Asian Railway Plaza

アジア各国の鉄道やJR南武線の話題などをお届けします

フィリピン国鉄新型DMUに乗車

2010年01月30日 00時06分59秒 | フィリピン
1月10日深夜に大阪からマニラ空港に到着し、11日の午前11時台の飛行機でミンダナオ島のカガヤン・デ・オロに飛ぶことになっていましたが、この間の僅かの時間を活かしてフィリピン国鉄に昨年投入された韓国Rotem車製のDMUに乗車することにしました。

睡眠時間も僅か4時間でありましたが、6時前に起床するとすぐにシャワーを浴びて出かける準備を行い、タクシーでフィリピン国鉄の駅で最も近いBuendia駅に向かいました。Buendia駅には6:25に到着し、Tutuban方面からライトを付けた列車が豆つぶながらこちらに向かっていることが確認できました。早速、駅にある時刻表で確認するとBuendia駅発Bicutan行きは6:28発となっており、ほぼ定刻どおりに運行されておりました。とりあえずBicutanまで向かってみることとし切符を購入したのですが、その運賃が僅か10ペソ(20円)でありました。
韓国Rotem車製のDMUが到着すると朝6時台という早朝にもかかわらず、かなりの乗り降りがありました。私はこの列車の最後尾の車両に乗り込むと列車は気動車にもかかわらず電車のように軽快なスピードで走行しました。一番列車ということもあり車内はぎゅうぎゅう詰めのような混雑ではありませんが、それでも混雑率100%といったところでしょうか。列車はほぼ定刻どおりPasay Road、Edsaに停車し、いずれの駅でもかなりの乗り降りがありました。Edsaを過ぎると次の駅がF.T.I(Food Terminal Inc.)で、駅間が4kmちょっと他の駅間よりも長く、列車のスピードも70kmぐらいまで上げ、軽快に飛ばしました。この駅間が長いせいでしょうか、途中に新駅が設置されており、2月のダイヤ改正と同時にこの新駅が使用されるとのことです。後日、担当者にお尋ねしたところこの駅名はNicholsとのことで、PacoとVito Cruzの間にも新駅San Andresが同時に使用される予定とのことでした。F.T.I駅に近づくと私にとっては少々懐かしさが込み上げてきました。今から15年ほど前にちょっと友達の家に居候したことがすがあるのですが、その友達の家のあるところがこのF.T.I駅であり、私もよくフィリピン国鉄を利用し、この駅で乗り降りを行っていましたが、今や線路沿いの不法占拠者の家屋が撤去されてしまったことから、当時の面影とはまったく変わってしまいました。F.T.I駅に到着すると降りる人ばかりであり、ホームにはこの列車の折り返し列車でManila方面を目指すと思われる乗客が多く見られました。列車は現在のコミューターサービスの終点駅であるBicutanに少々遅れて6:50に到着しました。ドアが開くとホームで待っていた乗客が降りる客を差置いて我先に乗り込み、車内は一時騒然としました。

列車はBicutan駅でしばしの休憩をするCX102列車、Tutuban行き。


フィリピン国鉄はグランドレベルを走るため、Manila市内には大きな踏切が多くあります。
しかも踏切は自動化されておらず、踏切の番人の目視で踏切役を行うため、かなり危険です。踏切の番人曰く、ドライバーの中には石頭も多く、なかなか言うことを聞いてくれないとぼやいておりました。


再びこの列車に乗車し、終点のTutubanまで乗車してみたいと思うのですが、狭いホーム上は利用客でごったがえし、ホーム上で切符を売っている人の所へなかなか行けません。発車時間も迫っていましたので、仕方なく列車に乗り込むことにしました。
6:55ちょっと過ぎに列車はBicutanを発車し、F.T.Iに到着すると先程ホームで待っていた乗客が乗り込み、車内の混雑は新聞も読めないほどぎゅうぎゅう詰めとなりました。Edsaで降りる人もいましたが、むしろここでも乗る人の方が多く、車内の混雑ぶりは東京のラッシュ時と変わらぬほどになりました。

