常3編成が運用に充当、1編成が予備となっています。離脱している2編成については、損傷が酷いことや相当な修繕が必要であり、この修繕にかかる費用も相当なもののようですが、費用の負担についてはDOTC(通信交通省)が来年中までに用意し、用意ができしだい修繕にかかるようです。


その他、コミューター関係では、今年中にCaloocanまで開通させる予定ですが、今回、Blumentritt~Caloocan間の保線状態がどのようになっているのか見に行く時間がありませんでしたので、次回の訪比時にでもCaloocan工場の見学、建設がストップされているNorth Railとともに確認してみたいと思っております。

次にManilaとBicol地方を結ぶ列車についてですが、昨年、Lucena付近で大雨によって発生した橋崩落によって、この区間の列車運行は依然ストップしたままであり、DOTC側はこの区間の運行再開に対して許可を下ろしていない状況が続いています。PNR側としてはいつでも運行再開ができるように準備が出来ており、Bicol Exp.で使用される14系寝台車、12系座席車はほとんどの車両がオレンジ帯にブルートレイン塗装となっています。開通の見込みについてはDOTCの判断に委ねていますので、今のところ具体的な時期についてはわかりません。


また、キハ59こがねもTutubanヤードの片隅に留置され、運行再開時にはIsarog Exp.として再び使用されるのか、昼間用の列車としてBicol方面に使用されるものと思われます。


この他、PNRと台湾の間でPNR向けに主にDL車両などの譲渡の動きがありましたが、今年5月にフィリピン最北端付近のバリンタン海峡で発生したフィリピン警備船から台湾漁船への銃撃で乗員1人が亡くなったことにより、この動きも中断されたままの状態になっています。日本からの譲渡車両についても連絡待ちという状態が続いており、具体的な動きはないようです。

最後にTutuban駅構内及び車庫を含めたヤード内の撮影ですが、必ず許可がないと撮影できなくなっておりますので、駅構内のインフォーメーション受付で許可を取得しなければなりません。(撮影許可が出るかどうかはわかりませんので、事前にPNRに連絡していただくことをお薦めします)許可なく撮影しているとすぐに警備員やPNR社員に呼び止められ、許可を必ず取得してくださいと忠告されますのでご注意いただきたいと思います。

以上、PNRの近況を簡単に報告させていただきましたが、次回はコミュータートレインが延長運転されるAlabang~Calamba間の最近の様子について報告したいと思っております。