散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

橋下国政登場対アベノミクス~参院選の焦点~

2013年02月16日 | 国内政治
連休中の日経新聞に、6月の参院選へ向けての各政党の動きが掲載されていた。そのポイントは、複数区での攻防になっている。その構造を示すのが下図だ。これは総選挙の分析として筆者が使用した衆院選での比例区の得票数だ。
  日経新聞(2013/2/9)


しかし、政党間の勢力分布図だけである。ここから何を読み取れるのか?問題は今後の動向とそれを決めるキーファクタの抽出である。そのためにはここ十年間の推移を知り、今回選挙を位置づけることが必須だ。改めて、下記の表を示そう。

 衆議院選挙比例代表区 投得票(万票)
 時 期  03/12  05/09  09/08  12/12
 首 相  小泉1 小泉2 麻生  野田
 投 票  5950  6781  7037  6017
 自・公  2939  3476  2686  2373
 民 主  2066  2103  2984   962
 維・み             300  1750

ここでは、自・公(自民,公明)並びに維・み(維新の会,みんな)をまとめており、この意図は明らかである。即ち、第三極は「維新の会」を中心にまとまるとの予測だ。即ち、自・公への対抗勢力を形成することが彼らの基本的使命という認識だ。  

表から以下の三点が浮き彫りにされる。この基本動向を捉まえることが第一だ。
1)集中的争点と投票数…郵政改革(小泉2)、政権交代(麻生)では7千万票と多い
2)浮遊する改革志向票…自・公(小泉2)、民主(麻生)、維・み(野田)と票が移動
3)小選挙区制の効果 …結果として二大政党制による政権交代の機能を果たす

この傾向がどのように変化していくのか?複数の道筋を想定し、望ましい方向へ導く方法を提案し、更に、多くの人を説得するのが“政治”の最大の課題である。

上記の日経の記事は単なる観測記事、現時点・表面層の状況を理解できるが、過去から将来へ繋がる道筋は何もない。また、マスメディアは世論調査を定期的に実施し、最近の報道では、安倍内閣支持率は70%前後に上昇している。円安と株価上昇がアベノミクスとの命名に及び、それがひとり歩きを始め、雑誌、単行本にも登場している。これは、自民党のPR戦略の効果で、マスメディアは見事に乗せられたとも見える。主体的な活動をしっかりと果たしているとは、考えられない。

さて、先に挙げた三点をベースに最大の問題は“新三極構造の二極化”であろう。
前回(麻生)選挙で、みんなの党は自民党を離脱した議員を中心に300万票を集めた。しかし、これは多数勢力からの離脱がインパクトになって派生した集団への期待票であったと考えられる。一方、今回の選挙(野田)において、維新の会は離脱ではなく、多数勢力に対する挑戦者として新生した集団として捉えられる。

即ち、橋下氏は大阪府知事として一定の業績を残し、大阪都構想をビジョンとして掲げ、大阪府市民を説得した実績があるからだ。これは実績の評価も入った期待票になる。従って、大阪だけでなく、東京、横浜等の大都市においても着実に票を獲得し、1,200万票を積んだのだ。一方、みんなの党は、その勢いに寄り添うように乗りながら、維新の会に不安を感じる層も含めて500万票へ伸ばした。

ここから、第三極の中心は「派生・みんなの党」ではなく「新生・維新の会」だと認識される状況になった。参院選へ向けて、今後の主要な課題は以下の二点であろう。この課題を克服して「橋下国政登場対アベノミクス」に至るのか?
1)橋下氏の参院選出馬…大阪市長辞任が必要
2)維新・みんなの合併・新体制…合計3名の代表を橋下氏1名に絞る

おそらく、自民党は地方自治体首長の参院議員兼任制度を認めまい。その場合、橋下氏の市長辞任・出馬環境は逆に整うことになる。橋下氏は既に国政の人になっている。体罰問題のように突発的な事案が発生した場合、その政治的判断と行動力は光る。しかし、大阪都構想全体は大阪府知事に任せ、そのもとで大阪市を区に分割し、基礎自治体として独立させていくことは、その調整も含めて実務をこなす後継者を育て、市民にPRして納得を得る他はない。緊急の課題だ。

維新の会は選挙前に石原新党を吸収し、石原氏を代表とした。これにみんなの党が反発した。正妻の席は横から取られ、二号であっては、収まりが付かないのは理解できる。しかし、大きな流れからは、維新・みんなの合併は必須である。その場合、経緯、勢力、イメージから橋下氏がトップに立つのが妥当であろう。

最後に民主党の位置づけだ。現状は労組の支持を頼りに既成勢力が固着化し、他は少しずつ分散して“第二共産党”になるのか、細野氏を中心に新鮮な勢力としてビジョンを打ち立て、労組依存から脱却するのか、分岐点に立っている。しかし、海江田体制で、小沢氏とヨリを戻そうとする姿勢のようだ。これでは、世間からは注目されずに、横目でみられてだけだ。労組もまた、若い人は組合離れ、高齢者は保守化して自民支持へ、と解体が進むであろう。

      
コメント
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