ラッシュ時の車内の様子。おそらくPandacan付近で撮影したものと思われますが、最混雑時はぎゅうぎゅう詰めでした。

ところで、このフィリピン国鉄のDMUですが、1編成が3両編成ということもあり、今後Manilaの南北の軸を支える交通機関として、キャパ的に相当問題があるのではないかと思いますが、列車の先頭車は必ず女性専用車(身体障がい者や高齢者も利用可)ということもあり、男性陣にとってはかなり苦痛を強いられます。レディーファーストのお国柄ですのでそれは仕方のないことかもしれませんが、女性専用車の方が空いているようなので、1両のうちの半分を女性専用とするような工夫も行ってみてはいかがかと思ったしだいです。

ホームには女性専用などを示す表示が見られます。LRTやMRTも同様に女性専用車があります。


続いてPasay Roadに到着するとビジネス街のMakatiに近いせいか、降車する人が多く見られました。ある程度、混雑率も緩和されるとフィリピン国鉄の検札係も切符の拝見を行い、乗客の切符(切符らしいものではありませんが)をちょっとちぎり、検札を行っていました。私も切符を持っていなかったので、Bicutanから乗車し、Tutubanまで行くことを告げるとスペイン語で15ペソですと言われました。約20kmを乗車するにもかかわらず僅か約30円であり、クーラー付のバスを利用して同じくらいの距離を利用した場合ですと30ペソぐらいはかかりますので、フィリピン国鉄は庶民の味方と言ったところでしょうか。

車内検札を行うフィリピン国鉄職員。


先程、乗車したBuendia駅でもかなりの降車があり、車内は少しずつ空いてきましたが、それでも立っている方は多くいました。Pandacan(Beata)駅で初めて対向列車と擦れ違うのですが、現在のところ全線にわたり単線運転を行っており、列車交換ができるのがEspana(エスパーニャ)駅Alabang側、Pandacan(Beata)駅Alabang側とPasay Road駅構内
の3箇所のみとなっています。しかもPasay Road駅を除いてポイント1箇所を使用しているため、Espana(エスパーニャ)駅とPandacan(Beata)駅では下り列車がスイッチバックを行い列車交換が行われています。Pasay Road駅では2箇所のポイントを使用していますが、そのうちの1箇所のポイントがホーム内に位置するため、結局ここでも上り列車がスイッチバックを行っているようです。(Pasay Road駅での列車交換については駅員の話しによるもので確認はしておりません)

写真はPandacan(Beata)駅Alabang側での列車交換のシーン。


写真はPasay Road駅構内にあるポイント。


対向列車であるCX103を進行方向右側に停車しているのを見ると、ゆっくりとPandacan(Beata)駅に到着しました。私の方の列車はそのままスルーでTutubanへと向かい、Espana(エスパーニャ)においてもCX105列車と擦れ違いました。
以前であればこのあたりも線路沿いは不法占拠の住居が建ち並んでいたところでありますが、現在は全線にわたり線路沿いの不法占拠者の住居は撤去され、しかもフィリピン国鉄の線路を含めて15から20mほど空間が確保されています。この空間は将来的に更に標準軌用の複線の線路が敷設される計画であり、現在のフィリピン国鉄の線路分も含めて実質複々線になるようですが、いつになることやら今のところわかりません。
Blumentrittを過ぎると右手側にCaloocanに向かうデルタ線の線路がありましたが、現在はリハビリ中ということでコンクリート枕木が敷設され、線路の敷設作業が行われているところでした。現在のところCaloocan車両工場とは線路が繋がっていない状況であり、この間の車両の行き来が全くできない状況です。
列車の進行方向を南に変えるとほどなく終点のTutubanに10分ほど遅れて到着しました。ここまで来ると車内もガラガラなわけでありますが、私のようにBicutanから全線乗り通した乗客はほんの僅かではないかと思います。
また、後日は日中走るDMUの運転席に乗車させていただきましたので、この体験談を述べていきたいと思います。

写真はせっかく車両に合わせて高床ホームを整備したにもかかわらず、車両床面と高さが合っていません。フィリピンらしくいいかげんなのですが、このようなことも簡単に許されるのもこのお国柄のせいでしょうか。